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第5章 日南田、おめでとう
5-3 罪悪感に浸りながら、甘い世界に耽溺しなよ、二人でさ
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「睡眠薬……コーヒーに入れたから、効き目が悪かったのかな?」
そういいながら陽花里は、日南田が手元から落としたコーヒーのカップをサイドテーブルに戻して笑みを浮かべた。
そしてソファで寝息を立てている日南田に馬乗りになると、
「お兄ちゃん……? ……ううん、『日南田』……」
その顔は高揚して赤く染まりながらも、その瞳からは涙があふれ出る。
その涙はポタリ、と日南田の口に入るが、彼は眠っており気づかない。
「日南田はさ……私のこと……『異性として』好きだったんでしょ?」
返答がない日南田をじっと見つめながら、陽花里は続ける。
「私がひきこもっていた時に……あんなに優しくしてくれた理由……分かってるよ……? 日南田はさ。あの時、弱っていた私の心に付け込もうとしていたんでしょ? そうじゃなきゃ、あんなに優しくしてくれるはず、ないもの……」
陽花里は部屋から出た直後に二人で抱き合ったときのことを思い出した。
その記憶は、日南田にとって『影李と下校したときの記憶』と同じくらい、彼女のの中では鮮明に輝いていたのだ。
陽花里は、ぽたりぽたりと流れる涙をぬぐおうともせず、眠りについた日南田に語りかける。
「そうやってさ……弱ってる私に……優しくして『あげる』ことで、私に惚れてもらう……。日南田……あなたには……そんな『薄汚い下心』があったんだよね……? そう……だよね……? 私には……分かって……いるよ……」
陽花里は日南田の顔を覗き込みながら、馬乗りになって泣きながらほほを染めながら無理に笑みを浮かべて見せる。
「おめでとう……日南田……。その『薄汚い計画』は大成功だね……? ……ごめんね? ……私は、日南田……あなたを……異性として……好きになったから……けど、これは日南田のせいだから……そうだよね?」
……もし陽花里が本心からそう思っているのであれば、これほどまでに罪悪感で涙を流すことなどないし、謝罪の言葉など出るはずがない。
陽花里は『今の自分の発言は、自分の欺瞞ですらない、単なる願望である』ということくらい分かり切っていた。
……だが、それでもそう思い込まないと行えないほど、これから自身が行うことは許されない行為だと、自覚していた。
そして陽花里は、眠っている日南田の唇にそっとキスをして、つぶやく。
「ゴメンね、日南田……あなたを誰にも渡したくないから……」
そういうと、日南田の来ていた服を脱がし、自身が先ほどまで羽織っていた上着の上にかぶせる。……これからすることを暗示するかのように。
「けど、いいよね? ……『僕に何してもいい』って……あの時言ったものね? ……ごめんね、あなたのその発言、利用するから……私と一緒に……『後戻り出来ない関係』になって?」
陽花里は、すでに自身のスマホをサイドテーブルに設置し動画を回している。
そして、これから自分が行う『行為』を撮った動画をばらまかれたくなければ、自身と恋人になるように強要するのが陽花里の魂胆だ。
(日南田……あなたは優しいから……『私が』困ることなんか、できないものね……)
生真面目な日南田は、陽花里を傷つける発言を繰り返していたことに対して、凄まじい罪悪感を抱えている。
そのため、『この動画がばらまかれたことで、自分が性犯罪者として裁かれる』ことなど、甘んじて受け入れてしまうだろう。
……だが、これによって『陽花里が』苦しむのであれば?
ばらまかれたことによって、彼女が就職に支障をきたすような事態になるとしたら?
