77 / 379
date!
1
しおりを挟むデートが決まった日はなんと、帰りまで送ってもらった。今まではバイトの時間がギリギリのため慌ただしく帰るしかなかったのだが、時間のあるその日にまさかのお迎えがきた。何も言われてなかったおれもあんぐり。
教室のドアから覗く氷怜先輩、お昼の時もそうだったがワイシャツを少し大きめに開けて着ているのでセクシーさが強烈なのかクラスの何人かが顔を赤らめている。
まだ誰も先輩達と仲良しになったなんてクラスメートは知らないのだ。
まさかの御三方の登場におれの教室はかつて見たこともない騒ぎとなった。式だけが嫌そうな顔で眉間にしわを寄せている。
「帰るぞ唯斗」
「先輩どうして……」
おれの名前が呼ばれた事でクラス全員がこちらを向く。なんでお前が的な視線なのかと思ったら女の子も男の子も心底心配した顔でおれに駆け寄った。
「唯斗お前何したんだ!まさかあの人達にもいつもの感じで行っちゃったのか?ついにアホ炸裂したのか?!」
「佳乃ついにって……」
「唯斗くんのバカ!先輩にはせめて距離感保たないと……ぐす」
「わ、みーちゃん泣かないで?大丈夫だから、ね?」
みーちゃんは美容仲間で、仲良し女子友で、定期的な女子会メンバーである。佳乃はクラスのまとめ役でおれもいつの間にか仲良くなったのだ。
みーちゃんを慰めていると、その矛先は秋と優に向いた。困った顔の秋と優は苦笑いでクラスメートに対応する。
「秋裕!優夜!お前らがついていながら」
「いやー多分この流れは俺らも……」
秋が言い終わる前に、黄色い悲鳴が廊下から響いた。ドア近くの男子生徒も羨望のため息交じりだ。
そしてその2人が氷怜先輩の後ろについた。
「早く帰ろ~、ほら、優たんもアッキーも準備ー!」
「ごめんね、なんだかすごい騒ぎになっちゃった」
後光すら見えそうな勢いで美形が集まった。
瑠衣先輩と暮刃先輩に秋も優たんもこうなると思ったと言う顔をしながら先輩達に手を振って応える。
仲良さげなおれらと先輩達を交互に見た佳乃達クラスメートは情けを含んだ目でこう言うのだ。
「お前らみんなあほだったの忘れてたわ……」
失礼である。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
1,348
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる