婚約破棄された後に神託で聖女に選ばれました。英雄と幸せになります!

佐藤 すみれ

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10.たらい回しにされる聖女

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 アニタに叩き起こされた。お母様に優しく起こされるかと思ったんだけど、そうじゃなかった。窓の外を見ると日が登り始めたところで朝焼けがすごく綺麗だった。

「お嬢様、寝ぼけてないで着替えを致しますよ。なんでも急ぎだそうです。」

「神託についてなにかわかったの?お父様はなんて?…え、アニタ、その服は違うんじゃない?どこか出かける予定なの?」

 普段着のドレスではなく外出用の…しかもアニタは一張羅のドレスを用意をしている。もっと寝ていられると思ったが意外と早くに起こされてまだ眠い。出かけたくないなぁと思いながらアニタに聞く。

「これは旦那様のご指示です。また城に行くことになってるそうですよ」

「城に?私も着替えるってことは私も行くのよね?なにかしらねぇ」

 着替えて数時間前にいたお父様の部屋に集まった。お母様もいる。

「お待たせしました。お父様、神託はなんでしたの?お母様はもう聞かれたの?」

「いいえ、エリーゼと一緒にと言われて、まだ聞いていません」

 お父様はなんだか複雑そうなお顔でこちらを見つめている。一体なんなの?

「エリーゼ、神託でお前が聖女に選ばれたそうだ」

「「え?えーーー!!!」」

 私と淑女であるお母様も叫んでいた。あの神託が私個人を?聖女?あまりのことに理解が追いつかない。

「あなた、本当なんですか?エリーゼが?」

「私、教会に行かなきゃいけなくなるってことなんですか?」

「その前に王宮だ。城に行って陛下にご挨拶するんだ」

 陛下にご挨拶するんだーー!だから一張羅いっちょうらだったんですわね!!!


 陛下の前で親子共々挨拶をする。周りにはすでにたくさんの貴族が来ている。聖女となる私の顔合わせなんだろうか、異様に人がいるように感じる。それともこれが政治の場では普通なんだろうか、わからない。
 見知った顔を見つける。そう、フェルザイム公爵です、元婚約者の父親ですね。本来だったら私という聖女と親戚に慣れたかもしれないのにねぇー!残念でしたわねぇ~。

「(なんとなくいい気味ですわ)」


 緊張から余計なことを考えてしまう。陛下が何か言ってる。え?やっぱり教会にも行くんですの?クラウディアス大司教様と一緒に教会に行って女神像に挨拶するんですって、あっちこっち行きすぎですわ。


「エリーゼ様、この場所…この女神像が神託のあったところです。」

「まぁ、ここで…私も祈りを捧げさせてください。」

 大聖堂は静かで夕陽が窓から差し込んで綺麗ですわ。ちょっと疲れましたが、神聖な雰囲気に身が引き締まる気がします。手を組み目を閉じる。頭を垂れ祈り始めると鐘がカラ~ンカラ~ンと鳴り出した。柔らかく優しい光が私を包み込む。

 ーーーコーラル礼拝堂にある珊瑚の首飾りをラグナ・ファルナ火山に投げ入れなさいーーー


 鐘の音がなる時間ではないのに鐘が鳴り、神聖な光を見たクラウディアス大司教様は驚愕の顔でこちらを見ていた。お父様もお母様も驚いて私を見ている。私も驚きですわ。本当に私、聖女なのね。

 まさかのまた神託!!つまりまた城にとんぼ返りです!!
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