陽花里を第一に考える日南田のことだ、言うことを聞かざるを得ない。
たとえ仕掛け人が、陽花里本人であってもだ。
(ごめんね、日南田……。あなたのこと、絶対に独り占めしたいけど……。ほかの女のもとに走るなんて、考えたくもないから……)
また、自尊感情がひどく傷ついている陽花里は、このような『浮気も別れ話もできなくなることを保証する、絶対的な担保』がないと、不安をぬぐうことが出来ないのだろう。
(私のこと、恨んでもいい……私のことで頭を一杯にしてくれるなら……けど、日南田。私はあなたから奪うだけじゃないから……)
そう思いながら、陽花里は自身の机に置いてあるノートを見やる。
そこには、日南田が二人暮らしをしていた時にぼやいていた『彼女が出来たら、やりたいこと』をびっしりと書き留めてある。
(あなたが『彼女が出来たら、やりたかったこと』は私が全部してあげるし、1年で普通の女の一生分は、愛してあげるね? ……それと……)
そして、日南田はリボンの紐を緩め、泣き笑いの表情を浮かべる。
無論、日南田を性的快楽によって自身に縛り付けることも、これから行う凶行の目的であることは言うまでもない。
「辛い思い出は、全部私が上書きしてあげるから!」
……彼女がそうつぶやく姿と言葉は、皮肉にも『前の世界線』では恋人同士でもあった聖正が、『今の世界線』で影李と関係を結ぼうとした際につぶやいたときの言葉と、ほぼ同じものだった。
そういいながら陽花里は、日南田が手元から落としたコーヒーのカップをサイドテーブルに戻して笑みを浮かべた。
そしてソファで寝息を立てている日南田に馬乗りになると、
「お兄ちゃん……? ……ううん、『日南田』……」
その顔は高揚して赤く染まりながらも、その瞳からは涙があふれ出る。
その涙はポタリ、と日南田の口に入るが、彼は眠っており気づかない。
「日南田はさ……私のこと……『異性として』好きだったんでしょ?」
返答がない日南田をじっと見つめながら、陽花里は続ける。
「私がひきこもっていた時に……あんなに優しくしてくれた理由……分かってるよ……? 日南田はさ。あの時、弱っていた私の心に付け込もうとしていたんでしょ? そうじゃなきゃ、あんなに優しくしてくれるはず、ないもの……」
陽花里は部屋から出た直後に二人で抱き合ったときのことを思い出した。
その記憶は、日南田にとって『影李と下校したときの記憶』と同じくらい、彼女のの中では鮮明に輝いていたのだ。
陽花里は、ぽたりぽたりと流れる涙をぬぐおうともせず、眠りについた日南田に語りかける。
「そうやってさ……弱ってる私に……優しくして『あげる』ことで、私に惚れてもらう……。日南田……あなたには……そんな『薄汚い下心』があったんだよね……? そう……だよね……? 私には……分かって……いるよ……」
陽花里は日南田の顔を覗き込みながら、馬乗りになって泣きながらほほを染めながら無理に笑みを浮かべて見せる。
「おめでとう……日南田……。その『薄汚い計画』は大成功だね……? ……ごめんね? ……私は、日南田……あなたを……異性として……好きになったから……けど、これは日南田のせいだから……そうだよね?」
……もし陽花里が本心からそう思っているのであれば、これほどまでに罪悪感で涙を流すことなどないし、謝罪の言葉など出るはずがない。
陽花里は『今の自分の発言は、自分の欺瞞ですらない、単なる願望である』ということくらい分かり切っていた。
……だが、それでもそう思い込まないと行えないほど、これから自身が行うことは許されない行為だと、自覚していた。
そして陽花里は、眠っている日南田の唇にそっとキスをして、つぶやく。
「ゴメンね、日南田……あなたを誰にも渡したくないから……」
そういうと、日南田の来ていた服を脱がし、自身が先ほどまで羽織っていた上着の上にかぶせる。……これからすることを暗示するかのように。
「けど、いいよね? ……『僕に何してもいい』って……あの時言ったものね? ……ごめんね、あなたのその発言、利用するから……私と一緒に……『後戻り出来ない関係』になって?」
陽花里は、すでに自身のスマホをサイドテーブルに設置し動画を回している。
そして、これから自分が行う『行為』を撮った動画をばらまかれたくなければ、自身と恋人になるように強要するのが陽花里の魂胆だ。
(日南田……あなたは優しいから……『私が』困ることなんか、できないものね……)
生真面目な日南田は、陽花里を傷つける発言を繰り返していたことに対して、凄まじい罪悪感を抱えている。
そのため、『この動画がばらまかれたことで、自分が性犯罪者として裁かれる』ことなど、甘んじて受け入れてしまうだろう。
……だが、これによって『陽花里が』苦しむのであれば?
ばらまかれたことによって、彼女が就職に支障をきたすような事態になるとしたら?
陽花里を第一に考える日南田のことだ、言うことを聞かざるを得ない。
たとえ仕掛け人が、陽花里本人であってもだ。
(ごめんね、日南田……。あなたのこと、絶対に独り占めしたいけど……。ほかの女のもとに走るなんて、考えたくもないから……)
また、自尊感情がひどく傷ついている陽花里は、このような『浮気も別れ話もできなくなることを保証する、絶対的な担保』がないと、不安をぬぐうことが出来ないのだろう。
(私のこと、恨んでもいい……私のことで頭を一杯にしてくれるなら……けど、日南田。私はあなたから奪うだけじゃないから……)
そう思いながら、陽花里は自身の机に置いてあるノートを見やる。
そこには、日南田が二人暮らしをしていた時にぼやいていた『彼女が出来たら、やりたいこと』をびっしりと書き留めてある。
(あなたが『彼女が出来たら、やりたかったこと』は私が全部してあげるし、1年で普通の女の一生分は、愛してあげるね? ……それと……)
そして、日南田はリボンの紐を緩め、泣き笑いの表情を浮かべる。
無論、日南田を性的快楽によって自身に縛り付けることも、これから行う凶行の目的であることは言うまでもない。
「辛い思い出は、全部私が上書きしてあげるから!」
……彼女がそうつぶやく姿と言葉は、皮肉にも『前の世界線』では恋人同士でもあった聖正が、『今の世界線』で影李と関係を結ぼうとした際につぶやいたときの言葉と、ほぼ同じものだった。
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