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【第10話】聖者も交わるカボチャパーティー
【10-13】
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「えっ……、子ども……!? ほ、ほんとに……!?」
「うーん……、ボクにはよくわっかんねーんだけどさぁ、セレーナがそう言うんだよねー」
「子どもが、出来たって……?」
「オピテルとかいう奴の言う通りだとしたらそうだと思う~みたいなさぁ、アイツもふわっとしたことしか言わないから、ボクもハッキリとは分かんないんだよねー」
焼き菓子のひとつを指先でツンツンとつつきながら、ノヴァユエは痛くないのかと心配になるような角度で首を傾げる。その不思議な体勢を維持したまま、緑色の瞳がチラリとこちらを見てきた。
「人間はさぁ、なんか簡単に繁殖するじゃん?」
「えっ? そ、そうかなぁ……、魔の者から見たらそう感じるかもしれないけど、僕たち人間にとっては、子ども一人が生まれてくるのも、育てていくのも、結構大変なことだと思うんだけど……」
「ふーん。でも、ほらー、ボクたちは自分たちで繁殖しないからさー、自分たちで子孫を増やせるってだけでもさぁ、なんかすごくね? ずるくね? ってなるじゃん? ──そもそもボクたちは子孫を生み出せるようには作られていないわけで、もしセレーナが本当に子どもを身籠ってたとしーたーらー、お父様が創った『カタチ』から外れちゃうからさぁ……」
そこで口を噤んだノヴァユエは、物憂げな様子で視線を落とす。
人間である僕にはイマイチ実感が湧かないけれど、カミュもノヴァユエも、創造主の意に反することをすごく嫌がっているというか、恐れているように思える。だからこそ、もしもセレーナさんが本当に身籠っていたとしたら、それは彼らの「父」にとっては想定外のことで、厳しく罰せられるんだろう。たぶん、ノヴァユエはそのことをすごく気にしている。
「ノヴァユエ。セレーナさんは、なんて言ってたの? その……、聖なる者の繁殖の仕方と、人間の子作りではだいぶ方法が違うような気がするから、僕もよく分からないんだけど……、セレーナさんが本当に身籠っているのかどうか、まだ確定していないんじゃないかなーって思うんだよね……?」
「あー……、なんかさぁ、聖なる者は家族になりたい相手と本気で愛し合うと子どもが出来るらしくてさー、その愛っていうのがボクには意味不明なんだけどさー、ずっと一緒にいたいとか、一番大切にしたいとか、力になってあげたいとか……? なんか、オピテルはそういう感情をセレーナに向けてるっぽくてー? セレーナも、そーゆー気持ちなんだって。……なぁ、ミカー。愛って、何ー?」
その質問に、何故だかドキリとした。
愛とは何か。──その問いに、正解ってあるのだろうか。
愛を謳う言葉は多いし、こういうものだろうという定説だっていくつもある。でも、それは誰かが規則として定められるものではないし、何を愛と捉えるのかは人それぞれなんじゃないかな。
「……僕が知っている『愛』は、たぶん、オピテルさんやセレーナさんたちの間にあるものとは違うと思うんだよね」
「はぁ? 何それぇ……、愛って種族ごとに格差があるもんなのー? めんどくせぇぇ」
「ううん、格差っていうよりも、種類というか……、相手との関係や状況によって、愛って色々な形があるものだから。僕はもともと『愛』に触れる機会があんまり無い環境で生きていて、この世界に転生してから知った愛の形が多いというか……」
「へぇ~? じゃあ、ミカが知ってる愛ってどんなのー?」
自分の中にはどんな愛があるのか。改めて問われると、実に哲学的というか、最適解を出すのが難しい気がしてならない。
僕の心の中に込み上げてくる愛おしさは、大小あわせて色々とあるけれど──、一番大きいのは家族愛だろうか。中水上のおじさんが与えてくれて、出来れば僕も返したかったもの。血の繋がりが無いどころか生まれた世界も種族も異なるジルやカミュやクックやポッポと紡いでいる日常と、彼らとの絆への大きな想い。──それは、家族愛だ。
「僕の中で一番大きな愛情は、家族に対するものだと思うんだ。ジルもカミュも、クックもポッポも、僕とは何もかもが違う存在だけど、可能な限りずっと一緒にいたいし、共に幸せになりたいって願うし、彼らのためならなんでもしてあげたいって思う。僕を一時期育ててくれた人にも、同じように感じていて……。そういうのがたぶん、家族になりたい人への僕なりの気持ちで、愛に近い感情なんじゃないかなって思うんだよね」
上手く言葉に出来ない気持ちを、それでもなんとか口に出してみると、ノヴァユエは真剣に最後まで聞いてくれた。そのうえで、彼はちょっと困ったような表情で首を傾げる。
