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Case.3 朔と遥香 第2話:不協和音の正体
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「……へぇ、パデレフスキ版はここの解釈が違うんだね。どっちで弾こうかな」
リビングのローテーブルに二つの楽譜を広げ、遥香先輩は熱心にページを繰っている。
雨に濡れた髪から、微かにシャンプーの甘い香りが漂う。
さっきまで雷に怯えていたのが嘘のように、今は「真面目な先輩」の顔だ。
俺はそんな彼女の横顔を、黙って眺めていた。
元カレに見せていたのも、こんな無防備で、でもどこか凛とした姿だったんだろうか。
そう思うと、胸の奥がチリチリと焼けるように熱くなる。
「……あの、朔くん? 黙ってるとちょっと怖いんだけど」
視線に気づいた先輩が、戸惑ったように笑う。
その「余裕」が、俺をさらに苛立たせた。
「先輩。……さっき練習室で、なんで俺の指、あんなエロい目で見てたんすか?」
「……っえ?」
あまりにストレートな言葉に、先輩の手が止まる。
一瞬で耳まで真っ赤に染まっていくのが、うす暗い部屋の中でもよく分かった。
「ち、違うよ! そんな、変な意味じゃなくて……ただ、すごく綺麗な指だな、って……」
「綺麗だと思って、あんなに熱心に観察してたんだ」
俺はゆっくりと距離を詰め、逃げ場を奪うようにテーブルに手をついた。
先輩の呼吸が、目に見えて速くなる。
「……じゃあ、試してみます? この指、ピアノ弾くだけじゃないんで」
俺の指先が、先輩のブラウスの襟元に触れる。
「っ、……ぁ……」
触れただけなのに、先輩の口から掠れた吐息が漏れた。
……なんだ、これ。
元カレがいたっていうから、もっと慣れてるのかと思ってた。
なのに、鎖骨のあたりを少し指先でなぞっただけで、先輩はビクンと肩を揺らして、力なく俺のシャツを掴んできた。
「……先輩、感じすぎじゃないっすか?」
「……だって、……朔くんの、指、……っ……」
潤んだ瞳で俺を見上げるその顔は、もう「先輩」の仮面なんてどこにもなかった。
激しい雷鳴が再び部屋を揺らした瞬間、俺は先輩の腰を引き寄せ、そのままカーペットの上に押し倒した。
「……先輩。嫌ならやめますけど。どうします?」
「……嫌じゃないけど、なんで、んっ」
問いかけの答えを待たずに、俺は強引に唇を奪った。
先輩は経験豊富なんだろうという思い込みが、俺を少し乱暴にさせる。
拒まれないのをいいことに、俺は乱れたブラウスの隙間に手を滑り込ませた。
「っ、……あ、……さく、くん、……まって……っ」
「待たない」
鍵盤を叩きつけるような激しい愛撫で、彼女の柔らかな肌に俺の指の感触を刻み込んでいく。
「……ぁ、……ふ、……あぁっ!!」
指先が熱い場所に触れた瞬間、先輩の身体が大きく跳ねた。
元カレの時も、こんなに簡単に声を上げてたのか。
そう思うと、さらに指先に力がこもる。
俺の指が彼女の肌を滑るたび、先輩は今まで聞いたこともないような甘い声を上げ続け、俺の腕の中で溶けるように震えていた。
リビングのローテーブルに二つの楽譜を広げ、遥香先輩は熱心にページを繰っている。
雨に濡れた髪から、微かにシャンプーの甘い香りが漂う。
さっきまで雷に怯えていたのが嘘のように、今は「真面目な先輩」の顔だ。
俺はそんな彼女の横顔を、黙って眺めていた。
元カレに見せていたのも、こんな無防備で、でもどこか凛とした姿だったんだろうか。
そう思うと、胸の奥がチリチリと焼けるように熱くなる。
「……あの、朔くん? 黙ってるとちょっと怖いんだけど」
視線に気づいた先輩が、戸惑ったように笑う。
その「余裕」が、俺をさらに苛立たせた。
「先輩。……さっき練習室で、なんで俺の指、あんなエロい目で見てたんすか?」
「……っえ?」
あまりにストレートな言葉に、先輩の手が止まる。
一瞬で耳まで真っ赤に染まっていくのが、うす暗い部屋の中でもよく分かった。
「ち、違うよ! そんな、変な意味じゃなくて……ただ、すごく綺麗な指だな、って……」
「綺麗だと思って、あんなに熱心に観察してたんだ」
俺はゆっくりと距離を詰め、逃げ場を奪うようにテーブルに手をついた。
先輩の呼吸が、目に見えて速くなる。
「……じゃあ、試してみます? この指、ピアノ弾くだけじゃないんで」
俺の指先が、先輩のブラウスの襟元に触れる。
「っ、……ぁ……」
触れただけなのに、先輩の口から掠れた吐息が漏れた。
……なんだ、これ。
元カレがいたっていうから、もっと慣れてるのかと思ってた。
なのに、鎖骨のあたりを少し指先でなぞっただけで、先輩はビクンと肩を揺らして、力なく俺のシャツを掴んできた。
「……先輩、感じすぎじゃないっすか?」
「……だって、……朔くんの、指、……っ……」
潤んだ瞳で俺を見上げるその顔は、もう「先輩」の仮面なんてどこにもなかった。
激しい雷鳴が再び部屋を揺らした瞬間、俺は先輩の腰を引き寄せ、そのままカーペットの上に押し倒した。
「……先輩。嫌ならやめますけど。どうします?」
「……嫌じゃないけど、なんで、んっ」
問いかけの答えを待たずに、俺は強引に唇を奪った。
先輩は経験豊富なんだろうという思い込みが、俺を少し乱暴にさせる。
拒まれないのをいいことに、俺は乱れたブラウスの隙間に手を滑り込ませた。
「っ、……あ、……さく、くん、……まって……っ」
「待たない」
鍵盤を叩きつけるような激しい愛撫で、彼女の柔らかな肌に俺の指の感触を刻み込んでいく。
「……ぁ、……ふ、……あぁっ!!」
指先が熱い場所に触れた瞬間、先輩の身体が大きく跳ねた。
元カレの時も、こんなに簡単に声を上げてたのか。
そう思うと、さらに指先に力がこもる。
俺の指が彼女の肌を滑るたび、先輩は今まで聞いたこともないような甘い声を上げ続け、俺の腕の中で溶けるように震えていた。
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