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第九話 24時間の証明 — Proof of Forever
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その日、碧は仕事を終えて帰宅したものの、どこか落ち着かなかった。
あの夜の出来事――電話に出た女性の声。呼び捨ての「涼介」。
彼の説明を信じようと思っても、胸の奥で燻る黒い靄は消えないままだった。
そんなとき、不意にスマホが震えた。
画面に浮かんだ名前を見て、碧は目を疑った。
「……涼介?」
『東京に来てる。本社で打ち合わせがあって。……今、終わったんだ。会えるか?』
鼓動が一気に跳ね上がる。
何も聞いていなかった。出張の予定なんて。
それでも、会いたい気持ちがすべての迷いを押し流していく。
「……すぐに来て」
そう答える声は、思っていた以上に震えていた。
◆
インターホンが鳴る。
ドアを開けると、スーツ姿の涼介がそこにいた。
わずかに乱れたネクタイ、疲れの滲む目元。
それでも、碧が知っている世界で一番安心できる顔だった。
「……おかえり」
「ただいま」
その一言で、胸の奥で硬く凍っていた塊が少し崩れる。
碧はもう我慢できず、彼の胸に飛び込むように強く抱きしめた。涼介も驚くほど強い力で腕を回し、碧の髪に顔を埋める。長い沈黙のあと、耳元で小さく囁かれた。
「会いたかった」
その声を聞いた瞬間、堪えていた涙が堰を切ったように滲み出す。
この人が隣にいる――それだけで、モノクロだった世界に色が戻ってくるのを感じた。
◆
再会の喜びに浸るはずだったのに、一度芽生えた棘は、自然と口をついて出てしまう。
「……この前のこと、まだちょっと、引きずってる」
ソファに並んで座ると、涼介の腕がわずかに強張ったのが分かった。
けれど彼は逃げずに、真っ直ぐに碧を見つめ返した。
「俺は……碧に信じてもらえないのが一番つらい。だから――」
一呼吸置いて、低く真剣な声で続ける。
「監視すればいい。24時間一緒にいても構わない」
それは勢いではなく、どこまでも誠実な提案だった。
目の奥に宿る揺るぎない決意が、碧の胸を打つ。
そして、張り詰めていた気持ちが緩んで、ふっと笑いが漏れた。
「24時間監視なんて、無理に決まってる。でも、そこまで言ってくれるなら信じる」
「本気だ。おまえを疑わせるくらいなら、俺の全部を見てもらった方がいい」
その堅い声に、碧の胸の奥がじんわりと熱くなった。
信じたい。信じている。けれど不安でいっぱいだった自分に、彼はこんなにも真剣に向き合ってくれている。
「……ありがとう。信じるよ、涼介のこと」
そう告げると、涼介の表情がわずかに和らぎ、碧をもう一度、今度は確かめるように優しく抱きしめた。
◆
唇が重なった瞬間、胸の奥で渦巻いていた不安が少しずつ溶けていくのが分かった。
スーツの生地越しに伝わる体温が愛おしくて、碧は彼の背中に腕を回す。最初は優しかったキスが、次第に熱を帯びていく。
「……碧」
「ん……っ」
低く名前を呼ばれ、舌が絡みついてくる。久しぶりに触れる熱に、身体がすぐに応えてしまう。涼介は碧を抱きかかえると、そのまま寝室のベッドへとなだれ込んだ。
衣擦れの音が重なり、彼の熱い吐息が耳元に触れるたび、胸の奥が甘く痺れた。
「俺だけを見てろ……他の誰も見るな」
「見てるよ……涼介しか、見てない」
その言葉に、涼介は安堵したように瞳を細める。そして、碧のシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外すと、現れた素肌にまるで印を刻むように唇を這わせた。鎖骨をなぞり、胸の突起を甘く食む。碧の身体がびくりと跳ね、甘い声が漏れた。
「りょうすけ……っ、あ……」
不安を消し去るように、涼介の指と唇は碧の全身を巡っていく。それは、この身体が自分だけのものだと確かめるような、執拗で独占的な愛撫だった。
碧もまた、彼の逞しい背中をなぞり、その存在を確かめるように強く抱きしめる。
やがて、互いのすべてが解放され、涼介の熱が碧の入り口に触れた。
「……碧、おまえを疑った罰を、俺にくれ」
「これは罰じゃなくて、ご褒美だよ……」
碧が潤んだ瞳で見つめ返すと、涼介はゆっくりと、しかし確実に碧を深く貫いた。
隙間なく満たされる感覚。長い時間会えなかった寂しさと、疑ってしまった罪悪感、そしてどうしようもないほどの独占欲。すべてが混ざり合い、熱となって互いの身体に刻まれていく。
名前を呼び合い、何度も唇を重ねながら、二人は一つになって揺れ続けた。
やがて強い痺れと共に絶頂を迎え、シーツの中で絡まったまま、しばらく言葉もなく互いの鼓動を聞いていた。
◆
涼介の胸に頬を寄せながら、碧はそっと囁いた。
「……24時間は無理だけど。いつか、本当にずっと一緒にいられるようになりたい」
涼介は驚いたように碧を見つめ、それから静かに、そして力強く笑った。
「それなら……方法はいくらでもある」
その含みのある言葉に、碧の胸が大きく高鳴る。
まだ口には出していないけれど――確かに未来への布石が、今、ここに置かれた。
(……24時間は無理だけど。仕事の仕方を変えれば、本当にずっと一緒にいられるようになるかもしれない)
不安という嵐を超えて、ようやく二人の間に確かな光が見え始めていた。
***********
このお話は、YouTubeで配信中の楽曲「24時間の証明 — Proof of Forever」とリンクしています。良かったら、楽曲の方も聴いてみてくださいね♫
