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帰り道

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「そうだと言っている。……先日は難所を書いてて疲れた。そのとき世話になったからな。礼のつもりだったのに」

 秋木の言葉、最後は少し小さくなった。

 俺は何故かそれにどきっとしてしまう。

 そうだ、これはお礼だったのだ。

 秋木が俺に礼をしたいと思ってくれたのだ。

 それだけは嬉しい、かな。

 俺は単純にも思ってしまった。

 ほだされているようなものだ。

「それは……ありがとうございます」

「言葉を濁らすなよ」

 お礼を言ったのに、ツッコまれてしまった。

 そのあとは、なんとなく雑談になった。

 秋木から「試験はどうだったんだ」と聞かれて、俺は「まぁまぁでした」と答えたが、次の「そろそろ夏休みなんだろう」には驚いた。

 どうして話してもいないのに知っているのか。

 でも秋木はしれっと言った。

「大学のスケジュールなんてどこもそう変わらん。夏休みになっただろうと思ったから予約したんだしな」

 なるほど。

 確かにそういうものだろう。

 秋木が大学を出ていないようには見えないし、よくわかっているということだ。
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