波紋

茉莉花 香乃

文字の大きさ
15 / 41
第四章

03

しおりを挟む
「嬉しい」

抱きつかれて戸惑う。

「ねえ…あの続きは教えてくれないの?」
「えっ…」

朝食を食べるだけの朝の僅かな時間では会話だけでそれさえ、短く感じる。キスもその先も…考えない訳じゃないけど、朝で良かったと思ってた。

「…お願い」

今までの恋人とは何かが違った。

好きだと思った。
拓真の代わりなのか?兄として拓真にしてやれなかったことを今、郁己にしているのか?
違う。郁己は拓真じゃない。確かに、あの時の俺は拓真にキスしたいと思ったけど、本当に目の前にいたとして…キスするのか?
しないだろう。

それは弟だと言う気持ちだからなのか?拓真は俺を必要とはしなかった。ただの義理の兄。父親に求める愛を俺にも求めていただけ。
義理だとしても父親はいたから、俺なんか居なければ居ないでどうってことない存在。

でも、郁己は俺を必要としてくれる。

こんな俺を真っ直ぐ見て、腕を伸ばし心ごと捕まえる。
もう離してやれない。
可愛い郁己。

その揺れる瞳を悲しみの涙で濡らしたくない。もし、それでも漏れ出てしまうなら俺が拭いて、慰めて、それ以上傷つかないように守ってやりたい。

それに、好きになるのは理屈じゃない。こんな年の離れた子ども相手にこんな気持ちを持つのは理屈じゃないんだ。

顎を持ち唇を触れさせる。

「口を開けろ」
「うん」

キスを深くする。
歯列を順になぞっていく。

「はぁ…」

内頬を尖らせた舌で刺激すると途端に郁己の口から甘い吐息が漏れ、身体が弛緩した。

「郁己、好きだ」

驚いた顔をして俺を見る。好きと言ったことはなかった。郁己からも好意を表す言葉は聞いたことがない。

「俺も…俺も俊一さんが好き」

花びらがひらひら舞い、綺麗な花が幾つもくるくる回り、波紋が大きく広がった。

再びキスをする。後頭部に手を添えて角度を変えて深くキスをする。逃げる舌を追いかけ吸い付いた。

背中に腕を回し必死に俺に抱きつく腕が愛おしい。舌を根元から絡め、お互いの舌先を舐め合った。
郁己を抱いてベッドへ運んだ。抵抗することはなかった。ボタンを外し上着を脱がせる。首筋に舌を這わせ震える郁己を抱きしめる。

「あぁっ…はぁ…」

鎖骨にキスをして、少し下にきつく吸い付いた。

「やっ…」
「嫌か?やめるか?」

怖くなったのか?今ならまだ…。

「ち、違……俊一さんも脱いで」
「そんなことしたら本当にやめられなくなるぞ?」
「いいよ…やめて欲しくないから」

男子高校生らしくない色気で俺を見る。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

僕の幸せは

春夏
BL
【完結しました】 【エールいただきました。ありがとうございます】 【たくさんの“いいね”ありがとうございます】 【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】 恋人に捨てられた悠の心情。 話は別れから始まります。全編が悠の視点です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

ボーダーライン

瑞原唯子
BL
最初に好きになったのは隣の席の美少女だった。しかし、彼女と瓜二つの双子の兄に報復でキスされて以降、彼のことばかりが気になるようになり――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【完結】恋人になりたかった

ivy
BL
初めてのキスは、 すべてが始まった合図だと思っていた。 優しい大地と過ごす時間は、 律にとって特別で、 手放したくないものになっていく。 けれど……

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

処理中です...