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ドラゴン襲来
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アイシャは二日目にしてギルドの冒険者ランクのAランクに駆け上がった。普通の冒険者は生涯をかけてやっとBランクにいけるくらいだというのに。
当然やっかみもあったが、その度に親切なエイベルという男に助けられた。あの人、良い人だなと時々思い出して気分を上げている。
三日目にしてSランクの任務に挑む。洞窟の奥に潜む、宝を守る大蛇を討伐する任務に。
これは流石に苦労した。――生態系を守るのに。
天井にびっしり張り付くコウモリなどは炎魔法で一掃出来るのだが、それをやったらこの辺りの環境が激変しないかとか、現代日本で育ったアイシャはつい気にしてしまう。お菓子一個洞窟で落としただけで環境が変わるって聞いた事あるし。
やむなく自分の周りに結界を張りながら進む。それでもうっかり足元の虫を踏んでしまうと靴の裏の感触が伝わって背筋がぞわぞわした。虫は得意じゃないんだよなあ。
困ったことといえばそれくらいで、シューシューと威嚇する大蛇に遭遇すると、慌てて雷魔法で一撃。その後炎魔法で火だるまにして討伐した。
腕を磨くためといっても生物の殺生は心が痛むという気持ちと、化け物級の敵と遭遇すると慌てて魔法を連発してしまう、某後ろに立つな系スナイパーは一撃で仕留めるがモットーだったし、何発も放つとか確かに素人丸出し。もっと効率的に殺りたいよな~という気持ちが二つあってアイシャはちょっとだけ自己嫌悪した。
せめて倒した後は、手を合わせて冥福を祈ることにしている。偽善と言われればそれまでだけど……。
そして大蛇の抱えていた宝を取ろうとして気づいた。大蛇は一緒に卵も隠していたのだ。
おそらくこの卵も孵化すれば母親のように大きな蛇になるだろう。そうなる前に……いや、そもそもこの母親だってここに籠っていて人間に危害なんて加えてないのに、勝手に人間からやってきて倒された。生まれる前の子供なんて尚更罪がない。アイシャは卵には手を出さないことにして、宝だけ持って洞窟を出た。
宝は大きな宝石で、安産効果のある霊力が宿っているらしい。神殿が買い取り、必要な人に使ってもらうとのことだ。
◇
Sランクの任務を完遂したことで、アイシャの名声はますます高まった。
そしてポリーは、もう充分に腕を磨いたのではないかと感じ、アイシャにある提案をした。
「アイシャ様。近々王家が結婚式を挙げるそうです。ティアレイ王子とパーラ公爵令嬢の」
「ああ……でも私の身分は平民だから、参加できないよね?」
アイシャはティアレイに特に悪感情を持っていない。現状で不便してないというのもあるし、そもそも会ったことがない。そして自分の身に置き換えて、お前は異世界人と結婚する運命なんだよと人に言われたら、まあ困惑せずにいられないだろうなと同情もしている。少なくともアイシャは「それ子供できるの? 同じ人の形してる? 話通じる?」 と不安になるのは間違いない。まあ実際来てみると全部問題なかったけど。
「王宮前の広場で大々的に式を挙げるそうですよ。……聖女を捨て置いて自分達だけ。いい気なものですよね」
ポリーは王家の悪感情を隠そうとはしない。普段ポリーを優しくて物凄く良い子と思ってるアイシャとしては複雑な気持ちだ。ただポリーの立場からして当然だろうから、否定はしないが。
「何故か嫌な予感がするんです。何か、起きそうな……。伯父上から聞いたのですが、以前王家で同じように聖女を拒否した王子がいたのですが、聖女の治癒能力で病気を完治してもらったのに、結局また死ぬような重症を負ったとか。おそらく神は聖女以外を娶ることをお許しにならない。だから、罰を与えるとしたら……」
式で何かある、ということだろうか。
正直ティアレイはどうでもいいくらいの気持ちだけど、私の能力が必要なくらいの危機が起こるってことは、周りに被害が及ぶかもしれないし……。
結局世話になっているポリーの意を汲んで、アイシャは二人の結婚式を見に行くことにした。
◇
結婚式は大変な豪華さだった。
料理は王都の人間ぶんあるのかというほど大量に出され、見物に来た平民達にも振る舞われていた。居並ぶ貴族は全員華やかな衣装をまとっていて圧倒される。音楽家達が優雅な演奏を奏で、歌姫が極上の歌を披露する。
「神殿関係者は欠席しているようですけど、当然ですね」
