おれがアレを授かりまして

石月煤子

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平凡吸血鬼のおれがアレを授かりまして

8-6

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ベッドの外へ放り投げられたクッション。

「俺に咬みついてもいいよ……?」

そう囁いて、比良は、蜜孔のちょっと奥を小刻みに突いた。
どこもかしこも性感帯のような蜜壷内を擦り立てられて、柚木は、咄嗟に比良にしがみつく。

「比良くん……っ……おれ、また……っ」
「うん……一緒にいこうか……」
「ぇっ、ぁっ、ぁっ……ぁ……!」

脈打つペニスが締まりたがりな入り口をリズミカルに執拗に行ったり来たりした。
やや速度の増した溺愛ピストンに柚木の顔は切なげに捩れる。
汗ばんでしっとりした比良の肌に爪を立て、咬みつかずに、ただ息を切らした。

「ぃっ……ぃっひゃ……ッ……ッ……ッ……!!」

柚木は感極まった。
射精はせずに目下愛されまくりなアソコで思いきり達した。

容赦なくぎゅうぎゅうと締まった蜜孔。
比良は険しげに眉根を寄せ、一瞬、目を閉じる。

次に瞼が開かれたときには黒曜石の瞳は月蝕の色へと変わっていた。

ガブッッッッッッ

「ッ……ッ……ッ……ッ……ッ……ッ……!!!!」

柚木は息が止まりそうになる。

首筋に深々と沈んだ鋭い乱杭歯。

ほぼ同時に蜜孔奥で絶頂に至った比良の肉杭。

「あ、あ……ぁ……ぁ……比良く……ん……」

比良は柚木の血を奪いながら吐精した。
ビク、ビク、ものものしげにペニスを脈動させて濃厚な白濁を弾いた……。





「もうおれの血吸うの、禁止」
「どうして?」
「え? どうして? 普通に考えて人に血を吸われるなんて嫌じゃないですか?」

柚木がややキレ気味に回答すれば比良は肩を竦めてみせた。

……いやいや、おれがワガママ言ってるみたいになってますけど。
……超絶ワガママなのは比良くんの方ですからね、絶対。

日帰りプランを終えた柚木は比良と一緒にホテルから帰路についた。

寒々しい年末の夜、寄り道した先は手袋をプレゼントしてもらった公園で。

クリスマスは過ぎたというのに民家を飾るイルミネーションがチカチカ瞬くのをしかめっ面で眺めていた。

「でも痛みは感じなかっただろう?」

癪に障るが比良の言う通りだった。
痛みはなく、ただ脳天にまで及ぶ危険な快感に身も心も凌駕された。

……なんなの、あのガブチュー。
……吸血鬼比良くんの奥義か何か?
……エロエロ攻撃にも程があるんですけど。

「麻酔代わりの媚薬成分みたいなものが分泌されてるんだ」

柚木は耳を疑った。
ホテルを出てからまともに目を合わせていなかった比良を凝視した。

自分達以外に誰もいない公園、ベンチに座った比良は隣にいる柚木のことをやっぱりずっと見つめていた。

「な、なんですかソレ……ほんとにエロエロ攻撃じゃんかぁ……」
「エロエロ攻撃?」
「ていうか、ていうか、比良くんまだ目がちょっと赤い! またいきなり咬みついてこないでね!?」

大声を出した柚木が自分の首を両手で大袈裟にカバーすれば、比良は唇の前に人差し指をすっと立てて「近所迷惑になるから」と冷静に注意してきた。

「っ……も、もしまたおれのこと勝手に咬んだら……比良くんのこと嫌いになるよ、おれ」

そう宣言した後、冷たい夜風に辛抱できず、ぶしゅんとクシャミをすれば。
比良は素早く脱いだ自分のモッズコートを凍える平凡男子の肩にかけてきた。

「ひ、比良くん、さすがに寒いのでは……あ、血を飲んだらポカポカするんだっけ……フンだ……じゃあ着とこ」

普段はパーフェクト男子な比良のことを敬って崇めている柚木だが、さすがに二度も断りなく血を奪われて、少々おかんむりであった。

「柚木」

が、彼からの改まった呼びかけにどきっとしてしまう。
黒曜石に月蝕の滲む世にもミステリアスな瞳に魅入られてしまう。

「次はいつデートする?」
「へっ?」
「明日また会えるか?」

……これ反省してないやつ~~~~!!!!

「も、もう会わない、冬休み中は会わない!」
「ワガママ言わないでくれ」
「どっちがワガママですか!! 比良くん脳筋キャラでしたっけ!?」
「声が大きい、柚木」

比良は笑いながら柚木をぎゅっっっしてきた。

「来年もよろしく、柚木」
「……こちらこそ、よろしくお願いします」
「再来年も、その次の年も、その先もずっと」
「…………」

自分より格上吸血鬼でパーフェクト男子な比良からの惜しみない愛情になかなか免疫がつかない吸血鬼もどき。
 
「明日、家まで迎えにいくから」
「ひぇぇ……会う気満々……」
「何なら大晦日も年明けも一緒にいよう」
「エビ天そばとおせち食べたいから家で過ごさせて!」

溺愛まっしぐらな比良にすっぽり抱擁されて、熱烈ハグが自分を閉じ込める檻のようにすら思えて、ほんのちょっぴりビクついてしまう平凡男子なのだった。




(平凡吸血鬼のおれがアレを授かりまして編・end)

■2025/12/28■
お話のストックが切れたため、毎日更新は本日で一旦終了となります。
また再開しましたときはどうぞよろしくお願いします!
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感想 4

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みんなの感想(4件)

かのこ
2025.12.06 かのこ

完結おめでとうございます。お疲れ様でした。比良君の執着ぶりが微笑ましく楽しかったです。
新婚生活ごっこには、どんなアイテムが登場するんでしょうか?(笑)
そう言えば、どこかに双子で柚木くんを半分こしてる兄弟がいましたね。
彼らの、お話、大好きです。

2025.12.07 石月煤子

大好きと言ってもらえて嬉しいです!!
柚木が半分こされる話はオメガバースものの「比良くんと柚木」の番外編で、そちらではα×Ωでしたが、いつかα×βでも書いてみたいなぁ、と思っています。
アイテム。。猫耳とかコスプレとか面白そうです。
本日から始まった平凡吸血鬼編も楽しんでもらえましたら……!

解除
まるちな
2025.11.27 まるちな

可愛い

2025.11.28 石月煤子

どうもありがとうございます!

解除
まるちな
2025.11.20 まるちな

良い。
好きです

2025.11.20 石月煤子

モチベーションが上がります。
ありがとうございます!

解除

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