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変わった依頼

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「あ、ハイ。そんな話、しましたね」

 確かにホテルで一戦終わったあとに、ベッドの中で「次、いつにしようか」なんて話はした。

 けれど、事務所にまで話してきていたとは思わなかった。

 つまり割合本気というわけだ。

 これはもう、売りというよりパパ活なのでは。

 そう思ってしまう俺だったが、こういう仕事である。

 向こうからの厚意だし、受けるのも仕事のうちだ。

 芹澤もそう捉えているらしく、上機嫌そうに笑ってむしろ煽るようなことを言った。

「やるじゃん。いいモン買ってもらえよ」

「まぁ、そっすね」

 俺は愛想笑いをしてみせる。

 いいモン、ブランドの服を買ってもらっても、日常ではあまり着られない。

 それこそ七瀬とデートするときとかしか着られないので、そこまで嬉しいわけではない。

 俺を気に入ってくれたのは嬉しいけども。

 俺のその気持ちを悟ったように、芹澤は軽く釘を刺すように言う。

「ねだったほうが七瀬さんも喜ぶだろうから上手くやれよ。じゃ、コレ。先月のぶん」

「ありがとうございます」

 俺はにこっと笑い、出された封筒を手に取った。

 用も済んだし帰るかと思ったが、芹澤がそこで不意に、「ああ」と声を出した。

「ミヤくんさぁ、自宅派遣ってオッケー?」

 不意にまったく違うことを言われて、俺は薄すぎる茶をすすりながら、首をかしげた。
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