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序章 鬼の棲む処
第十一話 交わる心 ※
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「んっ、あ、ぁ、うぁっ、あぁっ」
弱い部分をおれのブツで擦り上げられるたび、刹鬼は淫らな声を上げて髪を振り乱す。
「……ッ、蕩けた顔しやがって……!」
「そ、そのような、こと……は、ぁっ」
「く……っ、上からも下からもヨダレ垂らして……っ、何、言ってやがる!」
ぐちゅ、ぱちゅ、と、繋がった箇所から水音が響く。
わざと聞かせるように音を立てながら、深くまで貫いては再び弱い箇所を擦り上げてを繰り返した。
「……は、ァ……ッ、おい……ぎゅうぎゅう締めやがって……っ! ガキ産むのと同じ孔じゃねぇか……ええ!? 孕めよ、オラッ! バケモノのガキ拵えてみるか!? ぁあ!?」
どちゅどちゅと深くまで突き入れるたび、こっちの理性まで削れていく。本能が理性を喰い潰し、目の前の相手を手に入れたくて手に入れたくて仕方がなくなっていく。
所詮、野郎同士どころか、怪異同士の交わりだ。この遣り取りで何かが得られるわけでも、腹が満たされるわけでもねぇ。
それでもだ。こいつの苦しむ顔を見るより、目の前で自害されるより――ずっといい。
「あ、ぁあぁっ、ァ、あ、んぁぁあっ、ま、また、イッ……あぁあ――ッ」
「……ッ、おれもだ……っ、おれも、イクッ!!」
最奥に突き入れながら、ありったけの熱を注ぎ込む。
刹鬼ははくはくと浅い呼吸を繰り返しながら、前からダラダラと白濁を溢れさせた。
しんと静まり返った閨の中、互いの乱れた呼吸の音が響く。
衝動に突き動かされるがまま、震える唇を貪った。
***
緋い髪を骨の指で漉きながら、火照った身体を抱き寄せる。刹鬼は戸惑っている様子だったが、やがて、大人しく骨の腕の中に身体を収めた。
「なぜ……斯様に、優しく触れられるのか」
「……あ?」
優しく?
とんと記憶にねぇもんで、首を傾げる。おれとしちゃ、むしろ乱暴にした記憶しかねぇんだよな……。
「貴殿の指先は……いつも、そうだ。吾を……玻璃に触れるが如く……」
骨の腕の中で、刹鬼の身体が小刻みに震える。
鍛えられた身体に似合わず、その心は今にも崩れそうなほどに脆い。
――ああ、そうか。
おれは、こいつを壊したくねぇんだ。
「……優しくした覚えはねぇよ。あんたが自分に厳しすぎんだ」
そっと頬に触れる。
感覚の鈍い骨の指じゃ、自分でも分からなかったが……こうしてゆっくり触れてみると、おれが刹鬼をどうしたかったのか、じんわりと理解できてくる。
ただ犯したかったわけでもねぇ。
救いたい、なんて大層なことを思ったわけでもねぇ。
少しでも、痛みを忘れて欲しかったんだ。
「刹鬼の」
額に口付け、背中に手を回す。
すぐに癒えてしまう身体じゃ、もう傷痕は残っちゃいねぇ。……それでも、おれには見える。
こいつがどれだけ傷つき、苦しんできたか……。
「『おれ』の感覚は、もう覚えたか?」
相手がどれだけ業の深い怪異だろうが、構わねぇ。おれだってそうだ。
蛇神の言った通り、おれたちは同じ怪異だ。だからこそ、おれにしか、分かってやれねぇことがある。
「五感で……なんなら第六感まで使って、おれを覚えろ。余計なことは考えなくていい」
骨の指を頬に添え、異形と化した眼を見つめる。
刹鬼の瞳から、つう、と黒い雫が零れ、頬を伝った。
「なぜ……吾にそこまでするのだ。吾らには、何の縁故もない」
「なぜ、なぜって、そりゃあ……」
切実な声で問われ、言葉に詰まる。
こういう時、何て言ったらいいんだ? 茶化すのも変だし、だからって、この歳になって「惚れてるからだ」なんて言えるかよ。数えで二十八に、加えて四百か五百歳かそこらだぞ。
まあ、誤魔化したところでこいつには伝わらねぇ。
はっきり言ってやるしかねぇかもな。
「あんたが……その、なんだ。綺麗で……ほっとけねぇからだよ」
……これで、どうだ。ここまで言やあ、さすがの朴念仁でも分かるだろう。
「……」
刹鬼はしばし沈黙し、難しい顔で考え込み始める。
なんだ? 何を悩んでいやがる?
「綺麗だ」ってのは前も褒めて……まあ、あの時は失敗だったわけだが……今回はしっかり抱いたあとだぞ? さすがに伝わるよな……?
