sweet!!

仔犬

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care!!!

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黙って聞いていた男は蛇の目を細めると怪訝な顔をする。


「このご時世にしては立派な愛ぶらさげて…………なんだ、まさかno nameはそんな奴らばっかなのか?若さで青春と狂気の差も分かってない。恐ろしいな」


皮肉どころか真顔でそう言った男を見ていたら頭の中で声が響く。


ええ、狂気ってひど~い!

ああダメだ。エリナちゃんが抜けない。
実際のエリナちゃんはもっと可愛いんだけど、この人の掴めなさがエリナちゃんを引き出してしまう。だって彼女は誰に対しても自分を曲げない自信たっぷりに笑うのだ。
でもきっとそれはおれも。


「気に障ったか?どんなに綺麗で良い顔してたって裏を歩いてばかりのアイツらは汚れてる。心酔しきって神格化してるならやめておけよ。そんな綺麗事言ってたら足元すくわれるって言ってんだよ。これは優しい忠告だ」


この人、何をそんなにムキになってるんだろう。
そんな眩しくて何も見えないとか、あの人達を神だと思っているわけじゃ無い。近づけるこの距離で先輩達の世界に触れるのだ。そうして知っていく事で愛しいものに、新たな自分にも出会う。


 そうしておれの気持ちを代弁したように今度は優が怪訝な顔をする番だった。
ツンとした表情で言い返す。

「その言い方、恨みでも?それにあの人達が俺らの事をいいように使ったことなんて無いですし、なんなら対等にすら扱ってくれています」

「対等」

少し大きめの声で反応した榊。その手の火をつけたタバコはもう灰となって役割を終えていた。床に落として踏み潰され新しいタバコに火がつけられる。吐き出した煙が暗い部屋をさらに暗くしたように感じた。


「内側の人間にはそう見えるわけか」

「え?」

「まさしくお姫様だなお前ら、あいつらが王子に見えてしょうがないんだろう。可愛そうに」


疑った事すら無い。先輩の気持ちをあの人達の優しさを。


「見たことあるのか?あいつらが外で何をしてるか、知ってるのか?人傷つける姿を。ちゃんとその目で、見てるのか?」


そう言ってもう一度吐き出した煙は今度はおれの肺の中に入ってきた。嫌な気分、こんなふうに気持ちを揺さぶられた事が無い。
なんでそんなこと言うんだ。あんなに優しい人達を。


「おい、それならあんただって同じだろ。あんたは外からしか見てない。あの人達の本当の姿を知らないだろ」


珍しく秋が強めの口調で訴える。男は黒の髪をかきあげ不敵に笑った。

「そう知らないさ、だけどな俺が見たことも本当だ。片面しか見てなくたってそれは事実だ。だからこうして教えてやってんだろ。あいつらの恐ろしさを、冷たさを」


初めてこんな風に嫌悪を隠さずにあの人達の事を言われた気がした。式も桃花もチームのみんなも先輩達の事が大好きで、おれも秋も優も大好きで。知らない部分だってもちろんある。みんなそうだ。それでも知ってるから。あの優しさを知ってるから。
今日だってこんな事になって困らせているのはおれだ。




「違うよ。あったかくて優しい人達だよ」


またちゃんと笑えた。
この気持ちに嘘がない。この愛しさに亀裂もないから。


「俺には悪魔にしか見えないな」

「何でそんな事…………!」


いつまでも平行線を辿る会話は急に終わりを告げた。




「べつに、悪魔で良いケド?」








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