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【第7話】悪魔をもてなす夏野菜たっぷり辛口ピッツァ
【7-21】
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「これからピザ生地を伸ばしてソースを塗るから、その上にこれを載せていくのを手伝ってほしいんだ」
「よく分かんねぇけど、いいよー!」
「じゃあ、まずは生地の準備をするね。すぐ終わるから」
「はーいっ★」
素直に返事をしてワクワクした顔で待機してくれているノヴァユエの姿は、幼児のようで可愛らしい。微笑ましく思いながら、丸めて保存してあったピザ生地を二つ、粉を振りながら麺棒で伸ばして、手早く二種のソースを塗っていく。
ソースのひとつは、マティ様が持ってきてくれた辛口ソース。あまり酸味は無くて、トロッとしている。もうひとつのソースは、トマトとオレンジの中間のような色と味が特徴的な夏野菜を煮詰めて僕が作り置きしているオリジナルソースだ。こちらはほんのり酸味がある爽やかな後口で、辛口ソースとも相性がいい。
「どれが刺激があるやつなのー?」
僕の手元をジッと見つめながら質問してくるノヴァユエに対し、僕は辛口ソースの瓶を指し示した。
「これだよ。今、生地に塗ったのは少しだけだから、このままだと舌がちょっとピリッとするくらいだけど、食べる時にたっぷり塗ると、すごく刺激的になるよ」
「へーっ! 楽しみ★ ねぇ、ねえ、これにさぁ、ミカが切ったもんをブチまければいいの?」
「適当にばら撒くんじゃなくて、飾り付けるように載せてほしいな。せっかくたくさんの色があるんだし、見た目も綺麗に仕上げたほうが美味しさも増していくからね」
「えーっ! 腹に入れば同じじゃーん! やっぱ人間って変なトコ拘ってて面白いね★」
上機嫌にゲラゲラ笑っている緑の悪魔が、小学生男子に見えてくる。クラスに一人くらいはいたよね、何にでも興味を持って可愛げのないことを言いつつも、なんだかんだ色々気に入るのも飽きるのも早いような、騒がしくて賑やかな男子。僕には縁のないタイプの男子だったけれど、クラスで目立つ存在だから嫌でも目に入って、遠目に眺めていたものだ。懐かしい。
あの頃は、そういう人は決して相容れることない相手だと思って、交流しようとも思わなかったけれど、今は、こうしてノヴァユエと向き合って接してみて良かったと感じている。それもまた、この城で過ごしている日々のおかげで得た成長のひとつなのかもしれない。
「さぁ、ノヴァユエ。一緒に具材を載せていこう。僕はこっち、君はこっちの生地を担当するんだよ」
薄く大きく広げ伸ばしてソースを塗った生地のひとつを、ノヴァユエの前に置く。ひとつのピザを丸ごと任せたほうが達成感もあるだろうし、僕もひとつを担当すればそれを横目にお手本にして挑戦してもらえると考えての采配だ。
「まずは、この一番細かく切ってある三種類をまぶしていこうね。何色からでも、どんな順番や配置でもいいけど、出来れば全体に行き渡るようにしてほしいかな」
そう言って示して見せたのは、巨大なパプリカっぽい野菜をみじん切りにしたものだ。黄色、黄緑色、橙色の3種類があって、生のままだと蛍光ペンみたいな発色だけど加熱するとクレヨンのような色味になるのが特徴的だ。鮮やかなカラーリングだし、クセのない風味なので夏場の料理に重宝する。
僕がパプリカもどきたちをボーダー柄に載せていくと、それをジッと観察していたノヴァユエは色がバラバラになるように載せていく。紙吹雪を散らしたようで、とても綺麗だ。
「うん、素敵だね、ノヴァユエ。とっても綺麗。上手だよ」
「えー……、そう? ミカみたいに模様にしたほうが見た目はいいんじゃね?」
「そんなことないよ。僕のもそれなりに見映えするように整えてるけど、ノヴァユエのもすごく素敵だよ。どの色も満遍なく散らしているから、とっても鮮やかだ」
正直、もっと雑というか感覚的にババッとやるのかと思っていたのに、ノヴァユエの配色は意外なほど几帳面で、とてもバランスのいいカラーリングになっている。だからこそ素直に褒めた。褒められた緑の悪魔は嬉しそうにはにかんで、蝙蝠羽を少しだけパタパタさせている。
「……なんかさ、意外と楽しいかも」
「そう? そう感じてくれているなら、嬉しいな。完成したものを食べるときには、もっと楽しくなっていると思うよ」
「ほんとっ!? ボク、もっとやりたい! 次は何するの!?」
「次は、こっちの具を、こうして……」
「それもボクが思う通りに載せていいのっ?」
「勿論。ノヴァユエが好きなように、楽しんで飾っていってね」
「やったーッ★」
