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【第10話】聖者も交わるカボチャパーティー
【10-26】
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◇
カボチャ(この世界での正式名称はガボンだけど)づくしの色々なお菓子と、新しく淹れたお茶をたっぷり詰めたポットを持ってジルと共に食堂へ行くと、セレーナさんもオピテルさんはすっかり落ち着いた様子で、みんなで着席して和やかに雑談していたようだ。
「あれっ? もしかして、もう話し合いは決着がついた感じなのかな?」
「決着といいますか……、もともと彼らも言い争っていたわけではありませんが、ひとまずお互いに納得して和解できたようですよ」
カミュのその一言を受けて、セレーナさんとオピテルさんが同時に軽く頭を下げてきた。
「お騒がせしてしまって、すみませんでしたぁ。あの後すぐに、ちゃんとお互いの言いたいことを分かり合えたんですよぉ」
「はひぃぃぃ、そうなのですぅぅぅ! 魔王様、ミカ様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでしたぁぁぁ」
セレーナさんは勢いよく頭を下げて、またテーブルに額をぶつけてしまっている。鈍い音が響いたけれど、誰も気にしていない。オピテルさんでさえ、ニコニコしたまま何も動じていないから、魔の者って相当に丈夫なんだなぁ……。
妙な感慨深さをおぼえつつ、僕はみんなに茶菓子を配膳しながら問い掛けた。
「どんな風に分かり合えたのか、聞いてもいい?」
「はひぃぃぃ、アタクシたち、どちらもお互いをとても大事に思っているのは確かでしてぇぇぇ、まだ子どもが出来なくても、これからずっと子どもが出来なくても、それはアタクシの気持ちが足りないとか、同じ気持ちじゃないとか、そういうことじゃないですねぇぇぇ、って結論に落ち着いたのですぅぅぅ」
「はい。ぼくたちは種族が違いますし、それぞれにとっての常識も違いますしねぇ。ただ、お互いに長命なのは確かですし、ゆっくりゆっくり、ひとつずつ解決して、ずっと一緒にいられる方法を探っていきたいですねぇ、と。そのうちにきっと、ぼくの『愛してる』とセレーナさんの『大切で大好き』は違和感なく混じっていくと思うのですぅ」
「そっかぁ……、うん、いいね。ゆっくりゆっくり、たくさん幸せになっていってね」
彼らの幸福な行く末を本気で願いながら、その一方で、残された時間がたくさんある彼らのことが少し羨ましくなってしまう。
僕たちには、もしかしたら、そんなに時間が残っていないかもしれないから。ジルの暴走化を防げたとしても、僕には人間としての寿命しか無い。いずれにせよ、ジルやカミュを置いていってしまう未来はいずれ来てしまうんだ。
命を持っているのは、どんな種族でも同じなのに。
その長さや、守る難しさに差があるのは、どうしてなんだろう。
「──カボチャだって、こんなに色んなお菓子になるなんて思ってもみなかったんだろうな」
無意識に零れ落ちた独り言を受けて、みんなの「えっ?」という視線が僕に集中する。僕は慌てて、笑って首を振った。それを真似して、両肩のクックとポッポもぷるぷると首を振っている。
「ううん、なんでもないよ。……さぁ、みんなでお菓子を食べよう! お茶もたくさんあるからね!」
ジルにも着席を促し、僕もその隣に座った。愛鳥たちは窓辺の定位置へと飛んでいく。僕とジルとカミュは「いただきます」と唱和してから、他のみんなはそれをなんとなく見届けてから、それぞれ思い思いのおやつへ手を伸ばしていった。
「うわーっ★ これ、めっちゃくちゃほくほくしてて甘いー☆」
「んん~、美味しいですねぇ。中はとろっとしているのに、表面はサクサクしていますぅ」
「はひぃぃぃ、こっちのふわふわしたのも美味しいですぅぅぅ」
カボチャで作った色々なお菓子を、それぞれみんなバラバラな種類で食べているのに、同じように満面の笑みを浮かべて「美味しい」と言って喜んでくれている。
なんか、こういう時間っていいなぁ。いつもの顔ぶれでの日々の食事も家族っぽい感じですごく好きだけど、お客さんを招いてみんなでワイワイと食べて楽しむのも素敵だと思う。
「……ミカ、満足したか?」
不意に隣からジルが声を掛けてきた。
「お前がしたかったカボチャの祝宴とやらは、こういう形で良かったのか? もっと人数が多かったり、豪勢な場のほうがよかったとか、そういうことはないか? ……まぁ、残念ながら、ミカが望んだとしても大人数の招待は叶えてやれそうにないが」
「ううん、そんなに大人数でも対応できないし、僕は十分に満足だよ。……ありがとう、ジル。みんなのおかげで、今日もまた素敵な思い出が作れたよ」
たとえ、また明日ジルが暴走しそうになって、防ぎようが無かったとしても、こうして素晴らしい一日を重ねていけたなら、きっと後悔しない。
明日後悔しないために、今日を大切に生きていく。
そんな風に、これからの日々を、一日ずつ大事にしていこう。
みんなの笑顔を胸に刻みながら、僕もカボチャ団子を口に含んで目を細めた。
--------------------------------------------------
第10話はここまでとなります。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
12話で完結予定なので、いよいよ終盤に差し掛かってきたなと感じている今日この頃です。
よろしければ、ご感想などいただけると励みになります。