ポリーは冷静だった。こんな華やかな光景を見ても神殿の人間が一人もいないのを確認し、少なくともその関係者からは歓迎されていない結婚であることを見抜いている。
その言葉を聞きつつも、日本で華やかなことに無縁だったこともあり、アイシャは眼前の光景に見惚れていた。
やがてバルコニーにティアレイとパーラの二人が現れた。
「私達の結婚式に来て下さり、感謝する」
ティアレイがそう言うと、民衆は沸き立った。たった一人しかいない王家の直系のティアレイと、現状一番高貴な令嬢といえる筆頭公爵家の娘パーラ。絵に描いたような理想の二人に見えた。
「私はパーラを妻とし、王国のますますの繁栄を……」
ティアレイが簡単な演説をしていると、ふっと空が暗くなった。
日食か? とアイシャが空を見上げると、そこには王宮を覆うほど巨大なドラゴンがおり、ティアレイを睨みつけていた。
『鉱山開発で我々の住処を焼いたことは忘れていないぞ! お前達を攫って、直系王族の血を絶やしてくれる!』
民衆の間から悲鳴があがった。我先にと逃げようとして将棋倒しになりかけるところを、アイシャが一時的に重力を操って防いだ。
「くっ……重い……でも良かった。ねえポリー、あのドラゴンの言ってることって……」
「おそらく事実です。とある山から金鉱が発見されて、でもそこはドラゴンの巣で……騎士団は全て討伐したって言っていましたけど……まあ聖女を捨て置くような王家の騎士団ですもんね!」
アイシャとポリーは人の波に逆らってティアレイ達のもとへ走る。バルコニーではティアレイがドラゴンに相対していたが、それは誰が見ても虚勢だった。
「な、ななななんだというんだ! 神聖な結婚式で!」
『だからだろう。我はあの山に住んでいた最後のドラゴンになってしまった。だから、直系最後の一人のお前を、一番幸せな瞬間で台無しにしてやりたかったのさ!』
「くっ……パーラ、どうか私と最後まで……」
大きさからしても敵わないと踏んだティアレイは、せめて婚約者であるパーラと最後までともに居ようとした。が。
ティアレイはパーラによってドラゴンのほうに突き飛ばされた。つまりバルコニーの外に。落下すれば死ぬだけだったティアレイをドラゴンの爪が服を引っかけて防いだ。
「パーラ……?」
「嫌よ! 私は公爵家の人間であって王族ではないもの! 何で私まで犠牲にならなくちゃいけないの!? 貴方一人で死んでよ、王族なら臣民を守って!」
ティアレイは悲壮な顔をしたが、ドラゴンは辺りに轟くような声で笑った。
『こいつは傑作だ! 結婚相手に見放されるとは!』
そしてティアレイを引っかけたまま、空を飛んでいった。ここで殺すつもりではないらしい。
「ティアレイ殿下が……! 危機とはこのことだったのかしら……」
ポリーが冷静に言う。彼女は聖女を裏切った王子が亡くなっても心が痛まない。先に神の教えに逆らったのがティアレイなので。
しかしアイシャは流石にこの事態を見て気の毒になった。近くに落ちてた掃除用の箒に魔法をかけ、その箒にまたがって風を操り舞い上がる。
「何とか助けてくる! ポリー、そこで待っててね!」
アイシャなら出来るという確信がポリーにはあった。……ただ、助けたあとが問題かもしれない。
◇
ドラゴンは王子をひっかけたまま飛んだ。故郷であった、今は鉱山である山へ。そこで王子を見せしめとして殺すつもりなのだ。
そして殺される予定のティアレイ王子は、「パーラが、私を……そんな……嘘だ、嘘だ……」 とブツブツ呟いており、もはや正気がどうかも分からない。だがそんなことはドラゴンに関係ない。
故郷の山まであと少し、となったところで、後ろから少女の声が聞こえた。
「止まって! 話を聞いて!」
ドラゴンは大きな翼をはためかせながらぐるっと回った。箒に乗った少女だ。生まれて初めて見る姿に少しばかり感心してしまう。
「故郷を追われてつらいのは分かるけど、ティアレイ王子を殺すなんてやりすぎだと思います!」
少女のその優等生的意見に鼻白みながら、ドラゴンはあざけるように言う。
『お前の良し悪しなぞ知ったことではない。止めたいなら我を殺して止めてみろ』
「言いましたね? 後悔しないでくださいよ」
アイシャの故郷は熊が良く出た。猟師の方に早く退治してほしいのに、現場に出ないために無理解なお役人、県外から「熊を殺すな」 と電話して業務を滞らせる偽善者達。熊に怯えながら下校したことない人間には害獣がいなくなってくれと切に願う気持ちは分かるまい。私は周りの人達に同じ思いをしてほしくないから、力があるなら退治するって決めてるんだ!
