アイシャの冒険

菜花

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ティアレイ王子

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 その異世界で一番の大国の王家にはとある風習があった。
 その代で不吉なことが起こりそうになると、それを未然に防ぐために神が異世界から聖女を寄越すのだという。
 そしてその聖女は時の王、もしくは王太子にとって相性抜群の相手なのだとか。
 これはこの王家の先祖が神に寵愛された証であるのだという。他の大陸にある王家にはこういった風習がないのだから。
 召喚された聖女達は時に天候を操り、時に治癒能力を持ち、時に未知の技術で王国に繁栄をもたらした。
 歴代の王は聖女の存在を尊び、この世界で身寄りのない彼女を守る意味でも婚姻し、聖女を王妃としてきた。
 そういった実績があるから、この風習に異を唱える人間は今までいなかった。特に恩恵を受けてきた王家には。
 しかし、ある時、ティアレイ王太子に家庭教師がついたのだが、悪いことに強烈な差別主義者だった。

「この世において、最も尊いのは貴方様の王家でございます」
「私はティアレイ様をお気の毒に思ってるのですよ。何故ならどこの馬の骨かも分からぬ異世界人の女と婚姻する定めなのですから」
「気持ち悪いでしょう? そうでしょう? 貴方は世界一お可哀想な方だ!」
「異世界人がなんだというのです。用が済んだならこの世界の肥料になってほしいものですな」
「聖女なんて神に気遣ってそう呼んだにすぎません。神は一度も聖女と婚姻しろなどと仰っていません。賢い貴方様ならどうすればいいかお分かりですね?」
「ここで聖女を拒否したら、貴方様は英雄でございます!」

 そんな毒のような言葉を多く吹き込み、ティアレイ王太子はそれを真に受けた。
 一応、別の家庭教師が「聖女様が来られたなら、誠意をもって対応いたしましょう。彼女は必ずや貴方様に恵みをもたらしてくれます」 とティアレイに教えたこともあった。
 だがそんな言葉にティアレイは「聖女が来たら自動的に自分が下になるようで嫌だ。自分は王太子なのだから、世界で一番であるべきなのに、聖女なんかが来たら陰に隠れてしまう」 と反発した。
 そんな調子だから、起こるべくして起こったのだろう。



 ティアレイが17歳となったある日、神殿の使者が「東のほうに彗星のような光が落ちたと。聖女召喚の証かと思われます」 とティアレイに伝えた。
 するとティアレイは憎々し気な表情で「捨て置け」 とのたまった。
 使者は一瞬自分がおかしくなったのかと思った。神からの贈り物といっていい聖女を粗末に扱うなど、どう考えても正気の沙汰ではない。
「今、何と?」
「捨て置けと言ったのだ。――まったく、馬鹿馬鹿しい。聖女など私にはいらぬ。聖女無しでも危機を乗り越えて見せようじゃないか。それでこの悪習はようやく終わるのだ」
 そう言ってから傍にいた美女を抱き寄せた。
「私にはこの美しいパーラ・ロータス公爵令嬢がいる。気色悪い異世界人などいらん」
 パーラと呼ばれた令嬢は誇らしげに笑うと「そういうことだから、帰ってくださる?」 と使者を令嬢らしくもなく、犬でも追い払うかのようにシッシッと追い払った。

 使者は前代未聞の事態に慌てて大神官に全てを報告した。
 大神官は唖然とした。

 実のところ、数代前の王家で似たようなことが起こったのだ。ただその際は数年したところ、王太子のほうが自分の誤りに気づいて、神殿で預かっていた聖女を引き取ったから大事にはならなかったのだが……。この事件は闇に葬られており、もはや王族か大神官しか知らないだろうが。

 ノーを突きつけた王家に対して、大神官のすることは決まっていた。
 ともかく聖女を迎えに行く。
 聖女はいつも王都の郊外にある神殿に呼ばれる。神秘性を高めるためにあまりの人の近寄らない場所となっているため、早く迎えにいかないといけない。
 そう思って使者を送ろうとした大神官だったが、使者が待ったをかけた。
「お、お待ちください、大神官様。そのことで王家に警告を受けました。聖女を神殿に迎えるならそれは王太子の意に反することを行うということだと。謀反を疑われたくないなら捨て置くようにと。……帰り際、国王夫妻から。ああ! ああ! この間までは聖女の扱いについて合意していたのに! だがティアレイ殿下は以前から不穏な様子がありましたが……。いくら大切な一人息子だからといって、そのような信義もとる行いを許容するなど!」

 大神官は絶句した。異世界に来たばかりで右も左も分からぬ少女を捨て置くのは、もはや死ねと言っているのと同じだ。今代の王太子は何て愚かなのだろう。
 しかしいくら王太子が権威を笠に着て脅そうが、神殿の者として、いや、それ以前に人間として気の毒な少女を放置することはできない。
 大神官は考えた末、ある少女を頼ることにした。
 実の妹が産んだ娘――大神官にとっては姪っ子にあたるポリーである。
 ポリーは14と若いながらも、大神官の伯父を心の底から尊敬しており、自身も修道女になるのが夢なのだという。
 神殿の五冊もある聖なる書をそらでいえるほど暗記しており、普段の生活も質素なもの。朝晩とお祈りをかかさない、絵に描いたような敬虔な信者である。
 子供一人が向かうなら流石に王家も手が出せまい。そう踏んで大神官はポリーを呼び出し、こう言った。

「今代の王家は駄目かもしれない。王太子ティアレイが聖女を拒否した」
 それを聞いたポリーは目を見開いて「なんという不心得者でしょうか! 神の意に反する行いです!」 と怒りをあらわにした。
 この様子なら神の使いである聖女を守ってくれるだろうと思い、大神官は「神殿の者が大々的に聖女を迎えに行くことを禁じられてしまった。このままでは、まだこの世界を知らない聖女は飢え死にするほかない。費用は渡す。ポリー、聖女をお前が守るのだ」
 ポリーは伯父から金貨の入った袋を受け取り、こう言った。
「お任せください、大神官様。この命にかけても聖女様をお守りします」



 その頃、王都郊外の神殿では、一人の少女が魔法陣の上で気絶していた。
 次元を超えることは、身体に非常に負荷がかかる。なので異世界に来た聖女はほとんどが気絶した状態でこの世界に来ることになる。
 それが幸いしたのか、神殿の周りには結界が張ってあることもあり、ポリーは聖女が目を覚ます直前に聖女のもとへたどり着くことができた。

 少女がぼうっと目を開ける。焦点の定まらなかった目は徐々に目の前の人間を認識し始めた。
「……ここは? 貴方は誰?」
「私はポリーと申します。貴方様のお名前は?」
「私は……斎藤愛です。あ、ええと……愛が名前で、斎藤は名字です」

 斎藤愛は現代の日本の女子高生だった。ただし、普通の、とは言い難い。お洒落や流行りよりも本を読むことが好きな彼女は、学校では浮いていた。悪いことに治安の良い学校ではなかったので、彼女は苛めの対象だった。泥だらけの教科書を鞄に入れられるくらいに綺麗にしてから帰途に着いていた時、「どこか遠くに行きたいなあ」 と呟いたら急に何かに吸い込まれるような感じがして、気を失ってそれっきり。
 事件に巻き込まれたのだろうか? でも目の前の女の子は友好的な感じがする。ともかく、親愛には親愛で返すべしが私の信条だ。名乗られたら名乗る。でも女の子――ポリーは真っ赤な髪をしていて明らかに日本人ではないように思うのだが、そうすると名前名字の順で名乗るべき、だよね?

