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rival!
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しおりを挟む「ダイエット?」
もう十分細いのに?優もダイエットには厳しいけどカレンちゃんには必要なさそう。メイクをしながらカレンちゃんと親睦を深めていると出てきたキーワードに首をひねる。
「そうなの、今度私スタイルブック出すんだけどね。絶対に自分史上1番良い体型でこの世に出したいから……それで、それで……」
どうやらカレンちゃん、ふわふわして見えるけどスイッチの入れ方が100か0らしい。よくよく話を聞いてみればものすごい運動量に加えてストレッチ、食事制限。などなど、しかし食事制限をやり過ぎたのか貧血が悪化してしまったらしい。
「エネルギーがなくて冷えちゃったのか」
「ご、ごめんなさい」
納得しただけなのだが、カレンちゃんはものすごい落ち込み、しまいには目に涙を浮かべている。ありゃ、麗央さんに言われて落ち込んでるのかな。
おれは鏡越しに微笑む。
「カレンちゃん血色はメイクでどうにでもなりますよー。すごいなぁ、そこまで食欲に打ち勝てるって簡単じゃないですよ。それに女の子は人一倍ダイエット難しいのに」
「う、でもこうしてみんなに迷惑を……」
泣いても可愛いなぁカレンちゃん、ってそうじゃない。今はしのげたとしてもそのスタイルブック撮影まで身体がもたなかったら元も子もない。
「絶対に食べても太らないレシピあとで渡すので良かったらそれ作ってみてください。お肌もお腹の調子も良くなるし体あったまるので、効果は自分で実証済み!」
Vピースをすればきょとんとしてようやくイメージ通りの柔らかい笑顔を見せてくれた。やっぱり、女の子は笑顔が1番。
「さてと、これで仕上げのグロスっと……こんな感じで大丈夫ですかね?」
「君、本当に男の子、だよね?何でこんなに完璧なの……!」
ガシッと手を掴まれメイクさんが感動している。褒められたのなら良かった良かった。趣味って役に立つものだなぁ。
「ね、あとで君のメイクの仕方を……あ!」
おれをぐいっと引っ張って柚さんが話を遮った。メイクさん話の途中だったのに衣装をポイポイと渡され、パーテーションの向こうに追いやられる、
「はーい、とりあえず今はモデルだから話は終わりね!唯は着替えてこい!おー、カレン良いんじゃん!さっすが唯!」
「やったー!」
褒められたので素直にバンザイ。衣装は白のタンクトップだった。肩のあたりは太めでますます性別が迷子になりそうだ。着替えて出てみれば榊さんと話す麗央さんも同じ服装で嬉しくなる。嫌がられるかもしれないけどおれは嬉しくて麗央さんに駆け寄ると2人の会話が聞こえてきた。
「可愛く仕上がってるじゃねえかよ。器用だなぁお前のコンプレックス見事に消してる」
「うるさい……」
「皮肉なもんだよな。お前が1番許せない相手にそれをされるんだから」
「お前の機嫌の悪さを俺に押し付けるな!」
麗央さんの叫び声のような話し方に、思わず身体が固まる。少し離れたところで式が口パクで何かを言っている。手では払うような仕草でこっちに来るなと言いだけだ。邪魔しない方が良いのかもしれない、でも背中越しの麗央さんがなんだか泣いているように見えたからおれは身体を前へと進めた。
「麗央さん、もうすぐ始まりますよ」
おれの声でバッと振り向いた麗央さんは睨みつけるようにおれを視線で捉えたけど、すぐに深呼吸して目を伏せる。
「せめて女の子だったら……」
「え?」
「……何でもない、今行くから」
痛い。何でだろう、すごく痛い。
麗央さんの長いまつ毛が揺れる瞳を隠しているからかも知れない。
「麗央さん」
「今は何も言わないで、お願い」
少しだけ近づけたと思ったけど、悲しそうな瞳はおれには向かず横を通り過ぎていく。
目の前には真顔の榊さんが腕を組んでいた。ただじっと佇むおれにあの蛇のような目が向けられる。
「……お前も戻ったらどうだ」
「ケンカ、ですか?」
「さあ、いつもの通りだ」
茶化すには少し雰囲気が重いけど、まだまだおれは2人のことを知らないし深入りもしない方が良いのかも知れない。後ろで柚さんの声がして振り返るとカメラの前にカレんちゃんも麗央さんもスタンバイしていた。
「よし!」
ちっちゃく気合を入れ直しておれもそっちに集まるとすっかり顔色が良くなったカレンちゃんが微笑む。
「唯斗くん可愛いメイクほんとにありがとう!体調も良くなったよ!……あと、麗央くんもごめんなさい。それからありがとう。もっと気を付けるね」
「……この前の企画。あんたの私服とメイク紹介、良かった」
「え、見てくれたの?」
ふいっと視線を逸らす麗央さん。良かった、麗央さんの良いところがカレンちゃんにも伝わってる。おれが心配するのもおこがましいけど、何だか嬉しくなってしまった。
「……何、ニヤニヤしてんの。気緩ませたら引っ叩くから」
「前も言いましたけど、やるからには本気がモットーです!」
そうして始まる撮影は順調に進みその日中に撮影を終えた。ちなみに柚さんのボルテージが爆上がりしたのか衣装がどんどん変わって、最終的に天使の羽までついた時には式があんぐりしててそれが面白くて涙出るほど笑ってしまった。
でもどこかで麗央さんの言葉が引っかかるのだ。
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