アイシャはドラゴンを見る。風の魔法で切り裂くにも炎で焼くにも、あの鱗の防御力が気になる。今は油断してくれてるけど、一撃で仕留められなかったら自分が危ない。そう考えたアイシャは、搦め手を使うことにした。
「水魔法! ドラゴンの顔を覆って!」
アイシャがそう唱えると、水の膜がドラゴンの顔を覆い、途端にドラゴンが苦しみだす。
『は……? な、息が……』
水を引きはがそうともがいているうちに、ティアレイが空中に放り出された。
箒で猛ダッシュで飛び、何とかキャッチして後ろに乗せる。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……」
ティアレイは、それまで一番美しいと思っていたパーラにも感じた事のない感想をアイシャに抱いた。
「女神……?」
しかしその声はアイシャには届かない。水を飲みほしたドラゴンはアイシャに標的を定めた。
『小娘が、多少魔法を使えるからと調子に乗りおって!』
ドラゴンがまっすぐアイシャに飛んでくる。しかし人質さえ取り戻せばアイシャの敵ではない。
「重力百倍、気圧百倍」
アイシャがそう唱えると、ドラゴンはたちまち苦しみだし、異様な音を出しながら真っ逆さまに地面に落ちていった。
ティアレイはドラゴンがなすすべなく倒される様子に感動していたが、アイシャはドラゴンの身体が爆縮される音ってああなんだ……と少しばかりグロッキーになっていた。思えば復讐しようとするのもそれなりに正当性があったのに、王宮に現れたせいで大事故も起こしかねなかったこともあって倒してしまった。アイシャはそっと手を合わせる。
その様子を見たティアレイはますます感心してしまった。強いだけではなくて慈悲深いなんて、この子こそ真実の愛の相手では?
そんなティアレイの考えを知ることも無く、アイシャは「無事ですね? では王宮までお送りします。もっと早くドラゴンを倒せたら良かったんですけど、ドラゴンが落ちても大丈夫そうなところまで追いかけて来たら、だいぶ遠くなっちゃいまして」 と笑った。
◇
その頃のティアレイを攫われた王宮は酷いものだったとのちのポリーは語った。
国王夫妻が「息子をドラゴンの前に突き飛ばすなんて!」 とパーラに怒り心頭だったが、夫妻の気持ちを考えれば無理もない。そのうち感情的な王妃のほうが「お前なぞもう顔も見たくない! 婚姻もしていないのだから他人だ、今すぐ国から出ていけ!」 と怒鳴りつけた。
しかしパーラは立ち回りの上手い女性だったのか「そんな……あんな状況で……私だって死にたくなかった……」 とシクシク泣いて周りの同情を買った。
「ああまで怒らなくても……」
「あの状況じゃあ、自分もパーラ嬢と同じ行動してしまうかも……」
「そもそも王家の無理な開発が原因のくせに……」
たった一人の跡継ぎが亡くなった以上、次の王は分家から出る可能性がある。そもそも国王夫妻は、我が子であるティアレイを溺愛するあまり、息子が欲しがった鉱山を強引に開発、神の寵児である聖女を無視するように命令するなど、反感を買うことが多すぎた。
そして何より、パーラは美女だった。
彼女のすすり泣く姿に、隣国の第一王子であるクリフォードが憐れみを覚えて駆け寄った。
「ああ、泣かないでくれ。貴方のような美姫に死を強制するなど、なんと情の無い王家だ。こんな国に居る必要はない。私の国に来るといい」
「まあクリフォード様……! うれしゅうございます!」
ポリーはバルコニーの下で何だこの展開は……流行りの婚約破棄ものじゃあるまいし……と呆れていた。そんなポリーの近くで、この一連の流れを見て放心状態の男がいた。
「クリフォード兄上……何という愚かなことを……」
エイベルだった。誰でも遠目に見るだけなら参加可能と聞いて、記念に見てみるかと参加した結婚式。そこでいきなりドラゴンが現れて王子を誘拐しただけでも衝撃なのに、残された王子の婚約者に実の兄(異母兄弟だが)が言い寄るという光景。いや不謹慎だろ! と言ってやりたかった。
しかし周りの貴族の反応はそうではない。
「まあお似合いですわね」
「隣国と縁もできますな」
「上に立つ人間は、冷徹で臨機応変な対応が出来てこそですからな」
最後の言葉は現国王を皮肉っている。誰もこの新たな婚約に異を唱えたりしない。ティアレイがいなくなったら、パーラの兄が王太子になる可能性が高いからだ。未来が無い国王夫妻は切り捨てる。それが彼らの判断だった。
「随分、楽しそうですね」
誰もが幽霊の声を聴いた心地になった。発生源はどこかと探れば、バルコニーの向こうに人が二人浮いている。
「腕利きの魔法使いの力を借りて戻ってまいりました。どうしましたか? 皆さん、そんな驚いた顔をして」
そんなティアレイの横で、アイシャはいたたまれなかった。戻ってきたら何だか王宮内が騒がしい。そもそも自分は平民の身分だし、このままバルコニーからお届け物ですよーって感じで王子と一緒に入っていいものかと迷っているうちに、パーラとクリフォードの婚約締結の現場を見てしまった。今から空気ですって顔しちゃだめですかね?