 ポリーはにこりと笑って「素敵なお名前ですね!」 と言ってくれた。けどその後に申し訳なさそうにしてこう伝えてくる。
「……でもいかにも異国風の名前です。残念ですが、そのままの名前でいると恐ろしいことに巻き込まれる可能性があります」
「え、恐ろしいことって……」
「詳しい説明は安全な場所についてから致します。とりあえず、愛様はこちら風の名前に改名せねばなりません。そうですね……アイシャ・サルベーションはいかかですか? 元の名前を少しだけもじってみたのですが……」
「アイシャ・サルベーション……」
「あ、お気に召しませんでしたか? とりあえず今日一日だけの仮名ですので……」
「ううん、かっこいい! すっごく気に入った!」

 斎藤愛が改名に抵抗感が無いのには訳がある。実の両親から煙たがられて育ったのだ。父親は婚約していた女性に裏切られて周りへの見得でヤケクソで母と結婚。母は同世代が次々結婚していくのを見て焦って適当な人と結婚。交際期間が少しでもあったら結婚していなかっただろう。二人は相性がすこぶる悪く、あっという間に仮面夫婦になった。それでも結婚してすぐ子供が出来てしまったから離婚もできない。離婚話が持ち上がるたびに、こぶつきだと再婚できないと愛の前で喚く二人を見て育ったのだ。なんでそんな二人の娘の名前がよりによって「愛」 なのだろうか。
 ここを出たい。自分を知らない遠い世界に行きたい。そこで違う自分になりたい。
 そんな願望はずっとあったのだ。

 なんならクラスメートよりも実の両親よりも友好的なポリーに既に陥落しつつある。
 愛ことアイシャはポリーから渡された古びたローブをまとい、待たせてあった馬車に乗って、神殿から数キロほど離れた一軒家に連れられた。

「……本当ならアイシャ様は王宮で下にも置かぬ扱いを受けるはずでしたのに」
 悔しさを表情にも声色にも滲ませたポリーの言葉。
「王宮で? 私が? それってどういうこと?」
「少し長くなるのですが……」

 アイシャはポリーから全てを聞いた。
 この世界では不定期に聖女召喚が行われること。今代の召喚がアイシャなこと。聖女は王家に危機が迫るたびに呼ばれるので、本来はとても重宝されているのだが、今代の王太子が暗愚で、聖女を拒否したのだということを。今は拒否しただけで済んでいるが、こんな前代未聞のことをするような人間、暗殺者を送り込んできてもおかしくないと。だから名を変え姿を変え、この住まいで一般人として生活してほしいのだと。その費用は本来迎えに来るはずだった神殿が出すと。自分のことは侍女と思ってほしい、命をかけてお守りしますとも。

 アイシャは全てを聞いたあと、情報量の多さに熱を出してしまった。
 ポリーは大慌てで寝床を整え、今日はもう休むようにと言う。
 その言葉に甘えてアイシャは寝室のベッドで横になった。

 うつらうつらと眠りかけながら、とりあえず衣食住に不自由なくて、あんな可愛い女の子が無条件で慕ってくれたうえに一緒にいてくれて……。元の世界が不自由だったから正直これで何の不満もないなと思いながらアイシャは眠りについた。案外図太いのだ。



 夜が明けた。朝に弱いアイシャに代わってポリーが二人分の朝食を用意してくれた。これには流石にアイシャも恥ずかしくなる。確かポリーは14だと言っていた。17歳の自分が14歳をこき使っているようであまりにもあんまりな……明日は自分も頑張ろう。

 アイシャが食べ終わって一息つくと、ポリーが意を決して聞いてくる。
「アイシャ様にはどのような能力がございますか?」
「え、能力って?」
「聖女様は例外なく何かしらの特別な力を持ってこの世界にいらっしゃいます。ですから、アイシャ様にも能力があるはずなのです。歴代の聖女様は誰に言われるでもなく、その力を行使していたと聞き及んでおります。……最も、アイシャ様は初日から過酷な状況でいらっしゃいました。他の聖女様達と同じように出来ないのも当然ですから、万が一能力がなくても気に病まないでくださいませ」

