9 / 43
9.エリーゼが寝てる時に、大司教と民衆と父親
しおりを挟む
いつものルーティンと違うことをする。気まぐれなのか、そうせねばならなかったのかは分からないが、国一番の大聖堂で大司教を務めるベネディクト・クラウディアスは深夜に女神像へ祈るため聖堂に訪れていた。
皆、寝静まっているため誰もいない聖堂でベネディクトの足音だけが響く。ベネディクトは長いヒゲも髪も白くなってシワもある老人だが、背筋はピンとしており足取りはしっかりとしている。目元には穏やかそうなシワが刻まれている。
「(ふぅ…流石にこの時間は疲れが溜まってくるな。祈りを捧げたら休もう)」
夜の女神像は穏やかに佇んでいる。その前に立ち、カサついた手を組み祈りを捧げる。すると途端に視界が白くなり優しげで厳かな声が頭に響いてきた。
ーーエリーゼ・フォン・ヴァルデンを聖女とせよーー
遠くで鐘の音がする。ベネディクト・クラウディアスは直感で理解した。今自分は女神様から神託を授かったのだと。
「はっ…はい、かしこまりました。」
膝をつき深く頭を下げてる。返事をする声が上擦ってしまう。感動で身体が小刻みに震えていた。
神々しい光は消えいつもの聖堂に戻っていた。外で人々のざわめきが聞こえてくる。
「(なんと…神託が…聖女が…これは一大事だ。すぐに王に知らせなくては)」
立ち上がると素早く城へ向かう準備を行った。いつのまにか馬車の準備も出来ているようだ。他の者も神聖な光にただ事ではないと行動に起こしてくれていたようだ。
「たった今、女神様より神託を授かった。城に行き王にお伝えしてくる。留守を頼んだ」
「はい。いってらっしゃいませ」
~~~~~
街中の人間が起こされた。夜に鳴らないはずの鐘が鳴り響いたからだ。もしくは明るい光に照らされたから…
たくさんの人間が目を擦り起きる。音と光に何事だと各々が家から飛び出していた。
街にはたくさんの人が光を浴びる大聖堂を見上げている。そのまま、様子を見に向かった行くため人々で道が塞がりそうだ。
光が消えた大聖堂の前は人で溢れ返っている。口々に…今起きた事を教えろ、どうなっているんだと声を上げている。また祈りを捧げている人々もいる。そんな中、馬車が出てきた。しかしすぐに民衆に囲まれてしまった。
司祭様や司教様が危ないから退きなさいと声をあげている。それでも多く人間が馬車から離れない。すると中に乗っていたベネディクト・クラウディアスが窓から顔を出して声を張り上げた。
「皆の者、神託だ!そのため城へと向かいたい道を開けてくれ!頼む……」
神託…と聞いた瞬間、良い信託と判断したのであろう民衆は歓声を上げた。
「おい!大司教様を城へ!!道を開けろーー」
体格のいい男性が怒鳴り声をあげ指示をする。神託ならば協力しなければならないと感じた人々は、それが呼び水となり、道を開けろ!道を開けろ!と統率の取れた動きで道が開かれていった。
誰かが始めたのか道なりに灯火を持った人が増え、暗かった街に綺麗な明かりの道が出来、その中を馬車は走っていった。
民衆は私たちが神託を城へ届けたんだ…と誇らしげに家へと返っていった。
~~~~~
エリーゼの父親であるエドワード・フォン・ヴァルデンは馬車で明るい夜道を駆け抜けていった。
いつもなら暗くゆっくりとしか走れない道も街の人間の松明で明るい。しかも松明は城まで続いている。
「(ありがたいが、どういう事だ?)」
怪訝に思いながらも城に到着する。丁度、社交界シーズンが始まる所だったので、複数の貴族が王都に来ており、城にはすでに何人か到着していた。 下位貴族もいる、きっと情報を早く入手するため来ているのだろう。見知った顔を見つけ、挨拶するために声をかけようとすると、早足でこちらにくる陛下の秘書官に呼ばれる。
「ヴァルデン侯爵様!ヴァルデン侯爵様!!すぐにこちらへいらしてください」
着いた途端に呼ばれ面食らうも陛下の秘書官のため大人しく着いていく。連れてこられたのは陛下の執務室で、中には国の上層部が揃っていた。挨拶もそこそこにすぐに少数での話し合いが始まった。
「(陛下に、宰相に、五大公爵…そして侯爵の私?場違いじゃないのか?)」
「すでに聞いているかと思うが、先ほど神託があったーー」
エドワードは叫びそうになるのをなんとか堪えて、指示を仰ぎ、なんとか帰りの馬車に乗り込んだ。
城に入った時は暗かったのに、外は綺麗な朝焼けになっていた。いまだに呆気に取られているが気合を入れ、家族の…娘の待つ家へと急いだ。
皆、寝静まっているため誰もいない聖堂でベネディクトの足音だけが響く。ベネディクトは長いヒゲも髪も白くなってシワもある老人だが、背筋はピンとしており足取りはしっかりとしている。目元には穏やかそうなシワが刻まれている。
「(ふぅ…流石にこの時間は疲れが溜まってくるな。祈りを捧げたら休もう)」
夜の女神像は穏やかに佇んでいる。その前に立ち、カサついた手を組み祈りを捧げる。すると途端に視界が白くなり優しげで厳かな声が頭に響いてきた。
ーーエリーゼ・フォン・ヴァルデンを聖女とせよーー
遠くで鐘の音がする。ベネディクト・クラウディアスは直感で理解した。今自分は女神様から神託を授かったのだと。
「はっ…はい、かしこまりました。」
膝をつき深く頭を下げてる。返事をする声が上擦ってしまう。感動で身体が小刻みに震えていた。
神々しい光は消えいつもの聖堂に戻っていた。外で人々のざわめきが聞こえてくる。
「(なんと…神託が…聖女が…これは一大事だ。すぐに王に知らせなくては)」
