波紋

茉莉花 香乃

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第三章

02

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バイト先のファミレスの店長に嫌がらせをされた。

嫌がらせ?
セクハラ?

抱きつかれたり、尻触られたり…気持ち悪い。

仕事を教えてくれてる時もやたらと手が触れたりするなと思ってたんだ。必要以上に構う。そんなに何回も同じこと聞かなくても、わかるって。
後から入ってきた女の子にはあっさり教えてた。不思議だった。俺ってそんなに鈍臭そうに見えるのか?

最初は肩がぶつかる程度だった。40歳くらいに見えるけど、なんと30歳だ。ネチっこい目で俺を見る。

女の子にそんなことしたら即、犯罪になるのだろうか?俺だとセクハラにもならないのか?

一ヶ月我慢して辞めた。

そんな時に俊一さんを見かけた。

次のバイトを探してる時に、駅から少し離れたとこにある公園のブランコに座ってた。

家に帰りたくなかった。

スーツ姿で颯爽と歩くかっこいい人だと思った。公園から真っ直ぐの道を歩いて来る。下を向く。前髪の奥から盗み見ると俺を見てる。

誰も俺を気にしない。
あの人だけだった。

ふと顔を上げると目が合った。

驚いた顔をしている。思わず笑ってしまった。頭を下げて挨拶する。無意識だった。

どこかぎこちなく頭を下げてくれる。後ろをキョロキョロと見てる。誰か別の人に挨拶したと思ったのか?ちょっと照れてる顔は可愛い。

それからしばらくしてその人は通らなくなった。
俺もコンビニのバイトが決まった。もっと見てたかったけど仕方ない。稼がないとな。

やっとバイトにも慣れた頃、その人はコンビニにやって来た。
また、驚いた顔をしてる。そんなに驚くことかな?おかしな人だ。

何回かレジを担当したけど、つまみと酒しか買わない。寒くなるにつれて、おでんやレトルトの惣菜も買うようになった。

俺が作ってやりたいよ。…あれ?おかしな思考にびっくりする。たかが、数回目が合っただけの人だ。

でも、俺を見る目は優しかった。俺を見つけるとふっと笑うような気がするんだ。
気のせいだろうか?

毎日見る訳じゃない。

バイトが終わり帰る時に、あの人が買い物を済ませ帰って行く。俺の家の方角と同じ。マンションに入っていくのが見えた。あそこに住んでるのか…。


また、ばあさんに母さんの悪口を言われた。

「あんたの母親は本当にロクでもない女だったさ」

同じことを繰り返し言う。
死者を冒涜するなんて。

「お前の父親は女を見る目がなかったんだね。まんまと騙されてさ」

自分の息子の悪口まで言い始めた。
次に言うことはもうわかってる。

「他人の人生狂わせて、おまけに焼身自殺なんてさ。大迷惑なんだよ」
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