五族協和を成した《勇者》の末裔と《勇者》嫌いのはぐれ《竜》

広海智

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第二章 掟破り 二

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          二

 クロガネの黒手袋の指先はすぐに破れて、指が覗き始めた。だが、そのほうが僅かも滑らず岩を掴めるので都合がいい。ただ、日光に当たる分、ちりちりと少しずつだが皮膚が焼け爛れていくのは、どうしようもなかった。
(あの雲の中まで行けば、日差しもましになるだろう)
 見上げた台地の上のほうは、雲に覆われている。どの辺りに結界が張ってあるのかは行ってみないことには分からないが、結界に触れる者があれば、風竜一族のほうから出てくるだろう。そこでユテを引き渡せば、今回のことは終わりだ。
(降りる時は、あいつを少し手伝ってやるか)
 金具を使って岩壁を登っている少年とは、随分と離れた。だが、まだ下から、岩壁に金具を打ちつける音が、絶え間なく聞こえてくる。
(何故、あそこまでしてついて来る?)
 当然、ユテのことが心配だとか、ユテと最後まで一緒にいたいだとか、そんな思いがあるだろうことは分かる。けれど、何故、他種族のために、あそこまでするのだろう。それは、ユテにも言えることだが。
(あんたら二人の関係は、さっぱり分からん)
 クロガネは胸中で背中のユテに零しながら、確実に上へ登る。普段は全く使わない尾も、かなり使い慣れてしまった。


(凄いな……)
 スカイは、遥か上へと登っていく、背負子を背負った少年を見上げて微笑むと、目の高さより少し上の岩壁に、次の金具を打ちつけ始めた。感心している場合ではない。自分も、頑張らなければならない。
(おれが、最後まで頑張り切れるように、せっかく気遣ってくれたんだもんな)
 クロガネが丸薬の小瓶を受け取らなかった理由は、それしか思いつかない。
(夜行族って、もっと怖い奴らだと思ってたけど、おまえみたいなのもいるんだな)
 次の金具を打ちつけ終えたスカイは、その前に打ちつけた金具から、腰の縄に繋がった鉤爪を外し、新しいほうへと引っ掛ける。肩から斜めに掛けた布鞄の中の金具は、たくさんあったものが、もう半分ほどになっている。
(大おじいちゃんは、これだけあれば、何とか台地の上まで足りるって言ってたけど……)
 途中で足りなくなっては手も足も出ないので、できるだけ金具と金具の間隔を広げて、節約するようにはしている。その分、やや無理な体勢は強いられるが、贅沢は言っていられない。狭い間隔で金具を打ち込むより、登る速さも上がるはずだ。
(ユテ、おれも必ず上まで行くから)
 スカイが更に次の金具を打ち込み始めた時、急に、強い風が吹きつけてきた。
「危なっ」
 飛ばされそうになった帽子を脱いで、布鞄の中に突っ込みながら、顔を上げたスカイの目に映ったのは、俄かに曇り始めた空だった。
「おいおい……」
 高地の天候が変わり易いのは知っているが、今はまずい。風雨に晒されれば、まともに登れなくなってしまう。
「くそっ……」
 スカイは毒づいたが、することは一つだ。下手に焦れば、金具の打ち込み方が甘くなり、抜けたりなどして、落下に繋がってしまう。
「落ち着け、おれ。一つ一つ、確実に打ち込んで登るしかないんだ」
 どんどんと強くなっていく風の中、自らに言い聞かせ、スカイは金槌を振るった。


