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4th-contact
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あれから1週間して、彼女から連絡があった。
無事、病院を退院したとのことだった。
桜は散り、木は次第に青く彩られてゆく。
涼しかった風も、今は暖かさをはらんでいる。
こうした環境の変化の中で、僕の周囲の環境も変化して行った。
「篠田くん、私と付き合ってください!」
最近、告白されるようになったのだ。
まさか高校でまで、とは考えていなかった。授業が終わるやいなや、女子達が僕のクラスに駆け込んできて、たちまち争奪戦になる。
何度来たかわからない屋上に連れてゆかれ、何度も告白をされた。
そのたびに僕は、「彼女がいるので……」
と言って断るんだけど、どうにも僕が嘘をついていると思う始末で、全く途切れそうにない。この前は二回目の告白をしてくれた子もいた。
「モテモテじゃないですかー、篠田くん?」
その度に海堂くんからトゲのある一言を貰う。
これが1日の流れとなりつつあった。
「毎日これは疲れるなぁ」
「おっ?女子からの誠意のこもった告白に対して『疲れる』なんざお前いい度胸してんなァ」
「本音で話しちゃいけないの……?」
2時間目終の休み時間で疲労はピークになろうとしていた。
机に突っ伏す僕を睨みつけながら、なおも文句を言ってくる。
「おいモテ男さんよ、彼女というものがありながら、お前はなんでそんなにあっちへふらり、こっちへふらりと」
「なんで僕が責められるの?!」
「お前が美形なのが悪い」
理不尽だよ……。
「ていうかお前、ほんとに付き合ってんの?って言うか、誰と付き合ってんの?」
「それは……ちょっと」
「なんだよそれ、教えろや」
背丈やガタイが言い分圧力が強い。どう対処すればいいんだろう。
「なぁ小堀さん、こいつ誰と付き合ってるかとか知ってる?」
「ちょっとぉ!」
聞いちゃってる!
しかも小堀さんに!
「……えっと、し、知らない、よ?」
✲✲✲
どうしよう、どもっちゃったけとわ上手くごまかせたかな?
そう答えた瞬間、海堂さんの顔がニヤニヤと笑い始めた。
「ははーん?そういう事かぁ」
「海堂くん!何その反応?!ねぇ、ニヤニヤしてないで答えてよ!」
私の懸命な嘘が失敗に終わったのを悟って、りっくんが必死に海堂くんにとりつく……ちょっと可愛いかもしれない。
「ズバリ、お前ら付き合ってるな」
「わーわーー!」
勘が鋭い。
まぁバレちゃったらしょうがないかなぁ。
「すごいですね、あれだけで気づくなんて」
「いや気づくだろ、流石に」
「いや、あの、まぁいつか話そうとは……」
「お熱い関係じゃねぇの~」
ふと、海堂さんが手を打った。
「おい篠田、信じてもらえねぇなら実物連れてきゃあいいんじゃないか?」
「それは僕も考えたけど、小堀さんが迷惑だし」
「私は大丈夫だよ」
「でも、それで目の敵にでもされたら……!」
「その時は、守ってくれるんでしょ?」
りっくんが声を詰まらせる。
そして小さなため息をつく。
「分かったよ。僕も覚悟を決める」
「覚悟っつー程のもんじゃねぇと思うんだけどな」
「君は自由だね………」
げんなりとした様子だけど、意志は決まったみたい。
この後、いつも通りやってきた女の子に、りっくんが私を紹介して諦めるように説得をしてくれた。
何人か私を睨んでいたけれど、その場でなにか抗議をする人はいなかった。
その場では、いなかった。
無事、病院を退院したとのことだった。
桜は散り、木は次第に青く彩られてゆく。
涼しかった風も、今は暖かさをはらんでいる。
こうした環境の変化の中で、僕の周囲の環境も変化して行った。
「篠田くん、私と付き合ってください!」
最近、告白されるようになったのだ。
まさか高校でまで、とは考えていなかった。授業が終わるやいなや、女子達が僕のクラスに駆け込んできて、たちまち争奪戦になる。
何度来たかわからない屋上に連れてゆかれ、何度も告白をされた。
そのたびに僕は、「彼女がいるので……」
と言って断るんだけど、どうにも僕が嘘をついていると思う始末で、全く途切れそうにない。この前は二回目の告白をしてくれた子もいた。
「モテモテじゃないですかー、篠田くん?」
その度に海堂くんからトゲのある一言を貰う。
これが1日の流れとなりつつあった。
「毎日これは疲れるなぁ」
「おっ?女子からの誠意のこもった告白に対して『疲れる』なんざお前いい度胸してんなァ」
「本音で話しちゃいけないの……?」
2時間目終の休み時間で疲労はピークになろうとしていた。
机に突っ伏す僕を睨みつけながら、なおも文句を言ってくる。
「おいモテ男さんよ、彼女というものがありながら、お前はなんでそんなにあっちへふらり、こっちへふらりと」
「なんで僕が責められるの?!」
「お前が美形なのが悪い」
理不尽だよ……。
「ていうかお前、ほんとに付き合ってんの?って言うか、誰と付き合ってんの?」
「それは……ちょっと」
「なんだよそれ、教えろや」
背丈やガタイが言い分圧力が強い。どう対処すればいいんだろう。
「なぁ小堀さん、こいつ誰と付き合ってるかとか知ってる?」
「ちょっとぉ!」
聞いちゃってる!
しかも小堀さんに!
「……えっと、し、知らない、よ?」
✲✲✲
どうしよう、どもっちゃったけとわ上手くごまかせたかな?
そう答えた瞬間、海堂さんの顔がニヤニヤと笑い始めた。
「ははーん?そういう事かぁ」
「海堂くん!何その反応?!ねぇ、ニヤニヤしてないで答えてよ!」
私の懸命な嘘が失敗に終わったのを悟って、りっくんが必死に海堂くんにとりつく……ちょっと可愛いかもしれない。
「ズバリ、お前ら付き合ってるな」
「わーわーー!」
勘が鋭い。
まぁバレちゃったらしょうがないかなぁ。
「すごいですね、あれだけで気づくなんて」
「いや気づくだろ、流石に」
「いや、あの、まぁいつか話そうとは……」
「お熱い関係じゃねぇの~」
ふと、海堂さんが手を打った。
「おい篠田、信じてもらえねぇなら実物連れてきゃあいいんじゃないか?」
「それは僕も考えたけど、小堀さんが迷惑だし」
「私は大丈夫だよ」
「でも、それで目の敵にでもされたら……!」
「その時は、守ってくれるんでしょ?」
りっくんが声を詰まらせる。
そして小さなため息をつく。
「分かったよ。僕も覚悟を決める」
「覚悟っつー程のもんじゃねぇと思うんだけどな」
「君は自由だね………」
げんなりとした様子だけど、意志は決まったみたい。
この後、いつも通りやってきた女の子に、りっくんが私を紹介して諦めるように説得をしてくれた。
何人か私を睨んでいたけれど、その場でなにか抗議をする人はいなかった。
その場では、いなかった。
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