しかしティアレイはアイシャにバルコニーに下ろすよう促し、仕方なく一緒に下りる。アイシャは自分のことは壁とでも思ってくれとばかりにバルコニーの隅っこに立っていた。
「クリフォード殿とそんな仲だったとは知りませんでした、パーラ公爵令嬢」
「あ、あの……」
パーラは焦っていた。あの状況で生還するなんて思わなかった。生還するって分かってたらあんな対応しなかった! ってか生還したら、私が一方的に悪者になるしかないじゃん!
パーラは権力欲の強い女性だった。だから王妃になりたかった。父親の指示で差別主義者の家庭教師がティアレイ付きになったと知った時は嬉しかった。神殿を軽視して聖女を捨てるように言ったし、自分と結婚するとまで言ってくれた。
聖女の不幸? 異世界人なんかどうでもいいじゃない! あと私が命令したことじゃないし! なのにドラゴンに狙われていると知って、即座にティアレイを捨てた。だって死んだら王妃になれないじゃない。私、ティアレイが好きなわけじゃないもの。ぶっちゃけ我儘だし気が利かないところあるし。王になったら私が手綱握らないとって思ってた。いなくなったらいなくなったで仕方ない、次よ次。泣きながらちらりと隣国の第一王子を見ると、彼はすぐ力になってくれた。やっぱり私は王妃になる運命なのね! ……と思ってたのに。
ティアレイの生存を知った貴族達は手のひらを返した。
「パーラ様があんなはしたない女性だったなんて」
「夫となる人がいなくなったその日に他の男と乳繰り合うなど、普通あり得ませんよね」
「まあ、誘う男も大概ですがね」
自分のことを当てつけられたと思ったクリフォードは即座に弁明した。
「私は気の毒な女性だと思ったからパーラ様をお助けしたいと思ったのです。でもティアレイ殿が戻ったなら気の毒でなくなりましたよね? では失礼します」
そう言ってパーラを置いてそそくさと城を出て行った。残されたパーラは針の筵だった。
「君の気持ちはクリフォード殿にあったんだね? そうでないと私がいなくなってすぐ彼になびくとんでもない尻軽になってしまう」
「あ、わ、私は……」
「婚約者でいる理由はもうないね? 父上、母上、パーラとの婚約を破棄してください。ここにいる全員が証人です」
「よかろう。ティアレイが無事に戻ったからには、何でも言うことを聞こうではないか。今日は最高の日だ」
「ティアレイ、無事で本当に良かった……!」
王も王妃も喜んでいる姿を見て、アイシャはそろそろこっそり抜け出てもいいかなと隅に隅に移動し始めた、が。
「それともう一つ。私を助けてくれた彼女に爵位を与えてください」
王宮の全員の目がアイシャに向いた。他人の視線が得意でないアイシャの喉からはひゅっと息が漏れ出た。
「彼女のお陰で助かったというのか? 良いだろう、公爵の身分を授けようではないか」
「どうしてそんなとろこにいるの? こちらへいらっしゃい。貴方は私の息子の恩人なのだから!」
王族の「お願い」 を無視することも出来ず、アイシャは国王夫妻の前に立つ。
こ、こういう時の立ち方とか礼の仕方とかってあるの? どうしたらいいの? と内心びくびくしているアイシャに国王は名前を聞いた。
「ア、アイシャ、サルベーションと申します」
「サルベーション(救い)? まあ、名は体を表すとは貴方のことね!」
はしゃぐ王妃と反対に、王は厳かに叙爵の儀を行った。
わ、わー……なんかよく分からないけど貰っちゃった。これどうしよう……。
その時バルコニーの下では、心配そうにアイシャを見るポリーと、高みに登っていくアイシャを眩しそうに見つめるエイベルがいた。
当然やっかみもあったが、その度に親切なエイベルという男に助けられた。あの人、良い人だなと時々思い出して気分を上げている。
三日目にしてSランクの任務に挑む。洞窟の奥に潜む、宝を守る大蛇を討伐する任務に。
これは流石に苦労した。――生態系を守るのに。
天井にびっしり張り付くコウモリなどは炎魔法で一掃出来るのだが、それをやったらこの辺りの環境が激変しないかとか、現代日本で育ったアイシャはつい気にしてしまう。お菓子一個洞窟で落としただけで環境が変わるって聞いた事あるし。
