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第四章
02
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「お待たせ」
高校生らしい服装で生活に困っている様子には見えなかった。公園で見かけた時も私服だったけど、服なんか気にしてなかった。郁己の言うばあさんにお金を貰ってないと言ってたから心配してたんだ。
でも、いくら心配だからと言っても俺からのお金は受け取らないだろう。朝食分ですら最初受け取ろうとしなかった。だから、見守ることしかできない。
公園で俺に気付くまで下を向いている姿はブランコを思い出す。ふと顔を上げ俺を見つけると途端に弾ける笑顔。俺が郁己を笑顔にしている…そう思うと嬉しかった。
「行こうか」
「どこ、行くの?」
「買い物」
「何を?」
驚いた顔をしながらも横に並ぶ。食事って言って誘ったからな。
「ホットサンドメーカー、欲しがってただろ?」
「…良いの?」
「ああ、他に欲しいものある?」
「他?何かな…何でも良い?」
「なんだよ?怖いな…そんな高いものは買えないぞ?」
「違うよ!…ランチョンマットとか…?なんかおしゃれな感じするじゃん」
「そか?じゃあ、見ようか?」
「うん」
毎日コンビニで朝食を買うと同じものになる。せっかくキッチンがあるのに温かいものを食べたいだろ?と俺を心配する。
このところ仕事が落ち着いてきて、帰りも早くなった。だから、スーパーに寄ることもできる。
郁己のバイト先にわざわざ行かなくても会えるからスーパーで構わなかった。材料を買っておいたらその分簡単な調理の時間ができるだろう。
だからこれ以上早く家を出なくても大丈夫だ。
夜遅くまでバイトして、朝早くにコンビニに寄ってマンションに来る。自分から来るようになったけど、これ以上は可哀想だ。
俺が作っても良い。でも、郁己は自分で作りたいみたいだ。
食器やキッチン用品が置いてある店に入る。俺も料理をするから大体の調理器具は揃ってる。ホットサンドメーカーを見て、サラダスピナーを見た。
「これ要る?」
「いつも水飛ばして、慌てて拭いてるじゃないか?」
一度洗った方が良いと言ってサラダを洗う。その時に大変そうなんだ。そのまま食べるためにすでに細くなってるから小さなざるに移すときも、水を切るときもあたふたとしている。その姿は可愛くて、見ていて飽きないけど…楽な方が良いだろ?
「そうだけど…邪魔にならない?」
「邪魔じゃない」
それは郁己自身が邪魔じゃないかと聞いているように思え強く否定した。
「ほら、このままテーブルに出せるし、ボールとしても使えるぞ」
「うん」
郁己のお茶碗と、二人で選んだお揃いのランチョンマットも買った。
休みの日にたまに行く定食屋で昼食を食べてマンションに帰る。郁己はなんでも美味しそうに食べるから、一緒に食べるといつもより美味しく感じる。
どこかに出かけても良かったけど夜にバイトがある郁己を休ませたい。無理はしてない…そう言うけど、心配なんだ。
買ってきたものをテーブルに並べてた時だった。
「この頃帰るの早いんだろ?」
「そうだな…。どうした?」
「俺がバイトのない日に…」
その先を言わないからじっと顔を見て待つ。
「…良い?」
「何が良いんだよ?」
小さすぎて、聞こえないよ。
「俺がバイトのない日に…夜にここに来て良い?」
「鍵を渡しただろ?いつでも来て良いんだ」
朝も必ず今から行くと連絡してから鍵を開ける。それは家を出て直ぐだったり、買い物を済ませ、マンションに入ってからだったりまちまちだった。
高校生らしい服装で生活に困っている様子には見えなかった。公園で見かけた時も私服だったけど、服なんか気にしてなかった。郁己の言うばあさんにお金を貰ってないと言ってたから心配してたんだ。
でも、いくら心配だからと言っても俺からのお金は受け取らないだろう。朝食分ですら最初受け取ろうとしなかった。だから、見守ることしかできない。
公園で俺に気付くまで下を向いている姿はブランコを思い出す。ふと顔を上げ俺を見つけると途端に弾ける笑顔。俺が郁己を笑顔にしている…そう思うと嬉しかった。
「行こうか」
「どこ、行くの?」
「買い物」
「何を?」
驚いた顔をしながらも横に並ぶ。食事って言って誘ったからな。
「ホットサンドメーカー、欲しがってただろ?」
「…良いの?」
「ああ、他に欲しいものある?」
「他?何かな…何でも良い?」
「なんだよ?怖いな…そんな高いものは買えないぞ?」
「違うよ!…ランチョンマットとか…?なんかおしゃれな感じするじゃん」
「そか?じゃあ、見ようか?」
「うん」
毎日コンビニで朝食を買うと同じものになる。せっかくキッチンがあるのに温かいものを食べたいだろ?と俺を心配する。
このところ仕事が落ち着いてきて、帰りも早くなった。だから、スーパーに寄ることもできる。
郁己のバイト先にわざわざ行かなくても会えるからスーパーで構わなかった。材料を買っておいたらその分簡単な調理の時間ができるだろう。
だからこれ以上早く家を出なくても大丈夫だ。
夜遅くまでバイトして、朝早くにコンビニに寄ってマンションに来る。自分から来るようになったけど、これ以上は可哀想だ。
俺が作っても良い。でも、郁己は自分で作りたいみたいだ。
食器やキッチン用品が置いてある店に入る。俺も料理をするから大体の調理器具は揃ってる。ホットサンドメーカーを見て、サラダスピナーを見た。
「これ要る?」
「いつも水飛ばして、慌てて拭いてるじゃないか?」
一度洗った方が良いと言ってサラダを洗う。その時に大変そうなんだ。そのまま食べるためにすでに細くなってるから小さなざるに移すときも、水を切るときもあたふたとしている。その姿は可愛くて、見ていて飽きないけど…楽な方が良いだろ?
「そうだけど…邪魔にならない?」
「邪魔じゃない」
それは郁己自身が邪魔じゃないかと聞いているように思え強く否定した。
「ほら、このままテーブルに出せるし、ボールとしても使えるぞ」
「うん」
郁己のお茶碗と、二人で選んだお揃いのランチョンマットも買った。
休みの日にたまに行く定食屋で昼食を食べてマンションに帰る。郁己はなんでも美味しそうに食べるから、一緒に食べるといつもより美味しく感じる。
どこかに出かけても良かったけど夜にバイトがある郁己を休ませたい。無理はしてない…そう言うけど、心配なんだ。
買ってきたものをテーブルに並べてた時だった。
「この頃帰るの早いんだろ?」
「そうだな…。どうした?」
「俺がバイトのない日に…」
その先を言わないからじっと顔を見て待つ。
「…良い?」
「何が良いんだよ?」
小さすぎて、聞こえないよ。
「俺がバイトのない日に…夜にここに来て良い?」
「鍵を渡しただろ?いつでも来て良いんだ」
朝も必ず今から行くと連絡してから鍵を開ける。それは家を出て直ぐだったり、買い物を済ませ、マンションに入ってからだったりまちまちだった。
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