灰色の冒険者

水室二人

文字の大きさ
72 / 102
第6章 憎悪の大陸

一つの星が滅ぶまで

しおりを挟む
 この星は、小さな星だった。

 遙か昔に、文明が生まれ、滅びるのを繰り返しながら、緩やかに発展していったそうです。

 現在、この星にいる人々は、その延長線上に生まれた統一国家の末裔です。

 永い時を得て、優れた文明を発展させました。

 星から飛び出し、宇宙へと勢力を伸ばしましたが、そこで最初の挫折を味わいました。

 他の文明と衝突したのです。

 宇宙規模の戦争が、始まりました。

 長期化するかと思われた戦争ですが、お互いがお互いの存在を認めないという思考の下、殲滅兵器が投入され、両陣営は消滅しました。

 兵器の威力のせいで、空間に亀裂がおき、謎の物体が侵攻してきて、それが止めとなりました。

 生き残った人々は、それぞれの母性でこっそりと過ごす事に決めたのです。




 高度な科学の発展で、資源の完全リサイクル。超科学のエネルギーによる無限のエネルギーの確保。

 完全計画による、食材の確保と人材の調整。

 この星だけで、人類は存続可能になりました。

 しかし、それは停滞につながりました。

 全てが管理され、変化が止まった世界。それは、歪んだ世界になりました。

 そんな時、1人の若者が立ち上がりました。

 後に、グランドマスターと呼ばれた若者は、娯楽の無い世界に、誰も体験した事の無い素晴らしい場所を作ると言ったのです。




 電脳世界で、擬似体験をするシステム化確立されていました。

 そこでの遊びが、この星の住民の生きがいといってもおかしくない所まで行っていました。

 ただ、それだけでは物足りない。実際に、自分の手足で感じなければ満たされない。

 その意思の元、総合レジャー施設”アトランティス”が生まれたのです。

 特殊なフィールドを作り、人の思考を読み取ります。

 読み取った思考を元に、フィールド内で特殊な現象が生まれます。

 炎の矢と念じれば、手元から炎の矢が飛び出すという現象を、実現したのです。

 最初は、小さな私設だったアトランティスは、あっという間に巨大なテーマパークとなり、閉鎖間で苦しんでいた人々は、熱狂しました。

 遺伝子操作で作り出された怪物と戦う。

 パワーアシスト機能のついた鎧を着ることで、超人となり、思い通りの魔法を放つ。

 子供から大人まで、幅広い人が遊んでいました。

 やがて、アトランティスは一つの大陸を飲みこむまで成長しました。

 ここまで来ると、一つの世界が出来上がっていました。

 昔の文献を基にして、建物を作り変え、よりリアルな世界へと作り上げていったのです。

 役になりきるために、記憶を封印して、アトランティスに行く人も出てきました。

 ずっと閉鎖していた世界に、ここの住人は狂っていたのでしょう。

 アトランティスを、より楽しむために、色々な計画が動いていました。

 それらが完成すれば、この星全体がアトランティスになり、思い白い星に生まれ変わったのです。




 ですが、みんなの願いは、達成しませんでした。

 今から500年前に、今では機神と呼ばれる存在がやってきました。

 長距離の、空間転移でやって来た彼等は、到着後すぐに死亡しました。

 この星の住人は、その文化レベルを見て、脅威にならないと判断しました。

 とりあえず、調査はしましたが、アトランティスのほうが大事なので、相手にしませんでした。

 それから100年後、また機神がやってきました。

 アトランティス計画は、だいぶ進んで、星の全域をサイコフィールドで覆う事に成功しました。

 最初の大陸のサイコフィールドよりも、高度な技術が使われ、色々とできることが増えました。

 結果、それが仇となりました。

 2度目の機神も、やってきてすぐに、搭乗者は死亡。原因は、異性人の体質にありました。

 この星のエネルギーは、プラネットエナジーと言うのを利用しています。

 星に、エネルギーを吸収する仕組みを作り、循環させる事で、莫大なエネルギーを生み出す装置ですが、循環する仕組みに、同調して命を吸われて死亡したみたいです。

 2度目の来訪で、相手のことがある程度判明したので、一応対策を練る計画も始まりました。

 このときに、こっそりとモノリスが運び込まれ、果て無き迷宮の基礎が産まれたみたいです。




 この翌年、世界が終りました。

 機神の陣営の、報復攻撃がありました。

 無人の宇宙船から、ミサイルが多数打ち込まれました。

 この世界の人たちは、脅威でないと思っていたので、対策をしていませんでした。

 宇宙船は、ミサイルを撃ちつくした後、月に衝突しました。

 月には、アトランティスの予備のサーバーがあり、各種データに異変が起きました。

 そして、ミサイルから放たれた攻撃は、最初の大陸以外の生き物を、ほぼ死に追いやりました。

 新型のサイコフィールドが、ミサイルに込められたいた呪いを増幅した結果です。

 最初の機神の関係者が、報復処置として、電気機器を破壊する粒子を詰め込んだミサイルでした。