 ポリーはそう慰めてくれるが、アイシャはそれを聞いて合点がいくところがあった。
 初日は疲れが溜まってそれどころではなかったが、実は今朝から身体の中で何か力のようなものがぐるぐると渦を巻いているような感じがするのだ。それを説明すると、ポリーは庭に連れ出して少し離れたところにある枯れ木を指さした。

「あの木に何か出来ますか?」
「うん……やってみる」

 アイシャは手を前にかざし、集中する。すると、大気中の魔力がアイシャに集まっていくのがポリーには分かった。

「炎よ、あの枯れ木を燃やし尽くせ!」

 アイシャがそう叫んだ瞬間、枯れ木がぼわっと一瞬で炎上した。その光景に驚くポリーだったが、周りを林に囲まれたこの一軒屋、火事になったらまずいと慌てて消火に向かうも、炎は周りの草木も隣接する木の枝の葉も一切燃やさずに枯れ木だけを燃やし続けていた。

「何というコントロール……これが魔法の無い世界から来た人間が初めて使う魔法だというの……」

 ポリーが感嘆している間に、炎は枯れ木を炭にまるまで燃やし尽くして消えた。

 無事魔法を発現させたアイシャだったが、だからといって隠れて住まう必要があるんだから、使い道はないよねと思っていたら、ポリーのほうから積極的に使うように言われてしまった。

「聖女は王家の危機に対応した能力を持って召喚されます。つまり、それほどの攻撃力と正確性が必要とされる国難がこの先、王家に、もしかしたらこの世界に訪れるということです。その能力を磨く必要があります。……冒険者ギルドに登録しましょう」
「ええっ!? わ、私はラノベみたいでそういうの嫌いじゃないからいいけど……その、王家の人達とかにばれたらまずいんじゃないの?」
「今朝、伯父上から伝書鳩が来ました。王家は聖女に関わらないだけで、積極的に害するつもりはないようです。……見殺しにするのも害ですけどね。ともかく、王家はひとまず放置しましょう。閉じこもりっきりもよくありませんし、この際ですから貴方様の天賦の才を世界に見せつけてやりましょう!」

 異世界に来て二日目。アイシャは冒険者ギルドに登録することになった。いよいよラノベみたいだなとちょっと興奮する。



 ギルドは賑わっていたが、少女の二人連れはただの冷やかしだと思われてからかわれることが何度もあった。ポリーはこういうギルドがあることは知っていたが、実際に利用するのは初めてで登録に四苦八苦していた。アイシャはここは年上の自分がしっかりせねばと思うも、読み書きも話すのも不自由はしないが、そもそも冒険者ギルドなんてものが元の世界にないので何が何やらさっぱり分からないという。思えば両親は風邪をひいても病院に連れていったことは一度もなく、一緒にお出かけしたこともない。だから施設を利用するということ自体がよく分からない……どうしよう。
 二人して難儀していたら、通りかかったある男が救いの手を差し伸べてくれた。

「何だ? 二人とも、ここは初めてか。見てな、登録はこうやるんだよ」
 見本を見せながらの説明。お陰で二人は問題なく登録することができた。
「ありがとうございます! 私はアイシャ・サルベーションといいます。貴方のお名前は?」
「俺? 俺はエイベル・ジェンシャンだ。それにしてもサルベーション(救済)とは大層な名前だなあ」
「あ、あはは。よく言われます」
「ま、無理に名前に合わせようなんてするなよ。そういうのは思った以上のストレスになるからな……」
「?」
「それじゃあ、同じギルドにいるならまた会うこともあるだろう。またどこかで」