「分からぬ」
「は?」
「答えになっておらぬ。吾を男色の相手にしたいのであらば、斯様に優しく触れる必要はない。吾の眼を気遣う必要もないであろう」
きっぱりと言い切る刹鬼。
……。……なんだ、その……難しいな、こいつ……。
弱い部分をおれのブツで擦り上げられるたび、刹鬼は淫らな声を上げて髪を振り乱す。
「……ッ、蕩けた顔しやがって……!」
「そ、そのような、こと……は、ぁっ」
「く……っ、上からも下からもヨダレ垂らして……っ、何、言ってやがる!」
ぐちゅ、ぱちゅ、と、繋がった箇所から水音が響く。
わざと聞かせるように音を立てながら、深くまで貫いては再び弱い箇所を擦り上げてを繰り返した。
「……は、ァ……ッ、おい……ぎゅうぎゅう締めやがって……っ! ガキ産むのと同じ孔じゃねぇか……ええ!? 孕めよ、オラッ! バケモノのガキ拵えてみるか!? ぁあ!?」
どちゅどちゅと深くまで突き入れるたび、こっちの理性まで削れていく。本能が理性を喰い潰し、目の前の相手を手に入れたくて手に入れたくて仕方がなくなっていく。
所詮、野郎同士どころか、怪異同士の交わりだ。この遣り取りで何かが得られるわけでも、腹が満たされるわけでもねぇ。
それでもだ。こいつの苦しむ顔を見るより、目の前で自害されるより――ずっといい。
「あ、ぁあぁっ、ァ、あ、んぁぁあっ、ま、また、イッ……あぁあ――ッ」
「……ッ、おれもだ……っ、おれも、イクッ!!」
最奥に突き入れながら、ありったけの熱を注ぎ込む。
刹鬼ははくはくと浅い呼吸を繰り返しながら、前からダラダラと白濁を溢れさせた。
しんと静まり返った閨の中、互いの乱れた呼吸の音が響く。
衝動に突き動かされるがまま、震える唇を貪った。
***
緋い髪を骨の指で漉きながら、火照った身体を抱き寄せる。刹鬼は戸惑っている様子だったが、やがて、大人しく骨の腕の中に身体を収めた。
「なぜ……斯様に、優しく触れられるのか」
「……あ?」
優しく?
とんと記憶にねぇもんで、首を傾げる。おれとしちゃ、むしろ乱暴にした記憶しかねぇんだよな……。
「貴殿の指先は……いつも、そうだ。吾を……玻璃に触れるが如く……」
骨の腕の中で、刹鬼の身体が小刻みに震える。
鍛えられた身体に似合わず、その心は今にも崩れそうなほどに脆い。
――ああ、そうか。
おれは、こいつを壊したくねぇんだ。
「……優しくした覚えはねぇよ。あんたが自分に厳しすぎんだ」
そっと頬に触れる。
感覚の鈍い骨の指じゃ、自分でも分からなかったが……こうしてゆっくり触れてみると、おれが刹鬼をどうしたかったのか、じんわりと理解できてくる。
ただ犯したかったわけでもねぇ。
救いたい、なんて大層なことを思ったわけでもねぇ。
少しでも、痛みを忘れて欲しかったんだ。
「刹鬼の」
額に口付け、背中に手を回す。
すぐに癒えてしまう身体じゃ、もう傷痕は残っちゃいねぇ。……それでも、おれには見える。
こいつがどれだけ傷つき、苦しんできたか……。
「『おれ』の感覚は、もう覚えたか?」
相手がどれだけ業の深い怪異だろうが、構わねぇ。おれだってそうだ。
蛇神の言った通り、おれたちは同じ怪異だ。だからこそ、おれにしか、分かってやれねぇことがある。
「五感で……なんなら第六感まで使って、おれを覚えろ。余計なことは考えなくていい」
骨の指を頬に添え、異形と化した眼を見つめる。
刹鬼の瞳から、つう、と黒い雫が零れ、頬を伝った。
「なぜ……吾にそこまでするのだ。吾らには、何の縁故もない」
「なぜ、なぜって、そりゃあ……」
切実な声で問われ、言葉に詰まる。
こういう時、何て言ったらいいんだ? 茶化すのも変だし、だからって、この歳になって「惚れてるからだ」なんて言えるかよ。数えで二十八に、加えて四百か五百歳かそこらだぞ。
まあ、誤魔化したところでこいつには伝わらねぇ。
はっきり言ってやるしかねぇかもな。
「あんたが……その、なんだ。綺麗で……ほっとけねぇからだよ」
……これで、どうだ。ここまで言やあ、さすがの朴念仁でも分かるだろう。
「……」
刹鬼はしばし沈黙し、難しい顔で考え込み始める。
なんだ? 何を悩んでいやがる?
「綺麗だ」ってのは前も褒めて……まあ、あの時は失敗だったわけだが……今回はしっかり抱いたあとだぞ? さすがに伝わるよな……?
「分からぬ」
「は?」
「答えになっておらぬ。吾を男色の相手にしたいのであらば、斯様に優しく触れる必要はない。吾の眼を気遣う必要もないであろう」
きっぱりと言い切る刹鬼。
……。……なんだ、その……難しいな、こいつ……。
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