ファンタスティック☆まじかるマリーと夢見る王子サマ

三屋城衣智子

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第四話 初恋のこころ

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 そう、私はこっちの世界でうっかりと――初めての恋を、していた。



『ぼでーたっちとは、青春じゃのぅ』

 勉強が終わりお屋敷へと帰る途中、じじいからのちゃちゃが入る。

(黙っててくれない?! 不毛だから)

『うぐ』

 帰りたい、そばに居たい。
 この二つは、どうしたって叶わないのは幼稚園児にだってわかる。けど今は。頼まれごとを消化するまで考えたくなかった。



 少しずつ少しずつ、終わりは近づく。
 この間は反国王派の割と上の方の人を味方につけることができた。街の中では、密かに魔法少女グッズが人気になってきている。その前は、頼まれて汚れ仕事をしている人に、お仕事を斡旋して足を洗える様にして。
 最近は、王子への足がかりになりそうな年齢の女の子(要は婚約者候補ね)へと、じわりじわり、関わりを増やしている。

 今日もその一環。お茶会(お茶とお菓子を用意してお喋りする、女子会みたいなものね)にお呼ばれされたのでやってきている。
 今日は天気がいいので、花の咲き誇る庭に、テーブルと椅子が用意されているようだ。ケーキにスコーン、サンドイッチ。ちょっとした果物が、品よく三段のお皿の上にちょこんと乗っている。
 紅茶は給仕の人がそろそろ持ってくる頃合いだろう。待ちながら、主催の女の子へと話しかけたり、その周りの子の話に相槌を打つ。

「そういえば、マリー様はアンナ様のお家にいらっしゃるって、本当ですの?」
「ええ、お世話になっております。どうかしました?」
「いえね、ねぇ?」
「え、ええ……」

 主催のルルラン様と、ご友人のサルネリア様が顔を見合わす。その場には他にも、私達とは初対面で、立場が中立の家の子であるミリア様もいたけれど、気まずそうにしている。

「良くしてもらっているんですよ。とても親切で」
「そりゃあ、マルク王太子の婚約者とあっては、親切にしなくては失礼にあたりますもの」

 ルルラン様が当たり前ですわ、と言った。
 それに続いて、サルネリア様がボソッと言葉を発する。

「……お可哀想だわ」
「え?」

 私はいきなり言われたその単語にびっくりして、サルネリア様の方を見た。

「ほぼ内定していたと聞いています。アンナ様が嫁ぐ、と」
「そのお話は、どこから……?」

 黙っていればよかったのに、私はつい尋ねてしまっていた。

「私の父が話していたのです。ルルラン様もご両親あたりからきかされたのでは?」
「……ええ、そうです」
「なのに、いきなりどこからともなくあなたが出てきてっ!」
「サルネリア様、落ち着いてらして?」

 ルルラン様も、彼女の取り乱し様には驚いたみたいで、一応場をとりなそうとしてくれる。それでも、サルネリア様は止まらない。

「私っ、アンナ様と仲良くてっ! 彼女の気持ちも知ってるから……!!」

 言って、しまったという顔をして、それきりサルネリア様は黙った。

 美味しそうなお菓子を前に、一口食べる前に空気が微妙になり。ルルラン様が気を利かせて、お茶会はお開きになった。ご飯の神様ごめんなさい。



 仲が良さそうだな、とは思っていた。私がよそ者なのも、分かりきっていることだ。なんてことはない。なんてことは――
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