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第四章
01
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◆◆◆◆◆
「大沢くん。この子の事知ってるの?」
僕の身体をあちこち診ながら勘解由小路さんが碧空くんに聞く。重くて申し訳ないと思いながら、膝から下りられなかった。
怖かった。
精一杯抵抗したけど、二人相手にはやはり僕の力では押さえ込まれてしまった。頬を殴られた時になんとか蹴りを入れたらヒットしたけど、直ぐに態勢を立て直されて、逆上して髪を引っ張られた。
痛っと怯んだら後ろから羽交い締めにされウイッグを取られた。ニヤニヤと笑う大塚は、ヒューと口笛を吹き顎を持つ。
気持ち悪い。頭を振って抵抗するも後ろから抑えられれば何もできない。足をバタつかせても難なく押さえ込まれ、ズボンを下された。
そんなことを考えながら碧空くんの膝に座るのは恥ずかしい。大塚に触られるのは気持ち悪かったけど碧空くんになら平気。だんだんと顔に熱が集まってきていたたまれない。
「はい、小学生の時から知ってます。ずっと探してたんです」
はっきりと、僕に聞かせるように言葉にしてくれる。でも、幼馴染にするにはあまりに近すぎると気づいた。モゾモゾと動き隣の椅子に移ろうとすると、その動きに気付き腰を抱く力が強くなった。碧空くんの顔を見ると笑顔で見つめられる。
「どうした?」
今までとは違う雰囲気に戸惑う。
優しくプラチナブロンドの髪に指を絡ませこうするの久しぶりだと嬉しそうに呟いた。今僕はズボンは履いていない。勘解由小路さんの診察を受けるために生白い足をさらけ出して、服も捲られている。
「顔だけみたいだな」
そう言ってもう一度毛布をかけてくれた。
「安田くん、大沢くんの言うことは本当?」
「はい」
「一つ聞いてもいい?ここに入った時、一番最初に会ったよね?その時には気付いてなかったの?」
「えっ…いえ…わかってました」
そうだ。知ってたけど、他人のふりをして無視したんだ。
「ああ、あの時牧野くんにって言ったのを直ぐに断ったのも大沢くんの事があったから?」
「いえ、そう言うわけではないんです」
「智親と何かあったのか?」
碧空くんが少し怒った口調で聞く。
「ああ、違うんだ。この子の容姿が皆にバレれば危険だから、牧野くんに食べられちゃえばっ…」
「えっ!姫、智親と?」
「ち、違うよ。そんなことない。僕は碧空くんが好きだから…」
自分から告白してしまった。
恥ずかしいけど、ここははっきり誤解を解いておきたい。例え碧空くんが僕をどう思っていようと。
「何か事情がありそうだね。でも安田くん、今好きって言ったよね?君もフリーだから問題ないね、大沢くん。この子の事守ってあげてね」
さらりと僕の言葉を拾い確認する。
「はい。もちろんです」
「えっ?桜庭さんは?」
「克さんは大学生の恋人がいるんだ。その人に頼まれて守ってただけ。俺も克さんと居るとうるさい奴から逃げられるから、ちょうど良かったんだ。姫が誤解してたなら謝るよ。でも、さっきちゃんと告白しただろ?」
「う、うん」
夢の中の出来事のような気がしてた。あの言葉が今やっと、僕の心に染み込んでくる。
「じゃあ、コンタクトも取ったら?長時間つけてると疲れない?普通のコンタクトレンズとは違うからずっと使い続けるのはお勧めしない」
勘解由小路さんの言葉に碧空くんは喜んでる。
「じゃあ、これからはまた綺麗なブルーの瞳が見られるんだな。姫のことは俺が守るから」
「さっきから姫って呼んでるけど?」
「ああ、碧の本名は姫宮碧です。小学校の時に俺は姫って呼んでたんです」
「そうか、そこまでは知らなかったな。だから、大沢くんはこの子の事がわからなかったんだね」
「はい。どことなく似てるなって気にはなってたんですけど、俺があまり構うと危険ですし」
「そうだね。犯人は八城くんが?」
「はい。篤人と克さんと智親に任せました。碧を連れていってもいいですか?」
顔に湿布を貼った僕は、ほとんど自分の足で立つことなく碧空くんの部屋のソファに座ってる。
途中で僕の部屋に寄って着替えを持ってきた。なぜ着替えと思ったけど、僕はズボンを履いていない。部屋に着いた時、ベッドに座った僕が動く前にどこにあるかを聞き出した碧空くんは勝手にタンスを開けて、勝手にズボンを出して僕に履かせた。おまけに明日の分なと予備の服を用意してカバンに入れた。