無邪気にキラキラ輝く緑の瞳の主が、ちょっと前まで恐ろしい襲撃者だったなんて信じられない。子どものような彼と遊ぶようにトッピングを進めていく僕を、戸棚の上のクックとポッポは満足そうに見下ろし、カミュもずっと黙ったままながらも幸せそうに目を細めて微笑んでいた。
「よく分かんねぇけど、いいよー!」
「じゃあ、まずは生地の準備をするね。すぐ終わるから」
「はーいっ★」
素直に返事をしてワクワクした顔で待機してくれているノヴァユエの姿は、幼児のようで可愛らしい。微笑ましく思いながら、丸めて保存してあったピザ生地を二つ、粉を振りながら麺棒で伸ばして、手早く二種のソースを塗っていく。
ソースのひとつは、マティ様が持ってきてくれた辛口ソース。あまり酸味は無くて、トロッとしている。もうひとつのソースは、トマトとオレンジの中間のような色と味が特徴的な夏野菜を煮詰めて僕が作り置きしているオリジナルソースだ。こちらはほんのり酸味がある爽やかな後口で、辛口ソースとも相性がいい。
「どれが刺激があるやつなのー?」
僕の手元をジッと見つめながら質問してくるノヴァユエに対し、僕は辛口ソースの瓶を指し示した。
「これだよ。今、生地に塗ったのは少しだけだから、このままだと舌がちょっとピリッとするくらいだけど、食べる時にたっぷり塗ると、すごく刺激的になるよ」
「へーっ! 楽しみ★ ねぇ、ねえ、これにさぁ、ミカが切ったもんをブチまければいいの?」
「適当にばら撒くんじゃなくて、飾り付けるように載せてほしいな。せっかくたくさんの色があるんだし、見た目も綺麗に仕上げたほうが美味しさも増していくからね」
「えーっ! 腹に入れば同じじゃーん! やっぱ人間って変なトコ拘ってて面白いね★」
上機嫌にゲラゲラ笑っている緑の悪魔が、小学生男子に見えてくる。クラスに一人くらいはいたよね、何にでも興味を持って可愛げのないことを言いつつも、なんだかんだ色々気に入るのも飽きるのも早いような、騒がしくて賑やかな男子。僕には縁のないタイプの男子だったけれど、クラスで目立つ存在だから嫌でも目に入って、遠目に眺めていたものだ。懐かしい。
あの頃は、そういう人は決して相容れることない相手だと思って、交流しようとも思わなかったけれど、今は、こうしてノヴァユエと向き合って接してみて良かったと感じている。それもまた、この城で過ごしている日々のおかげで得た成長のひとつなのかもしれない。
「さぁ、ノヴァユエ。一緒に具材を載せていこう。僕はこっち、君はこっちの生地を担当するんだよ」
薄く大きく広げ伸ばしてソースを塗った生地のひとつを、ノヴァユエの前に置く。ひとつのピザを丸ごと任せたほうが達成感もあるだろうし、僕もひとつを担当すればそれを横目にお手本にして挑戦してもらえると考えての采配だ。
「まずは、この一番細かく切ってある三種類をまぶしていこうね。何色からでも、どんな順番や配置でもいいけど、出来れば全体に行き渡るようにしてほしいかな」
そう言って示して見せたのは、巨大なパプリカっぽい野菜をみじん切りにしたものだ。黄色、黄緑色、橙色の3種類があって、生のままだと蛍光ペンみたいな発色だけど加熱するとクレヨンのような色味になるのが特徴的だ。鮮やかなカラーリングだし、クセのない風味なので夏場の料理に重宝する。
僕がパプリカもどきたちをボーダー柄に載せていくと、それをジッと観察していたノヴァユエは色がバラバラになるように載せていく。紙吹雪を散らしたようで、とても綺麗だ。
「うん、素敵だね、ノヴァユエ。とっても綺麗。上手だよ」
「えー……、そう? ミカみたいに模様にしたほうが見た目はいいんじゃね?」
「そんなことないよ。僕のもそれなりに見映えするように整えてるけど、ノヴァユエのもすごく素敵だよ。どの色も満遍なく散らしているから、とっても鮮やかだ」
正直、もっと雑というか感覚的にババッとやるのかと思っていたのに、ノヴァユエの配色は意外なほど几帳面で、とてもバランスのいいカラーリングになっている。だからこそ素直に褒めた。褒められた緑の悪魔は嬉しそうにはにかんで、蝙蝠羽を少しだけパタパタさせている。
「……なんかさ、意外と楽しいかも」
「そう? そう感じてくれているなら、嬉しいな。完成したものを食べるときには、もっと楽しくなっていると思うよ」
「ほんとっ!? ボク、もっとやりたい! 次は何するの!?」
「次は、こっちの具を、こうして……」
「それもボクが思う通りに載せていいのっ?」
「勿論。ノヴァユエが好きなように、楽しんで飾っていってね」
「やったーッ★」
無邪気にキラキラ輝く緑の瞳の主が、ちょっと前まで恐ろしい襲撃者だったなんて信じられない。子どものような彼と遊ぶようにトッピングを進めていく僕を、戸棚の上のクックとポッポは満足そうに見下ろし、カミュもずっと黙ったままながらも幸せそうに目を細めて微笑んでいた。
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