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本当の夫婦に

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 アマリアの気持ち、この様子ではフレイディのほうはもう前から察していたのだろう。

 自覚するよりも先に、感じ取られていたということではないか。

 今度は憤慨より羞恥が上回った。

 ぼふっと頭の中が熱くなる。

 自分はフレイディを振り回しているように思っていたけれど、それは驕りだったのでは?

 すべて知られて転がされていたのは自分だったのでは……?

 そんなふうにすら思えてきてしまう。

 そしてまた、この思考すらもフレイディはきっとわかっているのだろう。

「違ったかい」

 その証拠に、こんなふうにぬけぬけと言うのだ。

 アマリアの体をしっかり抱きしめながら。

 アマリアはもう、頬も頭の中も熱くて仕方がない。

 想いを告げたときよりも恥ずかしくなったくらいだ。

 もう返事なんて普段通りにできるものか。

 アマリアは詰まってしまう。

 そんなアマリアの背中から、フレイディの手が離れた。

 上のほうへやってきて、アマリアの髪に触れる。

 今はおろしているやわらかな髪を、優しく撫でられた。

「早まっただろうか?」

 ちょっとからかうような響きで、もう一度言われる。
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