11 / 13
11.光る幼馴染とドラゴンと眠気
しおりを挟む「ばかなの?」
レイガが失礼な事を言うのでその額にデコピン。まあまあの力加減だったけど、驚いた顔のまま惚けている。
「何がバカなんだよ。大事じゃん羽、つか、翼?スターはゴツゴツで芯のあるカッコいいやつだけど、お前は?だって飛んできたんだからあるだろ、羽」
「いやまず、そこ?」
「え、他に何があんの」
「……ばかなの?」
普通2回も言う?
天才じゃ無いけど成績は悪くないの知ってんじゃんかレイガは。ため息を吐きたいのはオレだったけど何故かスターが吐き出した。ため息なのに風が発生した。
「レイガお前ドラゴンだったの?!とか、じゃない?」
「あー、そういうのもあるね」
「まずそれだろ!」
なんでやねんのツッコミポーズでペシンと肩を叩かれる。レイガの物差しで図られてもしょうがない、気になったのが羽だったんだから。
「だってこうしてドラゴンいるし、今更他にもドラゴンがいるって言われても驚かない……あ、てゆか2人以外にもいるの?」
「いるよ」
スターがうなずいた。
「へぇ~」
何故か沈黙がやってきた、そして突然怒り出すレイガ。
「……へぇって、ちげえよ!まず、お前の幼馴染がドラゴンだったんだぜ?!」
「だから、何。ドラゴンでも幼馴染、幼馴染でもドラゴン。ファンタジー良いんじゃん。オレファンタジー意外と好きだよ」
とりあえず、今はもう何よりも眠気が勝ってきたんだ。スターの背中によじ登りながら帰り支度。ああ、あくびまで出てきた。眠いって大敵、なによりも。
未だにスターの足元で立ち尽くすレイガをお前も登れと声をかける。
「ほら、帰ろう。不満は明日いくらでも聞いてやるから」
動かない。
何がそんなに気になるんだ。ドラゴンだって聞いても目の前のレイガは今まで見てきた幼馴染と全く同じなのだ。
「レイガは、レイガでしょ」
「……これみても言えるのかよ」
すると突然、レイガが光だした。
身体から湧き出る様に金色の光が溢れ出す。やっぱり、金色なんだ。髪の色と同じ。
人型だった光がだんだんと形を変えていく。羽、いや翼だ。細かい白い羽で出来た翼。大きく広がったそれは2メートルくらいありそうで、スターの上からでも良く見える。唯一金を発さないのは青い目で、そこだけがギラギラと青く揺れていた。
風で靡く前髪の隙間、額に少し盛り上がりがある。あんなとこにコブ作ったのレイガ。とか思っていたら角が生えてきた。
スターにもある中間で折れ曲がったツノは鱗が綺麗に重なって先に行くにつれ鋭利になっていく。八重歯が狼みたいで、爪も伸びている。そして金の髪の毛が肩につくほど伸びるとようやく光が落ち着いた。
もともと顔立ちが整っていたけど、まだ少し残る光が余計に神々しく見える。
「これみても、まだお前はおれのこと幼馴染っていうんだな」
睨むような瞳、投げやりな言葉遣い。
やっぱり分からない、何故2人ともオレに怖がっているのか。オレの何に怖がっているのか。
「似合うじゃん」
だからそんなに驚かなくても良いのに。
目が落ちちゃうから気をつけて。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる