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【第10話】聖者も交わるカボチャパーティー
【10-14】
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「え、っと……、何が違うのかって聞かれても……」
予想外の返しを受けた僕は、オロオロと戸惑い、咄嗟に言葉が出てこない。
──確かに、ノヴァユエの言う通りだ。僕がこの城のみんなや中水上のおじさんと家族になりたい気持ちと、オピテルさんとセレーナさんが家族になりたいという気持ちの根底にあるものには、きっと大差が無い。相手の幸せを願い、ずっと一緒に生きていきたいと祈る想いは、同じはずだ。
でも、それでも、彼らと僕たちの間にある気持ちは異質なものだとも思う。何故なら、セレーナさんたちはおそらく恋をしていて、僕たちはそうではないから。
だけど、だからといって、全く異なる感情というわけでもなくて……。うぅん……、難しい。一生かけても答えが見つからないような、抽象的な難題を持ち掛けられたような気分だ。
「あー、ごめんごめんっ★ ミカを困らせるつもりはなかったんだよっ☆ とりあえず、お父様にはまだ伝わってないみたいってのが分かっただけでも良かったー★ ミカ、ありがとねっ☆」
僕が戸惑っているのを感じ取ったのか、ノヴァユエはからりと笑って明るく言ってくれた。気を遣わせちゃったみたいで申し訳ないけど、だからといってきちんとした答えを出せるわけでもないので、一度そのまま流させてもらおう。
「ちゃんと答えられなくて、ごめんね。とりあえず、お茶とお菓子を持って戻ろうか。セレーナさんにちゃんと話を聞いてみたほうがいい気がするし」
「うん、そーだねー。……うーん、ボク的にはアイツの腹ん中には何もいないと思うんだけどさぁ、相手が聖なる者だと、ボクたちじゃ気配を察することが出来ないかもだし、なんとも言えないんだよなぁ」
「……じゃあ、例えば、セレーナさんが子どもが出来たと思い込んでいるだけで本当は違ったとしても、外側からそれを判断するのは難しいっていうことかな?」
「そー、そー。そこが悩みのタネなわけ。……お父様が勘付く前に、どーにかして真相を掴んで、どーにか決着を付けさせないといけないんだけどさぁ……、はぁぁぁぁ、アイツってほんとーに昔っから手が掛かるんだよなぁ」
そう嘆いたノヴァユエは、最後に盛りつけたお菓子から手を離すやいなや、癖が強い緑色の髪をグシャグシャと掻き混ぜる。癇癪を起している姿にも見えるけれど、実際には、そこまで本能的ではないというか、理性が残っている態度だ。
「ノヴァユエは、セレーナさんのことが大事なんだね。君たち魔の者って、家族とか仲間とかそういう感覚が薄いみたいなことをカミュからも何度か聞いているんだけど、ノヴァユエはカミュもセレーナさんも大切にしているよね」
「えー……、なんか、改めてそうやって言われるとなんか違う気がしちゃうんだけどさぁ。でもー、ほらぁ、カマルティユ先輩はカッコいいしさー、セレーナはカワイイじゃん? 大事ってゆーか、ボクは好きだからさぁ、自分の好きなモノは自分の好きな状態であってほしいってゆーかさぁ」
それを世間では「大切」って云うんじゃないかなとか思っちゃうけど、それを伝えるのは無粋だろうから、やめておく。にやついてしまいそうなのを我慢しながら、僕はお茶の用意を整えた。
「……よし。じゃあ、みんなのところに戻ろうか。そろそろセレーナさんも落ち着いてくれた頃かな?」
「大丈夫じゃね? あ、運ぶのはボクがやるよー★」
「うん、ありがとう。じゃあ、お願いするね」
魔法を使って器用に全員分のお茶とお菓子を運んでくれるノヴァユエと共に食堂へ戻ると、カミュとジルとセレーナさんは既にきちんと着席をしていた。僕と目が合うなり、セレーナさんはその場で起立し、カクッと九十度のお辞儀を披露してくれた──のはいいんだけど、すごい勢いでテーブルに額をぶつけてしまっている。
「あい、ったあああ……!」
「だっ、大丈夫……!? 怪我とか……!」
「あああ、大丈夫ですううう、アタクシたちって、人間に比べたらかなり丈夫に出来ておりますのでえええ」
慌てて駆け寄ったけれど、セレーナさんは若干涙目になりつつも健気に首を振った。カミュとノヴァユエは呆れた表情で黙って見ているだけだし、ジルも少し引いた感じで静かに見守っているし、セレーナさんの額も多少は赤くなっているけどそんなに腫れているわけでもないし、うん……、大丈夫、なのかな……?
魔の者が頑丈というのは分かっていても、相手が女性型ということもあって余計に心配になってしまう僕をまっすぐ見つめてきたセレーナさんは、改めて、今度はテーブルにぶつけない程度の角度と勢いで頭を下げる。
「先程は、取り乱してしまって大変失礼しましたあああ。アタクシ、セレーナと申しますううう。アタクシなんかがお手を煩わせて申し訳ないんですけどおおお、少しお話を聞いていただきたいというかぁぁぁ、少しお付き合いいただいてもよろしいですかぁぁぁ?」
予想外の返しを受けた僕は、オロオロと戸惑い、咄嗟に言葉が出てこない。
──確かに、ノヴァユエの言う通りだ。僕がこの城のみんなや中水上のおじさんと家族になりたい気持ちと、オピテルさんとセレーナさんが家族になりたいという気持ちの根底にあるものには、きっと大差が無い。相手の幸せを願い、ずっと一緒に生きていきたいと祈る想いは、同じはずだ。
でも、それでも、彼らと僕たちの間にある気持ちは異質なものだとも思う。何故なら、セレーナさんたちはおそらく恋をしていて、僕たちはそうではないから。
だけど、だからといって、全く異なる感情というわけでもなくて……。うぅん……、難しい。一生かけても答えが見つからないような、抽象的な難題を持ち掛けられたような気分だ。
「あー、ごめんごめんっ★ ミカを困らせるつもりはなかったんだよっ☆ とりあえず、お父様にはまだ伝わってないみたいってのが分かっただけでも良かったー★ ミカ、ありがとねっ☆」
僕が戸惑っているのを感じ取ったのか、ノヴァユエはからりと笑って明るく言ってくれた。気を遣わせちゃったみたいで申し訳ないけど、だからといってきちんとした答えを出せるわけでもないので、一度そのまま流させてもらおう。
「ちゃんと答えられなくて、ごめんね。とりあえず、お茶とお菓子を持って戻ろうか。セレーナさんにちゃんと話を聞いてみたほうがいい気がするし」
「うん、そーだねー。……うーん、ボク的にはアイツの腹ん中には何もいないと思うんだけどさぁ、相手が聖なる者だと、ボクたちじゃ気配を察することが出来ないかもだし、なんとも言えないんだよなぁ」
「……じゃあ、例えば、セレーナさんが子どもが出来たと思い込んでいるだけで本当は違ったとしても、外側からそれを判断するのは難しいっていうことかな?」
「そー、そー。そこが悩みのタネなわけ。……お父様が勘付く前に、どーにかして真相を掴んで、どーにか決着を付けさせないといけないんだけどさぁ……、はぁぁぁぁ、アイツってほんとーに昔っから手が掛かるんだよなぁ」
そう嘆いたノヴァユエは、最後に盛りつけたお菓子から手を離すやいなや、癖が強い緑色の髪をグシャグシャと掻き混ぜる。癇癪を起している姿にも見えるけれど、実際には、そこまで本能的ではないというか、理性が残っている態度だ。
「ノヴァユエは、セレーナさんのことが大事なんだね。君たち魔の者って、家族とか仲間とかそういう感覚が薄いみたいなことをカミュからも何度か聞いているんだけど、ノヴァユエはカミュもセレーナさんも大切にしているよね」
「えー……、なんか、改めてそうやって言われるとなんか違う気がしちゃうんだけどさぁ。でもー、ほらぁ、カマルティユ先輩はカッコいいしさー、セレーナはカワイイじゃん? 大事ってゆーか、ボクは好きだからさぁ、自分の好きなモノは自分の好きな状態であってほしいってゆーかさぁ」
それを世間では「大切」って云うんじゃないかなとか思っちゃうけど、それを伝えるのは無粋だろうから、やめておく。にやついてしまいそうなのを我慢しながら、僕はお茶の用意を整えた。
「……よし。じゃあ、みんなのところに戻ろうか。そろそろセレーナさんも落ち着いてくれた頃かな?」
「大丈夫じゃね? あ、運ぶのはボクがやるよー★」
「うん、ありがとう。じゃあ、お願いするね」
魔法を使って器用に全員分のお茶とお菓子を運んでくれるノヴァユエと共に食堂へ戻ると、カミュとジルとセレーナさんは既にきちんと着席をしていた。僕と目が合うなり、セレーナさんはその場で起立し、カクッと九十度のお辞儀を披露してくれた──のはいいんだけど、すごい勢いでテーブルに額をぶつけてしまっている。
「あい、ったあああ……!」
「だっ、大丈夫……!? 怪我とか……!」
「あああ、大丈夫ですううう、アタクシたちって、人間に比べたらかなり丈夫に出来ておりますのでえええ」
慌てて駆け寄ったけれど、セレーナさんは若干涙目になりつつも健気に首を振った。カミュとノヴァユエは呆れた表情で黙って見ているだけだし、ジルも少し引いた感じで静かに見守っているし、セレーナさんの額も多少は赤くなっているけどそんなに腫れているわけでもないし、うん……、大丈夫、なのかな……?
魔の者が頑丈というのは分かっていても、相手が女性型ということもあって余計に心配になってしまう僕をまっすぐ見つめてきたセレーナさんは、改めて、今度はテーブルにぶつけない程度の角度と勢いで頭を下げる。
「先程は、取り乱してしまって大変失礼しましたあああ。アタクシ、セレーナと申しますううう。アタクシなんかがお手を煩わせて申し訳ないんですけどおおお、少しお話を聞いていただきたいというかぁぁぁ、少しお付き合いいただいてもよろしいですかぁぁぁ?」
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