 それは、新型のサイコフィールドが過剰に反応した結果、最悪の事態を引き起こしました。




 それから100年。

 多くの命が失われた事で、アトランティスの機能は変化しました。

 死者は、突然の事で何が起きたのか理解できず、徐々に消えていきながら、サイコフィールドにその情報は路記され、星の情報へと刻まれました。

 このときも、機神は現れました。

 このときは、無人の機械が多かったそうです。

 これは、自動防衛であっけなく全滅。

 生き残った人々が、機神に対して、反撃をしたと記録にあります。




 多くの命の記録を吸い込んだサイコフィールドは、生きている人のいるアトランティスへと融合しました。

 仲の人たちは、その影響を受け、自分達の過去を忘れ、アトランティスと言うアトラクションの歴史を、本当の歴史と認識していきました。

 また、多くの生贄をささげたことで、世界が変質して、ずれてしまいました。

 夢が現実になった世界。

 多くの犠牲の元に、それが実現しました。




 それから100年後、機神が現れました。

 100年前の報復で、かなりの被害を受けたみたいで、今まで無い規模の戦闘力が送られてきました。

 生き残っていたアトランティス以外の場所の人たちは、これを予想していたので、激しく抵抗しました。

 100年の間に、色々と失った技術があり、戦闘は勝ちましたが、生き残っていた人は全滅しました。

 元々、5人しかいなかったので、仕方ありません。

 この戦いで死亡した5人は、アトランティスを外から支えたスタッフで、自分の人格をベースに、管理者を作成したそうです。




 残念ながら、機神に関しての情報はあまり残っていません。

 5人は、報復した事を後悔していたみたいです。

 その結果、何か起きたらしく、それが彼らを悩ませ、機神と相打ちになったそうです。




 残された管理者は、アトランティスを維持することを使命として、暗躍しています。

 元々、無理矢理作った世界です。

 色々と不具合がおきています。

 その際たるものが、異世界人の召喚です。

 システムに無い、バグが、ここにきて発生しています。

 色々と、無理がきて、世界の崩壊が迫っているのかもしれません。

 それを、認めるわけにはいきません。

 バグを除去して、正常化を図っても、中々上手く出来ていないのが現状です。

 どうすればいいのか?




 管理者たちは、悩んでいました。

 AIなので、明確な答えが出せないまま、時間だけが過ぎていました。

 そんな中、規格外のエラーが起きてしまいました。

 大量の異世界人召喚。

 それにより、世界の崩壊は加速しています。

 エネルギーが、不足してきたのです。

 完全なバランス調整をしていたはずなのですが、規格外の存在に、エネルギーを奪われてしまったのです。

 そして、また新しい異世界人がやってきました。

 過去に行った、燕魂計画の成果が混ざっています。

 その結果、恐ろしい存在が生まれてしまいました。




「恐ろしい存在とは?」

「十色さんです。星の記憶と、願いを受け継いでいます。この星の人たちは、絶大なる猫好きでした。その願望が詰まった存在が産まれたのです」

「それが、問題なのですか?」

「この世界に存在しなかった、神という存在が産まれるかもしれません。それが、良いことなのか、悪い事なのか、わからないです」

「神はいないのですか?」

「何を定義しての神で、答えは変わります。この場合、猫好きの人たちの怨念を集めた存在が危険なのです」

「力が、集まりすぎるからですか?」

「そうです。バランスは大事です」

「それを保っているのが、グランドマスターですか?」

「そうです。過去の生き残りです」

「失敗したかな?」

 現在、十色は巨大な湖の調査をしているはずです。底に、宇宙船があると思ったのですが、あれは最初からあるアトラクションの演出でしょう。

 そこに、グランドマスターがいる可能性が高いです。戦いになる可能性もあります。

「大丈夫だと思いますよ」

「何故です?」

「彼もまた、大の猫好きです。先日のメトロギア・襲撃作戦も、地の涙を流しながら指揮していました。彼は今、自分を見つめなおすために、修行中です」

「・・・」

「話し合えば、良い方向に向かうと信じています」

 若干の不安もありますが、管理者から色々と話が聞けたのは良かったです。

 後は、機神関係の情報があれば今後の対策は取りやすいです。

 次の目標は、果て無き迷宮になりそうです。

 色々と準備が必要です。

 その前に、せっかくなので、この大陸で、使えそうなものを探しましょう。

 十色からの報告を待つ間、私達はこの大陸を彷徨うのでした。








---------------------------------
 小説家になろうでも投稿中。
 3日に1度ぐらいのペースで更新予定です。


 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...