 エイベルはそのまま人混みの奥に消えていった。アイシャはあんな親切な人もいるんだなと思いながら、この後に受ける任務を選んでいた。


 エイベルは建物を出てひと気のない場所まで行くと、待機していた男に話しかけた。
「……どうだった?」
「宿は無事確保できました。廃屋同然のボロ家ですけど、勘弁してくださいね。それにしても変ですねえ。昨日、聖女降臨の予兆があったというのに、誰もその話をしていないんですよ。新聞はどこも『ただの自然現象である』 と書いているし……」
「何かあったようだな。聖女を尊ぶこの国が聖女に無関心なんて考えにくいが……」
「エイベル様、首を突っ込むのはやめてくださいよ。いくら妾腹の子とはいえ、貴方様は隣国の第三王子という身分なのですから!」
 
 そう言われたエイベルはふっと表情を消した。

「……その身分で良かったと思ったことは一度もない。生まれつき病弱な第二王子には一度も会ったことがないし、第一王子は俺を劣り腹と蔑んで嫌悪していた。地味な嫌がらせを続けるほどに。……だから、この国まで逃げてきた」
「流石にあいつらも隣国まで追いかけてはこないでしょうからね。でも、貴方が王子でなくても乳兄弟の僕には大事な方だ。きな臭いことに首を突っ込むのは控えてくださいよ。せっかくここで一から新たな人生を生きようって時に」
「はいはい、ジミーが心配性なのはよく分かってるよ」
「まったく、自由すぎるお方だ。ところで、ギルドの登録はどうでした?」
「問題なく終わったよ。あと、ちょっと良いこともあった」
「え、何ですか?」
「珍しく可愛い子がいたんだ。こういうギルドって筋骨隆々の男しか来ないと思ったけど、そうでもないんだな。何か訳有りっぽかったし、妙に親近感があるよ」
「ちょっと……隣国まで来て生活を整える前にナンパですか? 勘弁してくださいよ」

 エイベルとジミーは笑いながら宿へ向かっていった。エイベルは今日は取りあえず登録だけして、本格的な行動は明日からするつもりだった。が、アイシャと名乗った少女がどうにも気になって、新居の片づけをジミーに任せてギルドに戻ってしまった。すると、アイシャが一日でAランクの任務を終えたことを知った。
 周りの男達は滅多にいない女性を見てポリーともどもちょっとした姫扱いをしていたが、アイシャが並の男より強いと知ると手のひらを返した。
「はっ、いい気になるなよ。女のくせに」
「ギルドは本来なら男の世界なんだぜ? 身の程を弁えてほしいもんだな」

 ポリーの横で思わず縮こまるアイシャが過去の自分と重なった。王室は血統が全ての世界だ、劣り腹は身の程を弁えて生きろと何度も何度も言われた自分に。だから思わずアイシャに声をかけてしまった。

「やあアイシャ!」
「あれ、エイベルさん?」
「凄いじゃないか、初日でAランクなんて。周りのヤジなんか気にするなよ。力も劣っていれば人間としての器の大きさも劣ってますって言ってるようなものだからな」

 周りの男達は苦虫を噛み潰したような顔をして黙りこくった。

「あ、ありがとうございます」
「俺は応援してるからな。強い女大いに結構。そういう女が好きな男だっているんだし」

 アイシャは周りのヤジで心が挫けかけたが、エイベルの言葉で持ち直した。そして同時に、エイベルさんはそういう人が好みなのかな? もっと頑張れば私も好きになってもらえるかな? と思ってしまい、顔を赤らめた。
 とその時、片付けから逃亡した主人を探しにジミーがギルドまでやってきた。
「ちょっとエイベル様……って」
 ジミーはアイシャの横にいたポリーに目が釘付けになっていた。
 エイベルが不思議に思って声をかけると「か、片付けの続きをしましょう!」 と慌ててその場を離れていった。帰途のついている途中「ナンパとかじゃないんだ、あの二人が周りに理不尽に言われててさ」 と言い訳するエイベルにジミーは「下々の者を助けるのも高貴な方の役目ですよね。うん。……ところで、僕もギルドに登録してもいいですか?」 と言う。
「え、お前『自分は後方支援専門だ』 って言ってなかったっけ?」
「気が変わったんです!」

 と二人はワイワイ騒ぎながら帰って行った。
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