妻×恋

かのん

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揺れる心③

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「明日11時ぐらいに迎えに来るよ」


「え!?いいよ、迎えは……電車で待ち合わせ場所まで行くから」


「旦那さんが気になる?」


「それはもちろん……」


「自分で買い出しって言ってるじゃん。会社の後輩と買い出し行くなら別に大丈夫でしょ」


「……そう言われればそうだけど」


それでも雅人に見られたら……
ううん、本田君は後輩で
私のせいでダメにしてしまったシャツを買うだけ
やましいことはない。


「じ、じゃあ、お願いしちゃおうかな……」


「了解」


どうしても……
ホテルでの本田君の言葉が
あれからずっと引っかかる


『俺、夢の中で愛莉さんとセックスしている夢を見ていたから』


私のこと……好き?なの?
でも好きって一回も言われたことない。
おばさんをからかっているだけ?



「ん……え!?」


「やっと起きた」


「ごめん!寝てた?いつから寝ていたんだろう……」


「車乗ってすぐにグーグーと……」


「あ…上着ありがとう。」


温かくて気持ちがいいと思ったら……
崇君の上着がかけてくれたからなんだ。


「家ここで合ってた?」


「うん、ここ……本当にありがとう。じゃあ……明日……ね?」


「うん、また明日」


会社では見たことがないような
優しい微笑みで
一瞬ドキッとした。


「あ……上着!」


手に持っていた上着に気付いた時には
もう崇君は行ってしまっていた。


どうしよう、男物の上着を手にもって
しかもこんな夜中に帰ってくるなんて
雅人が見たら……やきもちでも妬いてくれるんだろうか。



「ただいま……」


恐る恐る部屋に入ると
雅人はソファで今日も寝ていた。
そうだよね、私の帰りを心配することもなく
寝ているのが雅人なんだろう。
ちょっとの希望を持った私が馬鹿だった。


お風呂でも入ろうと雅人に背を向けた瞬間
手首を摑まれた。


「ひゃっ!」


雅人を起こしたのかと思い
驚いたけど
雅人の目は開いていなくて
寝ぼけているようだった。


「雅人……」


私は、この時
雅人の名前を呼ばなければよかったと
後で後悔することになる。



「…さん……愛莉さん!」


「え!?」


「車に乗ってください」


「あ……ありがとう」


「どうしたんですか?ボーっとして……」


「ううん、何でもないの。迎えにきてくれてありがとう。寝不足だったから、早起きできなかったかも」


「昨日、旦那さん何か言いました?」


「え!?」


「帰りが遅かったから……」


「あぁ……寝ていたから、何時に帰ってきたかわかんないと思う。朝は起きたらもういなかったし」


「でも旦那さん、今日仕事お休みですよね?」


「うん、同じ土日祝日お休み。だけど休日出勤したりするし……それに」


「それに?」
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