やむなく自分の周りに結界を張りながら進む。それでもうっかり足元の虫を踏んでしまうと靴の裏の感触が伝わって背筋がぞわぞわした。虫は得意じゃないんだよなあ。
困ったことといえばそれくらいで、シューシューと威嚇する大蛇に遭遇すると、慌てて雷魔法で一撃。その後炎魔法で火だるまにして討伐した。
腕を磨くためといっても生物の殺生は心が痛むという気持ちと、化け物級の敵と遭遇すると慌てて魔法を連発してしまう、某後ろに立つな系スナイパーは一撃で仕留めるがモットーだったし、何発も放つとか確かに素人丸出し。もっと効率的に殺りたいよな~という気持ちが二つあってアイシャはちょっとだけ自己嫌悪した。
せめて倒した後は、手を合わせて冥福を祈ることにしている。偽善と言われればそれまでだけど……。
そして大蛇の抱えていた宝を取ろうとして気づいた。大蛇は一緒に卵も隠していたのだ。
おそらくこの卵も孵化すれば母親のように大きな蛇になるだろう。そうなる前に……いや、そもそもこの母親だってここに籠っていて人間に危害なんて加えてないのに、勝手に人間からやってきて倒された。生まれる前の子供なんて尚更罪がない。アイシャは卵には手を出さないことにして、宝だけ持って洞窟を出た。
宝は大きな宝石で、安産効果のある霊力が宿っているらしい。神殿が買い取り、必要な人に使ってもらうとのことだ。
◇
Sランクの任務を完遂したことで、アイシャの名声はますます高まった。
そしてポリーは、もう充分に腕を磨いたのではないかと感じ、アイシャにある提案をした。
「アイシャ様。近々王家が結婚式を挙げるそうです。ティアレイ王子とパーラ公爵令嬢の」
「ああ……でも私の身分は平民だから、参加できないよね?」
アイシャはティアレイに特に悪感情を持っていない。現状で不便してないというのもあるし、そもそも会ったことがない。そして自分の身に置き換えて、お前は異世界人と結婚する運命なんだよと人に言われたら、まあ困惑せずにいられないだろうなと同情もしている。少なくともアイシャは「それ子供できるの? 同じ人の形してる? 話通じる?」 と不安になるのは間違いない。まあ実際来てみると全部問題なかったけど。
「王宮前の広場で大々的に式を挙げるそうですよ。……聖女を捨て置いて自分達だけ。いい気なものですよね」
ポリーは王家の悪感情を隠そうとはしない。普段ポリーを優しくて物凄く良い子と思ってるアイシャとしては複雑な気持ちだ。ただポリーの立場からして当然だろうから、否定はしないが。
「何故か嫌な予感がするんです。何か、起きそうな……。伯父上から聞いたのですが、以前王家で同じように聖女を拒否した王子がいたのですが、聖女の治癒能力で病気を完治してもらったのに、結局また死ぬような重症を負ったとか。おそらく神は聖女以外を娶ることをお許しにならない。だから、罰を与えるとしたら……」
式で何かある、ということだろうか。
正直ティアレイはどうでもいいくらいの気持ちだけど、私の能力が必要なくらいの危機が起こるってことは、周りに被害が及ぶかもしれないし……。
結局世話になっているポリーの意を汲んで、アイシャは二人の結婚式を見に行くことにした。
◇
結婚式は大変な豪華さだった。
料理は王都の人間ぶんあるのかというほど大量に出され、見物に来た平民達にも振る舞われていた。居並ぶ貴族は全員華やかな衣装をまとっていて圧倒される。音楽家達が優雅な演奏を奏で、歌姫が極上の歌を披露する。
「神殿関係者は欠席しているようですけど、当然ですね」
ポリーは冷静だった。こんな華やかな光景を見ても神殿の人間が一人もいないのを確認し、少なくともその関係者からは歓迎されていない結婚であることを見抜いている。
その言葉を聞きつつも、日本で華やかなことに無縁だったこともあり、アイシャは眼前の光景に見惚れていた。
やがてバルコニーにティアレイとパーラの二人が現れた。
「私達の結婚式に来て下さり、感謝する」
ティアレイがそう言うと、民衆は沸き立った。たった一人しかいない王家の直系のティアレイと、現状一番高貴な令嬢といえる筆頭公爵家の娘パーラ。絵に描いたような理想の二人に見えた。
「私はパーラを妻とし、王国のますますの繁栄を……」
ティアレイが簡単な演説をしていると、ふっと空が暗くなった。
日食か? とアイシャが空を見上げると、そこには王宮を覆うほど巨大なドラゴンがおり、ティアレイを睨みつけていた。
『鉱山開発で我々の住処を焼いたことは忘れていないぞ! お前達を攫って、直系王族の血を絶やしてくれる!』
民衆の間から悲鳴があがった。我先にと逃げようとして将棋倒しになりかけるところを、アイシャが一時的に重力を操って防いだ。
「くっ……重い……でも良かった。ねえポリー、あのドラゴンの言ってることって……」
「おそらく事実です。とある山から金鉱が発見されて、でもそこはドラゴンの巣で……騎士団は全て討伐したって言っていましたけど……まあ聖女を捨て置くような王家の騎士団ですもんね!」
アイシャとポリーは人の波に逆らってティアレイ達のもとへ走る。バルコニーではティアレイがドラゴンに相対していたが、それは誰が見ても虚勢だった。
「な、ななななんだというんだ! 神聖な結婚式で!」
『だからだろう。我はあの山に住んでいた最後のドラゴンになってしまった。だから、直系最後の一人のお前を、一番幸せな瞬間で台無しにしてやりたかったのさ!』
「くっ……パーラ、どうか私と最後まで……」
大きさからしても敵わないと踏んだティアレイは、せめて婚約者であるパーラと最後までともに居ようとした。が。
ティアレイはパーラによってドラゴンのほうに突き飛ばされた。つまりバルコニーの外に。落下すれば死ぬだけだったティアレイをドラゴンの爪が服を引っかけて防いだ。
「パーラ……?」
「嫌よ! 私は公爵家の人間であって王族ではないもの! 何で私まで犠牲にならなくちゃいけないの!? 貴方一人で死んでよ、王族なら臣民を守って!」
ティアレイは悲壮な顔をしたが、ドラゴンは辺りに轟くような声で笑った。
『こいつは傑作だ! 結婚相手に見放されるとは!』
そしてティアレイを引っかけたまま、空を飛んでいった。ここで殺すつもりではないらしい。
「ティアレイ殿下が……! 危機とはこのことだったのかしら……」
ポリーが冷静に言う。彼女は聖女を裏切った王子が亡くなっても心が痛まない。先に神の教えに逆らったのがティアレイなので。
しかしアイシャは流石にこの事態を見て気の毒になった。近くに落ちてた掃除用の箒に魔法をかけ、その箒にまたがって風を操り舞い上がる。
「何とか助けてくる! ポリー、そこで待っててね!」
アイシャなら出来るという確信がポリーにはあった。……ただ、助けたあとが問題かもしれない。
◇
ドラゴンは王子をひっかけたまま飛んだ。故郷であった、今は鉱山である山へ。そこで王子を見せしめとして殺すつもりなのだ。
そして殺される予定のティアレイ王子は、「パーラが、私を……そんな……嘘だ、嘘だ……」 とブツブツ呟いており、もはや正気がどうかも分からない。だがそんなことはドラゴンに関係ない。
故郷の山まであと少し、となったところで、後ろから少女の声が聞こえた。
「止まって! 話を聞いて!」
ドラゴンは大きな翼をはためかせながらぐるっと回った。箒に乗った少女だ。生まれて初めて見る姿に少しばかり感心してしまう。
「故郷を追われてつらいのは分かるけど、ティアレイ王子を殺すなんてやりすぎだと思います!」
少女のその優等生的意見に鼻白みながら、ドラゴンはあざけるように言う。
『お前の良し悪しなぞ知ったことではない。止めたいなら我を殺して止めてみろ』
「言いましたね? 後悔しないでくださいよ」
アイシャの故郷は熊が良く出た。猟師の方に早く退治してほしいのに、現場に出ないために無理解なお役人、県外から「熊を殺すな」 と電話して業務を滞らせる偽善者達。熊に怯えながら下校したことない人間には害獣がいなくなってくれと切に願う気持ちは分かるまい。私は周りの人達に同じ思いをしてほしくないから、力があるなら退治するって決めてるんだ!
