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仔犬

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「優たち大丈夫かな」

「つーかもうそれよりも、見張りって何の?」



一緒に連れてこられたからには何かあるとは思っていたが、唯達とは別々にされしかもドアの前で待たされている。赤羽が意味深な笑顔でここで見張りをお願いしますと言いスタジオへ行ってしまったのだ。

「さあ……」

首をかしげる桃花だが視線は唯達と別れた通路の方に向いている。式としても優が落ち込んでいる所は珍しいと感じていたし、その心配な心情は分からなくもないがあの3人なら大丈夫な予感はしている。むしろ予想よりも自体を好転させるのではとすら。


「おとぼけでもやるときはやるだろ、あいつら」


壁に寄りかかりぶっきらぼうにそう言う式にようやく桃花が笑うと、不意に後ろのドアから聞こえる声が大きくなり2人は一歩身を引く。


「なんであいつが撮影なんかしてるわけ?!」

「しらねぇ。だいたいお前衣装のままでいいのか」

「これ可愛いから買うの!」

「そうかよ」


2人には聞き覚えがあるその低く気怠げな声。もう1人の声の高い方は知らないがとにかくいろんな意味で因縁の相手だとすぐに気付く。
開いたドアにさらに一歩離れて態勢を整えた2人に李恩は気付くとにやりと笑った。

「……どこかで見たことあると思ったらno nameの奴らじゃねぇか」

「え、氷怜さんの?へえ……」

麗央は氷怜の、とついたものに興味があるが知らない顔にすぐにその注意は無くなってしまう。式は眉をひそめここで待てといった上司に悪態をつく。


「赤羽さんこう言う事なら早く言えって……!」

「榊、なんでお前がいる!」


叫んだ桃花と式が臨戦態勢に入るが李恩は表情も変えず麗央を引っ張り先に進もうとする。

「おい!」

「どこってお前らの可愛いお姫様のとこだろ」

黒髪の男の威圧的な態度はやはり氷怜と同じ何かを感じが、その冷たさは別物だ。まったく興味のなさそうな視線を向けるだけでその目には何も映らない。

「待てよ!」


歩き進める李恩に追いつきその腕を掴んだ式。瞬間、腹に激痛が走り通路の壁に自分の身体が打ち付けられた。


「式!!」


駆け寄った桃花が叫び崩れ落ちた式を起こし綺麗な顔で睨み返す。何も写していない目が嫌そうに歪み振り上げた足を下ろすと低い声が廊下に響く。


「しつけぇな、別にとって食いやしねぇよ」

「……優に手を出した」

「それはそれだ。今回はこいつが高瀬唯斗を見に行くって言うから今回いくだけ」

「は、何。あんた誰かに手出してるわけ?呆れた……ねぇ、俺がこいつに誰かさんに手を出すなって言えばこいつは俺に逆らえない。だから通して」

可愛い顔に似合わず李恩と同じ高圧的な態度で言い放った。


「唯に……?」

桃花が怪訝な顔をすると麗央は心底嫌そうに、それでも唯斗達がいるであろう場所に向かっていく。式と桃花は目線を合わせるが本当に何もしない保証はない。立ち上がった式を担いで桃花はその後を追った。




















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