 湿り気を帯びた強い風に、クロガネもまた顔をしかめていた。雨が降り始めれば、岩壁が滑り易くなって、突起を掴みにくくなる。
(あいつも、危ないぞ……)
 ちらと、クロガネがスカイを見下ろした直後、叩きつけるように雨が降り始めた。
 指力で必死に掴む岩の突起の上を、雨水が滴っていく。つるっと指が滑って揺れる上体を、尾で支え、クロガネはもう一度突起を掴み直して上へ進む。剥き出しになった指が日の光に焼け爛れなくなったのはいいが、それを喜ぶような状況ではなかった。雨のせいで、ユテはかなり濡れてしまっているだろうし、金具を使って登ってくるスカイも、体が冷えて難儀しているだろう。加えて、強い風に体勢を崩されないよう、岩壁にしがみ付きながら登らなければならない。
(あいつは、これ以上は無理だろう。命取りになる)
 思い定めたクロガネは、下へ向かって大声で叫んだ。
「スカイ! これ以上はやめておけ! ユテはおれが連れていく! おまえは打ち込んできた金具をそのまま使って降りろ! おまえがここで死んだら、おれがユテに恨まれる!」
 丸薬の小瓶を、やはり受け取っておけばよかったと、軽く後悔したクロガネの視線の先で、しかし、スカイは降りようとはしなかった。
「おれは、まだ大丈夫だから! ここで諦めたら、一生後悔するから!」
 風雨に負けない大声で返ってきた答えに、クロガネは歯噛みした。楽観的過ぎる。自分自身を顧みないところは、ユテといい勝負だ。
「どうなっても、知らんぞ……!」
 クロガネが叫び返した瞬間、耳をつんざくような音が響き渡り、辺りが一瞬真っ白になる。
(雷――)
 びりびりと体中に衝撃が走る。
(っ……!)
 落ちまいと、必死に尾で体を支えたクロガネの遥か眼下で、スカイの体が不安定に揺れた。
「スカイ……!」
 叫んだが、何をどうしようもできない。雨に濡れた上、金具を使っていたのだ。直撃でなくとも、感電は免れなかっただろう。手足が金具から離れたスカイは、腰の縄に繋がった鉤爪だけで、体を吊っている状態だ。意識があるのかどうかさえ分からない。
「スカイ、しっかりしろ! とにかくしがみ付け!」
 懸命に怒鳴るクロガネの視線の先で、強い風に煽られたスカイの体が上へ浮き、直後、弾けるように岩壁から離れた。鉤爪が、金具から外れてしまったのだ。
 口を開けたまま言葉を失ったクロガネは、突如背後で膨れ上がった気配に、望みをかけた。
「地を這いずる虫けら達が、こんなところまで……」
 怒気を帯びた呟きとともに、小旋風で己を束縛する布紐を切り、毛布を吹き飛ばしたユテは、精気の淡い光を纏い、一気に下へと疾風で飛んでいった。風に吹かれながら落ちていくスカイの体を捕まえ、今度はそのままクロガネのところまで急上昇してくる。
「きみさえいなければ、スカイはこんなところまで来られなかっただろうに……。おれ以上に、不可解な行動だよ……」
 文句を囁きながら、ユテはクロガネも一緒に強風で吹き上げて、上空の雲へ突っ込んだ。白く濃い靄のような雲の中を通り抜け、そして、突然外へ出る。目の前には、風竜一族の里の入り口らしい、石造りの壮麗な門が聳えていた。その門前へ、ユテはスカイを抱えたまま、クロガネとともに着地する。
「ここまで来たら……最後まで、この馬鹿の面倒を見てくれよ……。ここの一族の中で一番話が通じるのは、ヒタネという奴だ……」
 掠れた声で言い残して、ユテは、そのままスカイとともに倒れ込んだ。その体から精気の淡い光が消え、気配すら消える。全て、使い切ってしまったのだ。クロガネは、感電で痺れた膝をつき、手をついて、倒れた二人の、目を閉じた顔を間近から見下ろした。スカイは、やはり気を失っているようだが、呼吸はしている。けれど、ユテのほうは、僅かの動きも感じられなかった。そっと手で触れた翡翠色の耳は、硬く、冷たい。まるで、無生物のように――。
「おい――」
 クロガネは、腹の底から声を出した。その声が、どこかへ吸い込まれて消えていく。雲の下の嵐が嘘のような静寂が、辺りを支配している。
「おい……!」
 クロガネは、今度は巨大な門に向かって叫んだ。
「門番の一人もいないのか……! あんたらの仲間が、ここにいるんだ……! 門を開けろ……!」
「――他種族連れの掟破りに、門は開けられないよ」
 不意にクロガネの死角に気配が現れ、答えた。振り向けば、ユテと同じような服装をした風竜一族が一人、後ろで束ねて垂らした白銀色の髪を風に靡かせて佇んでいる。身長は、ユテと同じくらいだろうか。外見年齢もユテと同じくらいだ。ただ、やや目尻の下がった儚げな印象の両眼には、ユテとは異なる黄玉色の双眸が収まっていた。
 クロガネは顔をしかめて言った。
「おれ達が勝手に来たんだ。こいつに罪はない。助けてやってくれ」
「本当、馬鹿だよね」
 歩み寄ってきた風竜一族は、クロガネの横に立ち、冷ややかにユテを見下ろす。
「自分から里の外に出た癖に、こうして助けを求めて、他種族連れで帰ってくるんだから」
「だから、それはおれ達が勝手に――」
「ううん」
 首を横に振り、風竜一族はユテの傍らにしゃがむと、片手をユテの胸の辺りに当てた。精気が集中し、その手が淡い光を放つ。
「こいつは、最後の力で、ここへ来ることも、下まで降りることも、どちらでもできた。きみ達を連れて、下へ降りるほうを選んでもよかったんだ。でも、きみ達連れでここへ上がることを選んだ。いつまでも甘えているんだよ。こうして助けて貰えると思ってね」
 精気が静かにユテの全身に満ちていき、穢れを浄化していくのが、クロガネにも何となく感じ取れた。
「――きみも、修行したら、多少はできるようになると思うよ。完全な浄化は、純血の天精族にも難しいけれど」
 まるでクロガネの心を読んだように風竜一族が言った時、ゆっくりと、ユテの胸が上下した。止まっていた呼吸が戻ったのだ。
「さて、一命は取り留めた。後は里の中で浄化するよ。夜行族の精気まで貰っているみたいだし。きみ達は体力が戻り次第、下へ帰ったほうがいい。さっきの突風は、きみ達を含む侵入者に対して、この里の結界が反応したもの。そして、あの雷は、きみ達以外の侵入者が、結界を攻撃したものだ。結界は無事だが、いつまた攻撃があるか分からないから、長居はしないほうがいい」
 風竜一族は告げながら、ユテを両腕で抱き上げ、立ち上がった。立ち上がるのも億劫なクロガネはその顔を見上げ、問うてみた。
「あんたの通し名は、ヒタネか?」
「そうだよ。ユテが言っていたのかな?」
 あっさりと認め、ヒタネは微笑んでクロガネを見下ろす。
「きみの通し名は? そっちは名乗っては貰えないのかな?」
「――マホだ。但し普段は使っていない。夜行族から与えられた、クロガネという名を使っている」
「なら、クロガネ。この里にいるユテのたった一人の友人として、ユテを助けてくれたこと、礼を言うよ。ありがとう」
 ヒタネはユテを抱えたまま、クロガネに丁寧に頭を下げると、旋風を起こし、荘厳な門の上を越えて里の中へ戻っていった。


