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第5章 日南田、おめでとう
5-2 今陽花里が幸せなのは君のおかげだよ、日南田
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日南田は自身の肩にもたれながら、楽しそうに音楽を聴いている陽花里を見て思った。
(そういえば……影李さんのいじめを見て見ぬ振りした……『歴史を改変しなかった世界線』では……陽花里は……自力で立ち直ることが出来たんだよね……)
そう日南田は思ったが、『いじめに介入しなかった世界線』とは決定的に違うところがある。
……それは陽花里が日南田の力を一切借りなかったこと、そして高校を中退せずに復学したことだ。
歴史介入が起きなかった世界線では、影李はこの世界より早く休学し、歌い手としてデビューした。
そして、彼女の曲を聴いて陽花里は復学し……そして聖正と付き合いだしたのだ。
そのことを思い出しながら、日南田はぼんやりと天井を見上げる。
(けど……。『前』の世界の陽花里は、卒業後に家をでていったんだよな……。前の世界線では僕はいじめられなかったから……。いじめられる人の痛さを知らなかった……その未熟さが原因だったんだけど……)
日南田は元々説教を好む性格だった。
今回いじめに遭ったことで、その悪癖は改められたが、それがなかった『いじめに介入しなかった世界』では、陽花里に説教を続けていた。
そのため、そんな日南田の態度に嫌気がさし、
「じゃあね、クソ兄貴!」
という言葉とともに卒業後に実家を出て、聖正と同棲を始めたのが『前の世界線』での出来事だ。
無論、その後陽花里と連絡が取れることがなかった。
(けど……結局、この世界でも影李さんは……時期こそずれたけど歌い手としてデビューして……陽花里がバイトをはじめるきっかけになってくれた……)
影李は学校を自主退学をした後に、この世界線でも歌い手としてデビューした。
そして、彼女の曲を聴いた陽花里は、
「お兄ちゃん! 私、バイト始める! 影李には負けていられないもの!」
と言って、現在働いているカフェでのバイトを決めたことは、今も日南田の中では印象深く残っている。
(けど……。陽花里は『前の世界線』みたいに、復学していたほうが良かったのかな……。そうすれば陽花里は、『勝ち組』の聖正君と付き合って、僕なんかと一緒に暮らさなくて済んだのに……)
間が悪い日南田は、聖正の本性を知ることがなかった。そのこともあり、影李を妊娠させたことについても『偶発的な過失によるもの』と考えている。
そのため、日南田には聖正のことが単に『カースト上位で、恋人には優しい男』に見えていた。加えて自身に対する罪悪感のせいもあり『陽花里は聖正と付き合ったほうが幸せ』と考えているのだろう。
(だから……僕は……ひょっとして……この世界線で……余計なことをした……の……かな……?)
そう思いながら、また日南田は猛烈な睡魔に襲われだした。
「お兄ちゃん? どうしたの?」
心配そうな口調とは裏腹に、陽花里の表情は不自然なほど歪んだ笑顔をしているように見えた。
だが、意識が薄れつつある日南田には、もう反応出来なかあった。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん?」
しばらく心配そうな声が響いたが、日南田からは反応がない。
それを見た陽花里は、
「……今度こそ、眠ったね……」
と、独り言をつぶやいた。
(そういえば……影李さんのいじめを見て見ぬ振りした……『歴史を改変しなかった世界線』では……陽花里は……自力で立ち直ることが出来たんだよね……)
そう日南田は思ったが、『いじめに介入しなかった世界線』とは決定的に違うところがある。
……それは陽花里が日南田の力を一切借りなかったこと、そして高校を中退せずに復学したことだ。
歴史介入が起きなかった世界線では、影李はこの世界より早く休学し、歌い手としてデビューした。
そして、彼女の曲を聴いて陽花里は復学し……そして聖正と付き合いだしたのだ。
そのことを思い出しながら、日南田はぼんやりと天井を見上げる。
(けど……。『前』の世界の陽花里は、卒業後に家をでていったんだよな……。前の世界線では僕はいじめられなかったから……。いじめられる人の痛さを知らなかった……その未熟さが原因だったんだけど……)
日南田は元々説教を好む性格だった。
今回いじめに遭ったことで、その悪癖は改められたが、それがなかった『いじめに介入しなかった世界』では、陽花里に説教を続けていた。
そのため、そんな日南田の態度に嫌気がさし、
「じゃあね、クソ兄貴!」
という言葉とともに卒業後に実家を出て、聖正と同棲を始めたのが『前の世界線』での出来事だ。
無論、その後陽花里と連絡が取れることがなかった。
(けど……結局、この世界でも影李さんは……時期こそずれたけど歌い手としてデビューして……陽花里がバイトをはじめるきっかけになってくれた……)
影李は学校を自主退学をした後に、この世界線でも歌い手としてデビューした。
そして、彼女の曲を聴いた陽花里は、
「お兄ちゃん! 私、バイト始める! 影李には負けていられないもの!」
と言って、現在働いているカフェでのバイトを決めたことは、今も日南田の中では印象深く残っている。
(けど……。陽花里は『前の世界線』みたいに、復学していたほうが良かったのかな……。そうすれば陽花里は、『勝ち組』の聖正君と付き合って、僕なんかと一緒に暮らさなくて済んだのに……)
間が悪い日南田は、聖正の本性を知ることがなかった。そのこともあり、影李を妊娠させたことについても『偶発的な過失によるもの』と考えている。
そのため、日南田には聖正のことが単に『カースト上位で、恋人には優しい男』に見えていた。加えて自身に対する罪悪感のせいもあり『陽花里は聖正と付き合ったほうが幸せ』と考えているのだろう。
(だから……僕は……ひょっとして……この世界線で……余計なことをした……の……かな……?)
そう思いながら、また日南田は猛烈な睡魔に襲われだした。
「お兄ちゃん? どうしたの?」
心配そうな口調とは裏腹に、陽花里の表情は不自然なほど歪んだ笑顔をしているように見えた。
だが、意識が薄れつつある日南田には、もう反応出来なかあった。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん?」
しばらく心配そうな声が響いたが、日南田からは反応がない。
それを見た陽花里は、
「……今度こそ、眠ったね……」
と、独り言をつぶやいた。
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