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care!!
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しおりを挟む手のヒビにより、おれのスケジュールが大きく変わった。
学校バイト学校バイト先輩達のクラブ学校バイト学校バイトのスケジュールからバイトが抜けたのだ。
学校はまだいいよ、みんながいるし話していれば暇じゃない。でも放課後秋と優を見送ると今までやっていたことがぽっかりと穴が空いたように感じるのだ。
クラブに行くにも、毎回送り迎えをつけてもらう感じになっているのでなんだか申し訳ない。だから式とか桃花がクラブに行くついでについて行こうと思ったので、今日はずっと遊んでいなかったクラスメートと遊ぶことになった。
おれが手のヒビで予定がすっからかんというと遊ぼうと言ってきてくれたのだ。しかもみんな次々と参加希望が出て、総勢15名の大人数。このクラスかなり仲良し。
クラスメートの佳乃とみーちゃんがおれを挟んで話し出す。こうして放課後に会うのは本当に久しぶりだ。
「唯斗1人なんて新鮮だな。しかも理由がヒビでバイト出れないってところがお前らしい」
佳乃は明るくてクラス委員長をやっていてみんなを引っ張っているのだ。おれ達が好き勝手やってても突っ込んでくれるしいい友達。
「みんな寂しがってたんだよー3人ですぐ帰っちゃうんだもん」
「ごめんねみーちゃん、美容女子会なかなか開催できてなくて」
「とは言えtalkieでの情報提供は誠に助かっております」
「どういたしまして」
2人でニヤリと笑えば相変わらずだなと佳乃が苦笑した。美容情報はどんな時だって教えて行かねば。
「これちなみどこに向かってんの?」
「カラオケ!」
カラオケなんていつから行ってないだろう。誰かにお前たち3人はどこにいたってカラオケやってるくらい騒がしいなと言われたのを思い出した。あ、それ式だ。
ちなみに式を誘ったら部活だから合流出来たら行くわとの事、どうせなら来れたらいいな。そして土日はバイトに遊びに行こう。椎名も連れて行こう。
頭の中で予定を詰めていくと、おれもしかして1人苦手なのかもしれないと思い始めた。
「おれ、寂しがりかな?」
「なんだよ突然」
唐突な質問にも慣れたもので佳乃とみーちゃんは首をひねった。
「寂しがりというか、1人が似合わない」
綺麗にかぶった言葉に何故か納得。なるほどそういう意見もあるのかと新鮮になる。こうしていろんな人と話すのやっぱり好きなんだよなぁ。
「ちなみに、あの氷怜先輩達がいると噂のクラブの近くにあるカラオケ」
ならば帰りに顔が出せそうだ。桃花も今日はクラブで先輩たちと話し合いって言ってたから連絡を入れておこう。
「おお!先輩達今日いると思うよ。てゆか、あの辺にカラオケあったんだ」
「うわ、唯斗すっかり常連な口ぶりじゃん流石だなぁ」
常連どころかVIPなお部屋貸してもらって先輩達とお昼寝までしてるなんて言えない。
「うーん、とてもとても良くしてもらっております」
手をすり合わせたおれを2人が笑う。
「唯斗だとそんな奇跡が違和感無いからウケるんだよなぁ」
「ウケ……」
「唯斗くん達お話し上手だから先輩たちも好いてくれたんだね」
みーちゃんはのんびり屋さんでとても優しい穏やかな子でおれは癒され過ぎてしまう。しかも彼氏のために7キロ落とした努力家でおれもダイエットを陰ながら支えさせてもらったりした。ああ、女の子尊い。
到着したカラオケで受付をまとめ役の佳乃がしてくれているとカラオケの一室から2人。少し態度の悪い男子高校生が出てきた。トイレに向かうのか荷物は持っていない。
トイレはおれ達がいる受付を通り越してあるようで、通路にいたみーちゃんをおれがいる壁際に引き寄せた。それでも大きな通路で人が邪魔になることは無いだろうけど。
「邪魔」
「わっ」
それなのにちゃんと退けたにも関わらず、あろうことかみーちゃんの肩にぶつかり非難までも口にした。
わざとアテにきたのだ。
「人が通る十分なスペース空けてましたよ」
「ああ?…………ちっ」
おれの言葉に心底嫌そうに反応したが舌打ちするだけでトイレへと入っていった。トイレのドアは閉まったのに大声が聞こえて響く。電話をしているのか怒鳴るように話していた。
「……みーちゃん大丈夫?」
「うん、ありがとう唯斗くん」
みーちゃんも少し怖かったのか眉が下がってしまった。当たった肩をポンポンすればいつもの可愛い笑顔。
「どしたのお前ら」
佳乃が伝票片手に戻ってきた。おれ達は困った顔をするもすぐに笑う。これから楽しいことをするのに落ち込んでいてはもったいない。
「んーん、なんでも!歌うぞー!」
「お!やる気じゃん、何歌うの」
「国家!」
「は?」
佳乃はきょとんだけど、みーちゃんが笑ってくれたので万々歳。
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