sweet!!

仔犬

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ローテーブルを囲んで遅めの朝食。大きな窓から日差しが入ると時間が緩やかになった感覚に襲われる。でもおれはやっぱり2人が気になってパンを2回くらい頰に突き刺してしまい瑠衣先輩に爆笑される。


「先輩達今日クラブですか?」

「ああ」

「オレはー今日撮影ー」

「うわーー、みたい!!」


おれたちみたいにスナップで載せてもらったりするのとスタジオでの撮影はまるで違うんだろうな。瑠衣先輩のモデル姿一度は見てみたくてダメ元で叫ぶ。

「今度ネ」

「そうそう今度……え?!い、いいんです」

「いい子にしてたらねー」

「凄い、新作とかたくさんありそう……」

優も好反応だ。
今度は秋が話し氷怜先輩と暮刃先輩が拾っていくと優も話しに混ざっていく。お、これはいい傾向なんじゃないのか?

「みんなは今日バイトだから、赤羽から送り迎えの連絡来ると思うよ」


優の空いたグラスにさりげなくドリンクを追加する暮刃先輩。変わらない優しさに優はありがとうございますと一言。これも普段通りなんだけど目で分かるよおれは。
優はちゃんと目を見る子なのに視線が合わない。

やっぱりまだダメなのか、時間が解決してくれるって実際何時間を指すのか教えて下さい神様。
秋に目線を送ってもサラダのミニトマトを口に突っ込まれるだけだ。

「……トマトは美容に最適なのに」

「ん?トマト好きだけど。全然食ってねえんだもん唯」

「はっ、本当だ」


暮刃先輩と優の動向伺いすぎて、おれとしたことが手が疎かに。また食べ進めると優が秋を見て話す。


「今日秋のとこのスタジオ、バイト終わりに行きたい」

「んお、いいよ」

「えーおれも行く!」


行きますとも。
たまに遊びでダンススタジオ入って、秋に教わって3人で踊るの。これが楽しくて、中学の時は良くやってたけどバイト始めてからはご無沙汰だった。今日のバイトは少し早めに終わるからちょうど良い。

「良い感じに踊れるようになったら氷怜先輩にも教えてあげますね」

「……俺も踊れって?」

「冗談半分です」

「半分は本気なわけか……」

おれが見たいと思うのだから全世界の氷怜先輩ファンが見たいはず。瑠衣先輩がニヤリと笑った。

「ひーはね、ブレイクとか上手いヨ?」

「え!」

おれと秋が期待の眼差しをすると、あまり踊りたくはないのか気まずそうに視線をずらされた。

「……早く食え」

「食べてます」

「俺を見ながら食うな」

暮刃先輩がくすくす笑った。

「じゃあそれも赤羽に伝えるね。もしかしたら帰りは紫苑とかに送らせるかもしれないけど」

「紫苑さん……?」

それってつまり赤羽さん予定があるかもしれないって事だし紫苑さんまで出動させるなんて、秋もいつもひとりで通ってるわけだし流石にご迷惑をおかけするわけにはいかない。


「いやいやそれくらい」

「ダメだ」


その一言でピンと空気が張り詰めた。


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