立ち上がると素早く城へ向かう準備を行った。いつのまにか馬車の準備も出来ているようだ。他の者も神聖な光にただ事ではないと行動に起こしてくれていたようだ。
「たった今、女神様より神託を授かった。城に行き王にお伝えしてくる。留守を頼んだ」
「はい。いってらっしゃいませ」
~~~~~
街中の人間が起こされた。夜に鳴らないはずの鐘が鳴り響いたからだ。もしくは明るい光に照らされたから…
たくさんの人間が目を擦り起きる。音と光に何事だと各々が家から飛び出していた。
街にはたくさんの人が光を浴びる大聖堂を見上げている。そのまま、様子を見に向かった行くため人々で道が塞がりそうだ。
光が消えた大聖堂の前は人で溢れ返っている。口々に…今起きた事を教えろ、どうなっているんだと声を上げている。また祈りを捧げている人々もいる。そんな中、馬車が出てきた。しかしすぐに民衆に囲まれてしまった。
司祭様や司教様が危ないから退きなさいと声をあげている。それでも多く人間が馬車から離れない。すると中に乗っていたベネディクト・クラウディアスが窓から顔を出して声を張り上げた。
「皆の者、神託だ!そのため城へと向かいたい道を開けてくれ!頼む……」
神託…と聞いた瞬間、良い信託と判断したのであろう民衆は歓声を上げた。
「おい!大司教様を城へ!!道を開けろーー」
体格のいい男性が怒鳴り声をあげ指示をする。神託ならば協力しなければならないと感じた人々は、それが呼び水となり、道を開けろ!道を開けろ!と統率の取れた動きで道が開かれていった。
誰かが始めたのか道なりに灯火を持った人が増え、暗かった街に綺麗な明かりの道が出来、その中を馬車は走っていった。
民衆は私たちが神託を城へ届けたんだ…と誇らしげに家へと返っていった。
~~~~~
エリーゼの父親であるエドワード・フォン・ヴァルデンは馬車で明るい夜道を駆け抜けていった。
いつもなら暗くゆっくりとしか走れない道も街の人間の松明で明るい。しかも松明は城まで続いている。
「(ありがたいが、どういう事だ?)」
怪訝に思いながらも城に到着する。丁度、社交界シーズンが始まる所だったので、複数の貴族が王都に来ており、城にはすでに何人か到着していた。 下位貴族もいる、きっと情報を早く入手するため来ているのだろう。見知った顔を見つけ、挨拶するために声をかけようとすると、早足でこちらにくる陛下の秘書官に呼ばれる。
「ヴァルデン侯爵様!ヴァルデン侯爵様!!すぐにこちらへいらしてください」
着いた途端に呼ばれ面食らうも陛下の秘書官のため大人しく着いていく。連れてこられたのは陛下の執務室で、中には国の上層部が揃っていた。挨拶もそこそこにすぐに少数での話し合いが始まった。
「(陛下に、宰相に、五大公爵…そして侯爵の私?場違いじゃないのか?)」
「すでに聞いているかと思うが、先ほど神託があったーー」
エドワードは叫びそうになるのをなんとか堪えて、指示を仰ぎ、なんとか帰りの馬車に乗り込んだ。
城に入った時は暗かったのに、外は綺麗な朝焼けになっていた。いまだに呆気に取られているが気合を入れ、家族の…娘の待つ家へと急いだ。
59
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜
赤紫
恋愛
私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。
絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。
そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。
今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!
【完結】追放された大聖女は黒狼王子の『運命の番』だったようです
星名柚花
恋愛
聖女アンジェリカは平民ながら聖王国の王妃候補に選ばれた。
しかし他の王妃候補の妨害工作に遭い、冤罪で国外追放されてしまう。
契約精霊と共に向かった亜人の国で、過去に自分を助けてくれたシャノンと再会を果たすアンジェリカ。
亜人は人間に迫害されているためアンジェリカを快く思わない者もいたが、アンジェリカは少しずつ彼らの心を開いていく。
たとえ問題が起きても解決します!
だって私、四大精霊を従える大聖女なので!
気づけばアンジェリカは亜人たちに愛され始める。
そしてアンジェリカはシャノンの『運命の番』であることが発覚し――?
「醜い」と婚約破棄された銀鱗の令嬢、氷の悪竜辺境伯に嫁いだら、呪いを癒やす聖女として溺愛されました
黒崎隼人
恋愛
「醜い銀の鱗を持つ呪われた女など、王妃にはふさわしくない!」
衆人環視の夜会で、婚約者の王太子にそう罵られ、アナベルは捨てられた。
実家である公爵家からも疎まれ、孤独に生きてきた彼女に下されたのは、「氷の悪竜」と恐れられる辺境伯・レオニールのもとへ嫁げという非情な王命だった。
彼の体に触れた者は黒い呪いに蝕まれ、死に至るという。それは事実上の死刑宣告。
全てを諦め、死に場所を求めて辺境の地へと赴いたアナベルだったが、そこで待っていたのは冷徹な魔王――ではなく、不器用で誠実な、ひとりの青年だった。
さらに、アナベルが忌み嫌っていた「銀の鱗」には、レオニールの呪いを癒やす聖なる力が秘められていて……?
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる