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二夜目の夜

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 秋木はすぐに眠りに落ちたようだった。

 前回と同じように、俺の頭の上にあごを置いて、すやすやと寝息が聞こえてくる。

 数分もかからなかっただろう。

 しかし今回は俺のほうが事情をはっきり把握してしまっている。動揺はほぼなかった。

 ただ、別のことが気になってきた。

 ぐっすり眠るのに抱き枕が必要なのだという。

 眠るだけなら独りで寝ればいいのでは? 

 続けて思った。

 独りではぐっすり眠れないということは……。

 こいつはもしや、結構寂しがりかなにかなのでは……?

 そう思ってしまえば、変わり者と思えども、なんだかかわいらしく思ってしまった。

 しかもこいつの正体は、あの直美賞を取るほどの人気作家・秋月 晴一ときている。

 そんな存在が、俺のようなごく一般人ながら売り専をしている大学生男子を、腕に抱いて寝ているなど。

 かわいらしいではないか。

 今回は穏やかかつ平和なことを思いつつ、俺はしばらくじっとしていたのだけど、やはり目を閉じた。

 多分もう零時はとっくに回っているだろう。

 昼間は学校だったし、普通に眠たい。

 明日は午後からなのが幸いだった。

 ああ、ちょくちょく指名してもらえるなら、授業も考慮してシフトを申請しとかないとか。

 そんな妙に現実的なことに思考は及んだけれど、すぐぼやけて夢になってしまった。
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