アイシャはドラゴンを見る。風の魔法で切り裂くにも炎で焼くにも、あの鱗の防御力が気になる。今は油断してくれてるけど、一撃で仕留められなかったら自分が危ない。そう考えたアイシャは、搦め手を使うことにした。
「水魔法! ドラゴンの顔を覆って!」
アイシャがそう唱えると、水の膜がドラゴンの顔を覆い、途端にドラゴンが苦しみだす。
『は……? な、息が……』
水を引きはがそうともがいているうちに、ティアレイが空中に放り出された。
箒で猛ダッシュで飛び、何とかキャッチして後ろに乗せる。
「大丈夫ですか!?」
「あ、ああ……」
ティアレイは、それまで一番美しいと思っていたパーラにも感じた事のない感想をアイシャに抱いた。
「女神……?」
しかしその声はアイシャには届かない。水を飲みほしたドラゴンはアイシャに標的を定めた。
『小娘が、多少魔法を使えるからと調子に乗りおって!』
ドラゴンがまっすぐアイシャに飛んでくる。しかし人質さえ取り戻せばアイシャの敵ではない。
「重力百倍、気圧百倍」
アイシャがそう唱えると、ドラゴンはたちまち苦しみだし、異様な音を出しながら真っ逆さまに地面に落ちていった。
ティアレイはドラゴンがなすすべなく倒される様子に感動していたが、アイシャはドラゴンの身体が爆縮される音ってああなんだ……と少しばかりグロッキーになっていた。思えば復讐しようとするのもそれなりに正当性があったのに、王宮に現れたせいで大事故も起こしかねなかったこともあって倒してしまった。アイシャはそっと手を合わせる。
その様子を見たティアレイはますます感心してしまった。強いだけではなくて慈悲深いなんて、この子こそ真実の愛の相手では?
そんなティアレイの考えを知ることも無く、アイシャは「無事ですね? では王宮までお送りします。もっと早くドラゴンを倒せたら良かったんですけど、ドラゴンが落ちても大丈夫そうなところまで追いかけて来たら、だいぶ遠くなっちゃいまして」 と笑った。
◇
その頃のティアレイを攫われた王宮は酷いものだったとのちのポリーは語った。
国王夫妻が「息子をドラゴンの前に突き飛ばすなんて!」 とパーラに怒り心頭だったが、夫妻の気持ちを考えれば無理もない。そのうち感情的な王妃のほうが「お前なぞもう顔も見たくない! 婚姻もしていないのだから他人だ、今すぐ国から出ていけ!」 と怒鳴りつけた。
しかしパーラは立ち回りの上手い女性だったのか「そんな……あんな状況で……私だって死にたくなかった……」 とシクシク泣いて周りの同情を買った。
「ああまで怒らなくても……」
「あの状況じゃあ、自分もパーラ嬢と同じ行動してしまうかも……」
「そもそも王家の無理な開発が原因のくせに……」
たった一人の跡継ぎが亡くなった以上、次の王は分家から出る可能性がある。そもそも国王夫妻は、我が子であるティアレイを溺愛するあまり、息子が欲しがった鉱山を強引に開発、神の寵児である聖女を無視するように命令するなど、反感を買うことが多すぎた。
そして何より、パーラは美女だった。
彼女のすすり泣く姿に、隣国の第一王子であるクリフォードが憐れみを覚えて駆け寄った。
「ああ、泣かないでくれ。貴方のような美姫に死を強制するなど、なんと情の無い王家だ。こんな国に居る必要はない。私の国に来るといい」
「まあクリフォード様……! うれしゅうございます!」
ポリーはバルコニーの下で何だこの展開は……流行りの婚約破棄ものじゃあるまいし……と呆れていた。そんなポリーの近くで、この一連の流れを見て放心状態の男がいた。
「クリフォード兄上……何という愚かなことを……」
エイベルだった。誰でも遠目に見るだけなら参加可能と聞いて、記念に見てみるかと参加した結婚式。そこでいきなりドラゴンが現れて王子を誘拐しただけでも衝撃なのに、残された王子の婚約者に実の兄(異母兄弟だが)が言い寄るという光景。いや不謹慎だろ! と言ってやりたかった。
しかし周りの貴族の反応はそうではない。
「まあお似合いですわね」
「隣国と縁もできますな」
「上に立つ人間は、冷徹で臨機応変な対応が出来てこそですからな」
最後の言葉は現国王を皮肉っている。誰もこの新たな婚約に異を唱えたりしない。ティアレイがいなくなったら、パーラの兄が王太子になる可能性が高いからだ。未来が無い国王夫妻は切り捨てる。それが彼らの判断だった。
「随分、楽しそうですね」
誰もが幽霊の声を聴いた心地になった。発生源はどこかと探れば、バルコニーの向こうに人が二人浮いている。
「腕利きの魔法使いの力を借りて戻ってまいりました。どうしましたか? 皆さん、そんな驚いた顔をして」
そんなティアレイの横で、アイシャはいたたまれなかった。戻ってきたら何だか王宮内が騒がしい。そもそも自分は平民の身分だし、このままバルコニーからお届け物ですよーって感じで王子と一緒に入っていいものかと迷っているうちに、パーラとクリフォードの婚約締結の現場を見てしまった。今から空気ですって顔しちゃだめですかね?