「……今、ミカが語った『愛情』ってさぁ、……家族になりたがってて子どもも出来たかもしれねぇセレーナたちと何が違うの?」
「うーん……、ボクにはよくわっかんねーんだけどさぁ、セレーナがそう言うんだよねー」
「子どもが、出来たって……?」
「オピテルとかいう奴の言う通りだとしたらそうだと思う~みたいなさぁ、アイツもふわっとしたことしか言わないから、ボクもハッキリとは分かんないんだよねー」
焼き菓子のひとつを指先でツンツンとつつきながら、ノヴァユエは痛くないのかと心配になるような角度で首を傾げる。その不思議な体勢を維持したまま、緑色の瞳がチラリとこちらを見てきた。
「人間はさぁ、なんか簡単に繁殖するじゃん?」
「えっ? そ、そうかなぁ……、魔の者から見たらそう感じるかもしれないけど、僕たち人間にとっては、子ども一人が生まれてくるのも、育てていくのも、結構大変なことだと思うんだけど……」
「ふーん。でも、ほらー、ボクたちは自分たちで繁殖しないからさー、自分たちで子孫を増やせるってだけでもさぁ、なんかすごくね? ずるくね? ってなるじゃん? ──そもそもボクたちは子孫を生み出せるようには作られていないわけで、もしセレーナが本当に子どもを身籠ってたとしーたーらー、お父様が創った『カタチ』から外れちゃうからさぁ……」
そこで口を噤んだノヴァユエは、物憂げな様子で視線を落とす。
人間である僕にはイマイチ実感が湧かないけれど、カミュもノヴァユエも、創造主の意に反することをすごく嫌がっているというか、恐れているように思える。だからこそ、もしもセレーナさんが本当に身籠っていたとしたら、それは彼らの「父」にとっては想定外のことで、厳しく罰せられるんだろう。たぶん、ノヴァユエはそのことをすごく気にしている。
「ノヴァユエ。セレーナさんは、なんて言ってたの? その……、聖なる者の繁殖の仕方と、人間の子作りではだいぶ方法が違うような気がするから、僕もよく分からないんだけど……、セレーナさんが本当に身籠っているのかどうか、まだ確定していないんじゃないかなーって思うんだよね……?」
「あー……、なんかさぁ、聖なる者は家族になりたい相手と本気で愛し合うと子どもが出来るらしくてさー、その愛っていうのがボクには意味不明なんだけどさー、ずっと一緒にいたいとか、一番大切にしたいとか、力になってあげたいとか……? なんか、オピテルはそういう感情をセレーナに向けてるっぽくてー? セレーナも、そーゆー気持ちなんだって。……なぁ、ミカー。愛って、何ー?」
その質問に、何故だかドキリとした。
愛とは何か。──その問いに、正解ってあるのだろうか。
愛を謳う言葉は多いし、こういうものだろうという定説だっていくつもある。でも、それは誰かが規則として定められるものではないし、何を愛と捉えるのかは人それぞれなんじゃないかな。
「……僕が知っている『愛』は、たぶん、オピテルさんやセレーナさんたちの間にあるものとは違うと思うんだよね」
「はぁ? 何それぇ……、愛って種族ごとに格差があるもんなのー? めんどくせぇぇ」
「ううん、格差っていうよりも、種類というか……、相手との関係や状況によって、愛って色々な形があるものだから。僕はもともと『愛』に触れる機会があんまり無い環境で生きていて、この世界に転生してから知った愛の形が多いというか……」
「へぇ~? じゃあ、ミカが知ってる愛ってどんなのー?」
自分の中にはどんな愛があるのか。改めて問われると、実に哲学的というか、最適解を出すのが難しい気がしてならない。
僕の心の中に込み上げてくる愛おしさは、大小あわせて色々とあるけれど──、一番大きいのは家族愛だろうか。中水上のおじさんが与えてくれて、出来れば僕も返したかったもの。血の繋がりが無いどころか生まれた世界も種族も異なるジルやカミュやクックやポッポと紡いでいる日常と、彼らとの絆への大きな想い。──それは、家族愛だ。
「僕の中で一番大きな愛情は、家族に対するものだと思うんだ。ジルもカミュも、クックもポッポも、僕とは何もかもが違う存在だけど、可能な限りずっと一緒にいたいし、共に幸せになりたいって願うし、彼らのためならなんでもしてあげたいって思う。僕を一時期育ててくれた人にも、同じように感じていて……。そういうのがたぶん、家族になりたい人への僕なりの気持ちで、愛に近い感情なんじゃないかなって思うんだよね」
上手く言葉に出来ない気持ちを、それでもなんとか口に出してみると、ノヴァユエは真剣に最後まで聞いてくれた。そのうえで、彼はちょっと困ったような表情で首を傾げる。
「……今、ミカが語った『愛情』ってさぁ、……家族になりたがってて子どもも出来たかもしれねぇセレーナたちと何が違うの?」
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