 台地の上に広がる里の上を、時折飛んでいる飛竜を避けながら、最速の疾風で飛んだヒタネは、クロガネ達がいる東方里門から最も近い行政府たる、東方行政府の庭に降り立った。自分と同じ黄玉色の双眸を持つ衛士達が集まってきたが、彼らにはユテを引き渡さずに抱えたまま建物に入り、地下牢まで連れていって、牢の一部屋へ入る。備えつけの簡素な寝台にユテを寝かせると、その頬に手を当てて精気を送り込んだ。やがて、瞼が震え、ユテが目を開く。ヒタネは顔を寄せ、その耳元に、そっと囁いた。
「イツクカゼ、この牢から出るな」
 ユテは目を見開いて全身を強張らせたが、暫くして、ゆっくりと力が抜けていくと、一つ溜め息をついて問うてきた。
「おれと一緒にいた二人は?」
「大丈夫だ」
 ヒタネは体を起こしながら笑顔で答える。
「この後、お偉いさん達への報告が終わったら、わたしがまた行って、無事に下へ降りるところまで、見届けてくるよ」
「すまない……」
 謝ったユテの額に手を置き、ヒタネはそっと前髪ごと撫ぜた。
「おまえは、もう暫く寝ておけ。せっかく帰ってきた故郷だ。ゆっくりしたらいい」
「牢の中で、ね」
 自嘲気味に微笑んだユテを残して、ヒタネは部屋の外へ出た。忌み名を以って命じれば、鍵など必要ない。ただ扉だけ閉めて、地下牢の階段を上がり、地上階へ出ると、ヒタネは行政官達がいる執務室へ赴いた。扉を叩き、入室して背筋を正す。
「東方里門勤務防衛官ヒタネが報告します」
 東方行政府の六人いる行政官達の視線を一身に受けながら、ヒタネは、ユテとその連れ達、そしてそれ以外の侵入者達が東方里門へ来た経緯や状況を全て、詳細に説明した――。