「大沢くん。この子の事知ってるの?」
僕の身体をあちこち診ながら勘解由小路さんが碧空くんに聞く。重くて申し訳ないと思いながら、膝から下りられなかった。
怖かった。
精一杯抵抗したけど、二人相手にはやはり僕の力では押さえ込まれてしまった。頬を殴られた時になんとか蹴りを入れたらヒットしたけど、直ぐに態勢を立て直されて、逆上して髪を引っ張られた。
痛っと怯んだら後ろから羽交い締めにされウイッグを取られた。ニヤニヤと笑う大塚は、ヒューと口笛を吹き顎を持つ。
気持ち悪い。頭を振って抵抗するも後ろから抑えられれば何もできない。足をバタつかせても難なく押さえ込まれ、ズボンを下された。
そんなことを考えながら碧空くんの膝に座るのは恥ずかしい。大塚に触られるのは気持ち悪かったけど碧空くんになら平気。だんだんと顔に熱が集まってきていたたまれない。
「はい、小学生の時から知ってます。ずっと探してたんです」
はっきりと、僕に聞かせるように言葉にしてくれる。でも、幼馴染にするにはあまりに近すぎると気づいた。モゾモゾと動き隣の椅子に移ろうとすると、その動きに気付き腰を抱く力が強くなった。碧空くんの顔を見ると笑顔で見つめられる。
「どうした?」
今までとは違う雰囲気に戸惑う。
優しくプラチナブロンドの髪に指を絡ませこうするの久しぶりだと嬉しそうに呟いた。今僕はズボンは履いていない。勘解由小路さんの診察を受けるために生白い足をさらけ出して、服も捲られている。
「顔だけみたいだな」
そう言ってもう一度毛布をかけてくれた。
「安田くん、大沢くんの言うことは本当?」
「はい」
「一つ聞いてもいい?ここに入った時、一番最初に会ったよね?その時には気付いてなかったの?」
「えっ…いえ…わかってました」
そうだ。知ってたけど、他人のふりをして無視したんだ。
「ああ、あの時牧野くんにって言ったのを直ぐに断ったのも大沢くんの事があったから?」
「いえ、そう言うわけではないんです」
「智親と何かあったのか?」
碧空くんが少し怒った口調で聞く。
「ああ、違うんだ。この子の容姿が皆にバレれば危険だから、牧野くんに食べられちゃえばっ…」
「えっ!姫、智親と?」
「ち、違うよ。そんなことない。僕は碧空くんが好きだから…」
自分から告白してしまった。
恥ずかしいけど、ここははっきり誤解を解いておきたい。例え碧空くんが僕をどう思っていようと。
「何か事情がありそうだね。でも安田くん、今好きって言ったよね?君もフリーだから問題ないね、大沢くん。この子の事守ってあげてね」
さらりと僕の言葉を拾い確認する。
「はい。もちろんです」
「えっ?桜庭さんは?」
「克さんは大学生の恋人がいるんだ。その人に頼まれて守ってただけ。俺も克さんと居るとうるさい奴から逃げられるから、ちょうど良かったんだ。姫が誤解してたなら謝るよ。でも、さっきちゃんと告白しただろ?」
「う、うん」
夢の中の出来事のような気がしてた。あの言葉が今やっと、僕の心に染み込んでくる。
「じゃあ、コンタクトも取ったら?長時間つけてると疲れない?普通のコンタクトレンズとは違うからずっと使い続けるのはお勧めしない」
勘解由小路さんの言葉に碧空くんは喜んでる。
「じゃあ、これからはまた綺麗なブルーの瞳が見られるんだな。姫のことは俺が守るから」
「さっきから姫って呼んでるけど?」
「ああ、碧の本名は姫宮碧です。小学校の時に俺は姫って呼んでたんです」
「そうか、そこまでは知らなかったな。だから、大沢くんはこの子の事がわからなかったんだね」
「はい。どことなく似てるなって気にはなってたんですけど、俺があまり構うと危険ですし」
「そうだね。犯人は八城くんが?」
「はい。篤人と克さんと智親に任せました。碧を連れていってもいいですか?」
顔に湿布を貼った僕は、ほとんど自分の足で立つことなく碧空くんの部屋のソファに座ってる。
途中で僕の部屋に寄って着替えを持ってきた。なぜ着替えと思ったけど、僕はズボンを履いていない。部屋に着いた時、ベッドに座った僕が動く前にどこにあるかを聞き出した碧空くんは勝手にタンスを開けて、勝手にズボンを出して僕に履かせた。おまけに明日の分なと予備の服を用意してカバンに入れた。
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