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帰り道

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 でも、その次。

 もしかして、俺の試験や学期末を気遣ってくれたのだろうか?

 思ったが、きっとその通りだった。

 気付いて、俺はくすぐったくなってしまった。

 こいつは変わり者で突拍子もないが、確かに俺のことも考えてくれるし、優しいのだ。

 そういうところに俺は、仕事の気持ちだけではなく、世話をしたいと思ってしまうのだし。

 おにぎりなんて作るほどには、気にかけてしまっているのだし。

「ありがとうございます」

 俺は礼を言った。

 秋木は怪訝な顔をする。

「なんで礼を言う」

 あんたこそなんでわからないかな。

 俺は思ったが、まさかそう言うわけにはいかない。

「気遣っていただいたんで。助かりました」

 こちらも心からだった。

 実際そうだ。

 秋木は数秒、俺を見ていた。

 が、何故かふいっと視線はそらされてしまった。

「そうか。それなら良かった」

 話もそれで終わりになった。

 ちょうど秋木のマンションに着いたのだ。

 俺が降りてから秋木が金を払って降り、部屋へ向かった。
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