「24時間の証明 — Proof of Forever」はこちら⇒ https://youtu.be/hPlMwnr76Oo
あの夜の出来事――電話に出た女性の声。呼び捨ての「涼介」。
彼の説明を信じようと思っても、胸の奥で燻る黒い靄は消えないままだった。
そんなとき、不意にスマホが震えた。
画面に浮かんだ名前を見て、碧は目を疑った。
「……涼介?」
『東京に来てる。本社で打ち合わせがあって。……今、終わったんだ。会えるか?』
鼓動が一気に跳ね上がる。
何も聞いていなかった。出張の予定なんて。
それでも、会いたい気持ちがすべての迷いを押し流していく。
「……すぐに来て」
そう答える声は、思っていた以上に震えていた。
◆
インターホンが鳴る。
ドアを開けると、スーツ姿の涼介がそこにいた。
わずかに乱れたネクタイ、疲れの滲む目元。
それでも、碧が知っている世界で一番安心できる顔だった。
「……おかえり」
「ただいま」
その一言で、胸の奥で硬く凍っていた塊が少し崩れる。
碧はもう我慢できず、彼の胸に飛び込むように強く抱きしめた。涼介も驚くほど強い力で腕を回し、碧の髪に顔を埋める。長い沈黙のあと、耳元で小さく囁かれた。
「会いたかった」
その声を聞いた瞬間、堪えていた涙が堰を切ったように滲み出す。
この人が隣にいる――それだけで、モノクロだった世界に色が戻ってくるのを感じた。
◆
再会の喜びに浸るはずだったのに、一度芽生えた棘は、自然と口をついて出てしまう。
「……この前のこと、まだちょっと、引きずってる」
ソファに並んで座ると、涼介の腕がわずかに強張ったのが分かった。
けれど彼は逃げずに、真っ直ぐに碧を見つめ返した。
「俺は……碧に信じてもらえないのが一番つらい。だから――」
一呼吸置いて、低く真剣な声で続ける。
「監視すればいい。24時間一緒にいても構わない」
それは勢いではなく、どこまでも誠実な提案だった。
目の奥に宿る揺るぎない決意が、碧の胸を打つ。
そして、張り詰めていた気持ちが緩んで、ふっと笑いが漏れた。
「24時間監視なんて、無理に決まってる。でも、そこまで言ってくれるなら信じる」
「本気だ。おまえを疑わせるくらいなら、俺の全部を見てもらった方がいい」
その堅い声に、碧の胸の奥がじんわりと熱くなった。
信じたい。信じている。けれど不安でいっぱいだった自分に、彼はこんなにも真剣に向き合ってくれている。
「……ありがとう。信じるよ、涼介のこと」
そう告げると、涼介の表情がわずかに和らぎ、碧をもう一度、今度は確かめるように優しく抱きしめた。
◆
唇が重なった瞬間、胸の奥で渦巻いていた不安が少しずつ溶けていくのが分かった。
スーツの生地越しに伝わる体温が愛おしくて、碧は彼の背中に腕を回す。最初は優しかったキスが、次第に熱を帯びていく。
「……碧」
「ん……っ」
低く名前を呼ばれ、舌が絡みついてくる。久しぶりに触れる熱に、身体がすぐに応えてしまう。涼介は碧を抱きかかえると、そのまま寝室のベッドへとなだれ込んだ。
衣擦れの音が重なり、彼の熱い吐息が耳元に触れるたび、胸の奥が甘く痺れた。
「俺だけを見てろ……他の誰も見るな」
「見てるよ……涼介しか、見てない」
その言葉に、涼介は安堵したように瞳を細める。そして、碧のシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外すと、現れた素肌にまるで印を刻むように唇を這わせた。鎖骨をなぞり、胸の突起を甘く食む。碧の身体がびくりと跳ね、甘い声が漏れた。
「りょうすけ……っ、あ……」
不安を消し去るように、涼介の指と唇は碧の全身を巡っていく。それは、この身体が自分だけのものだと確かめるような、執拗で独占的な愛撫だった。
碧もまた、彼の逞しい背中をなぞり、その存在を確かめるように強く抱きしめる。
やがて、互いのすべてが解放され、涼介の熱が碧の入り口に触れた。
「……碧、おまえを疑った罰を、俺にくれ」
「これは罰じゃなくて、ご褒美だよ……」
碧が潤んだ瞳で見つめ返すと、涼介はゆっくりと、しかし確実に碧を深く貫いた。
隙間なく満たされる感覚。長い時間会えなかった寂しさと、疑ってしまった罪悪感、そしてどうしようもないほどの独占欲。すべてが混ざり合い、熱となって互いの身体に刻まれていく。
名前を呼び合い、何度も唇を重ねながら、二人は一つになって揺れ続けた。
やがて強い痺れと共に絶頂を迎え、シーツの中で絡まったまま、しばらく言葉もなく互いの鼓動を聞いていた。
◆
涼介の胸に頬を寄せながら、碧はそっと囁いた。
「……24時間は無理だけど。いつか、本当にずっと一緒にいられるようになりたい」
涼介は驚いたように碧を見つめ、それから静かに、そして力強く笑った。
「それなら……方法はいくらでもある」
その含みのある言葉に、碧の胸が大きく高鳴る。
まだ口には出していないけれど――確かに未来への布石が、今、ここに置かれた。
(……24時間は無理だけど。仕事の仕方を変えれば、本当にずっと一緒にいられるようになるかもしれない)
不安という嵐を超えて、ようやく二人の間に確かな光が見え始めていた。
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このお話は、YouTubeで配信中の楽曲「24時間の証明 — Proof of Forever」とリンクしています。良かったら、楽曲の方も聴いてみてくださいね♫
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