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初めての夜は突然に

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 しかしローションがあるということは、男を抱いたこともあるんだろうか。

 違う点も気になった。

 ただ、女でも濡れにくい体質で、あったほうが楽というタイプもいるだろうから、一概には決めつけられないだろう。

 そうだと思っておこう、ということにする。

 そんなつまらないことを考えているうちに、秋木はさっさとそれらの準備をして俺を改めて組み敷いた。

 腿を持ち上げられて、ローションをまとった指を、つぷっと沈められる。

「ん……っ!」

 息を詰めた。

 なんの準備もしていない抵抗感はあるし、体のほうだって辛い。

 この状況で今更、準備をさせてもらえるはずはないから、受け入れるしかないのだが。

 秋木の手つきは探るようなものだった。

 俺はその手つきからなんとなく思った。

 過去の仕事からして、男を抱くのに慣れている奴と慣れていない奴では明らかに違う。

 秋木の手つきは『慣れていない奴』であった。

 つまりやはり、抱いたことがあるのは女だけらしい。

 何故か少々安堵するような気持ちを覚えつつ、俺は深く息をついて、少しでも体が緩んで受け入れるのが楽になるようにする。

 俺の体は念入りな準備がなくとも、何度も抱かれているのだから慣れている。

 ほぐれるのにそう苦労も時間も要らない。

 今ばかりはそれが功を奏した形だ。

 秋木のあまり慣れていない手つきでも、ちゃんと指を飲み込めるようになっていく。
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