 「体力が戻り次第」と言われても、なかなか時間がかかりそうだった。クロガネ自身も、感電による痺れが残っており、スカイに至っては目を覚ましもしない。
(しかし、おれ達以外の侵入者がいたとはな)
 クロガネは、スカイの隣に仰向けに寝転んだ姿勢で、顔をしかめた。風竜一族の里は、かなり不穏なことになっているようだ。
(雷で攻撃する侵入者――)
 吸精一族の里で聞いたことがある。最近、〈雷竜一族〉と名乗る者達が、天精族の各地の里を襲い、天精族を攫っている、と。だが、他種族嫌いの天精族から流れてくる情報は少なく、被害の詳しい状況などは全く伝わってこないので、噂の域を出ないものだった。何より、〈雷竜一族〉などという呼称がおかしい。まるで天精族の一族のような呼び名だが、夜行族が知っている天精族の一族は、水竜一族と地竜一族、それに火竜一族と風竜一族だけ。〈雷竜一族〉などという一族は、存在しないはずなのだ。
(あのムクロが、真人族に使われて真人族を襲ったことといい……)
 五族協和とはいかなくとも、互いに不干渉を基本として、それなりに平穏だったこの西大陸に、何かが起こっている。
 気になることはもう一つある。
(ユテとヒタネ。通し名が全く違うということは、同じ里の出身じゃないということか)
 クロガネが生まれた火竜一族の里は、一族の中ではホの里と呼ばれ、そこにいる火竜一族達の通し名は皆、ホという音で終わっていた。母の通し名はスメホであり、クロガネ自身の通し名もマホだ。同じことが風竜一族の里にも言えるとしたら、ユテとヒタネは異なる里の出身ということになる。二人の瞳の色が違うのも、それを裏付けている。女と男が交わることのない天精族の里では、一族の外見は、髪の色、瞳の色、肌の色、全て同じであるはずなのに。
(ヒタネは、「この里にいるユテのたった一人の友人」と言っていた。つまり、ユテは、他里出身の風竜一族ということか)
 道理で、里の対応が冷たいはずだ。
(あんたも、ここじゃ異端という訳か)
 クロガネが雲一つない青空を見つめながら、何となく己とユテの境遇を重ね合わせた時、ただならぬ気配が凄まじい速さで近づいてきた。
(この気配は……!)
 急いで上体を起こし、気配のほうを見たクロガネは、聳え立つ門の上に、予想外の姿を見た。
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