次話からも引き続きお付き合いいただけますと幸いです^^
カボチャ(この世界での正式名称はガボンだけど)づくしの色々なお菓子と、新しく淹れたお茶をたっぷり詰めたポットを持ってジルと共に食堂へ行くと、セレーナさんもオピテルさんはすっかり落ち着いた様子で、みんなで着席して和やかに雑談していたようだ。
「あれっ? もしかして、もう話し合いは決着がついた感じなのかな?」
「決着といいますか……、もともと彼らも言い争っていたわけではありませんが、ひとまずお互いに納得して和解できたようですよ」
カミュのその一言を受けて、セレーナさんとオピテルさんが同時に軽く頭を下げてきた。
「お騒がせしてしまって、すみませんでしたぁ。あの後すぐに、ちゃんとお互いの言いたいことを分かり合えたんですよぉ」
「はひぃぃぃ、そうなのですぅぅぅ! 魔王様、ミカ様、ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでしたぁぁぁ」
セレーナさんは勢いよく頭を下げて、またテーブルに額をぶつけてしまっている。鈍い音が響いたけれど、誰も気にしていない。オピテルさんでさえ、ニコニコしたまま何も動じていないから、魔の者って相当に丈夫なんだなぁ……。
妙な感慨深さをおぼえつつ、僕はみんなに茶菓子を配膳しながら問い掛けた。
「どんな風に分かり合えたのか、聞いてもいい?」
「はひぃぃぃ、アタクシたち、どちらもお互いをとても大事に思っているのは確かでしてぇぇぇ、まだ子どもが出来なくても、これからずっと子どもが出来なくても、それはアタクシの気持ちが足りないとか、同じ気持ちじゃないとか、そういうことじゃないですねぇぇぇ、って結論に落ち着いたのですぅぅぅ」
「はい。ぼくたちは種族が違いますし、それぞれにとっての常識も違いますしねぇ。ただ、お互いに長命なのは確かですし、ゆっくりゆっくり、ひとつずつ解決して、ずっと一緒にいられる方法を探っていきたいですねぇ、と。そのうちにきっと、ぼくの『愛してる』とセレーナさんの『大切で大好き』は違和感なく混じっていくと思うのですぅ」
「そっかぁ……、うん、いいね。ゆっくりゆっくり、たくさん幸せになっていってね」
彼らの幸福な行く末を本気で願いながら、その一方で、残された時間がたくさんある彼らのことが少し羨ましくなってしまう。
僕たちには、もしかしたら、そんなに時間が残っていないかもしれないから。ジルの暴走化を防げたとしても、僕には人間としての寿命しか無い。いずれにせよ、ジルやカミュを置いていってしまう未来はいずれ来てしまうんだ。
命を持っているのは、どんな種族でも同じなのに。
その長さや、守る難しさに差があるのは、どうしてなんだろう。
「──カボチャだって、こんなに色んなお菓子になるなんて思ってもみなかったんだろうな」
無意識に零れ落ちた独り言を受けて、みんなの「えっ?」という視線が僕に集中する。僕は慌てて、笑って首を振った。それを真似して、両肩のクックとポッポもぷるぷると首を振っている。
「ううん、なんでもないよ。……さぁ、みんなでお菓子を食べよう! お茶もたくさんあるからね!」
ジルにも着席を促し、僕もその隣に座った。愛鳥たちは窓辺の定位置へと飛んでいく。僕とジルとカミュは「いただきます」と唱和してから、他のみんなはそれをなんとなく見届けてから、それぞれ思い思いのおやつへ手を伸ばしていった。
「うわーっ★ これ、めっちゃくちゃほくほくしてて甘いー☆」
「んん~、美味しいですねぇ。中はとろっとしているのに、表面はサクサクしていますぅ」
「はひぃぃぃ、こっちのふわふわしたのも美味しいですぅぅぅ」
カボチャで作った色々なお菓子を、それぞれみんなバラバラな種類で食べているのに、同じように満面の笑みを浮かべて「美味しい」と言って喜んでくれている。
なんか、こういう時間っていいなぁ。いつもの顔ぶれでの日々の食事も家族っぽい感じですごく好きだけど、お客さんを招いてみんなでワイワイと食べて楽しむのも素敵だと思う。
「……ミカ、満足したか?」
不意に隣からジルが声を掛けてきた。
「お前がしたかったカボチャの祝宴とやらは、こういう形で良かったのか? もっと人数が多かったり、豪勢な場のほうがよかったとか、そういうことはないか? ……まぁ、残念ながら、ミカが望んだとしても大人数の招待は叶えてやれそうにないが」
「ううん、そんなに大人数でも対応できないし、僕は十分に満足だよ。……ありがとう、ジル。みんなのおかげで、今日もまた素敵な思い出が作れたよ」
たとえ、また明日ジルが暴走しそうになって、防ぎようが無かったとしても、こうして素晴らしい一日を重ねていけたなら、きっと後悔しない。
明日後悔しないために、今日を大切に生きていく。
そんな風に、これからの日々を、一日ずつ大事にしていこう。
みんなの笑顔を胸に刻みながら、僕もカボチャ団子を口に含んで目を細めた。
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第10話はここまでとなります。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
12話で完結予定なので、いよいよ終盤に差し掛かってきたなと感じている今日この頃です。
よろしければ、ご感想などいただけると励みになります。
次話からも引き続きお付き合いいただけますと幸いです^^
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