しかしティアレイはアイシャにバルコニーに下ろすよう促し、仕方なく一緒に下りる。アイシャは自分のことは壁とでも思ってくれとばかりにバルコニーの隅っこに立っていた。
「クリフォード殿とそんな仲だったとは知りませんでした、パーラ公爵令嬢」
「あ、あの……」
パーラは焦っていた。あの状況で生還するなんて思わなかった。生還するって分かってたらあんな対応しなかった! ってか生還したら、私が一方的に悪者になるしかないじゃん!
パーラは権力欲の強い女性だった。だから王妃になりたかった。父親の指示で差別主義者の家庭教師がティアレイ付きになったと知った時は嬉しかった。神殿を軽視して聖女を捨てるように言ったし、自分と結婚するとまで言ってくれた。
聖女の不幸? 異世界人なんかどうでもいいじゃない! あと私が命令したことじゃないし! なのにドラゴンに狙われていると知って、即座にティアレイを捨てた。だって死んだら王妃になれないじゃない。私、ティアレイが好きなわけじゃないもの。ぶっちゃけ我儘だし気が利かないところあるし。王になったら私が手綱握らないとって思ってた。いなくなったらいなくなったで仕方ない、次よ次。泣きながらちらりと隣国の第一王子を見ると、彼はすぐ力になってくれた。やっぱり私は王妃になる運命なのね! ……と思ってたのに。
ティアレイの生存を知った貴族達は手のひらを返した。
「パーラ様があんなはしたない女性だったなんて」
「夫となる人がいなくなったその日に他の男と乳繰り合うなど、普通あり得ませんよね」
「まあ、誘う男も大概ですがね」
自分のことを当てつけられたと思ったクリフォードは即座に弁明した。
「私は気の毒な女性だと思ったからパーラ様をお助けしたいと思ったのです。でもティアレイ殿が戻ったなら気の毒でなくなりましたよね? では失礼します」
そう言ってパーラを置いてそそくさと城を出て行った。残されたパーラは針の筵だった。
「君の気持ちはクリフォード殿にあったんだね? そうでないと私がいなくなってすぐ彼になびくとんでもない尻軽になってしまう」
「あ、わ、私は……」
「婚約者でいる理由はもうないね? 父上、母上、パーラとの婚約を破棄してください。ここにいる全員が証人です」
「よかろう。ティアレイが無事に戻ったからには、何でも言うことを聞こうではないか。今日は最高の日だ」
「ティアレイ、無事で本当に良かった……!」
王も王妃も喜んでいる姿を見て、アイシャはそろそろこっそり抜け出てもいいかなと隅に隅に移動し始めた、が。
「それともう一つ。私を助けてくれた彼女に爵位を与えてください」
王宮の全員の目がアイシャに向いた。他人の視線が得意でないアイシャの喉からはひゅっと息が漏れ出た。
「彼女のお陰で助かったというのか? 良いだろう、公爵の身分を授けようではないか」
「どうしてそんなとろこにいるの? こちらへいらっしゃい。貴方は私の息子の恩人なのだから!」
王族の「お願い」 を無視することも出来ず、アイシャは国王夫妻の前に立つ。
こ、こういう時の立ち方とか礼の仕方とかってあるの? どうしたらいいの? と内心びくびくしているアイシャに国王は名前を聞いた。
「ア、アイシャ、サルベーションと申します」
「サルベーション(救い)? まあ、名は体を表すとは貴方のことね!」
はしゃぐ王妃と反対に、王は厳かに叙爵の儀を行った。
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その時バルコニーの下では、心配そうにアイシャを見るポリーと、高みに登っていくアイシャを眩しそうに見つめるエイベルがいた。
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