絆物語

藤原葉月

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大切な人との時間

第33話

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そしてゴウとケンは・・・、

「ケン、なにか感じるか?」

「この辺で強く感じる」

サキがキョウカから預かった大切なペンダントを手掛かりに命懸けで僕を助けてくれた。


「ケン、その前に何か違う邪気を感じないか?」
「・・・・うん」

震えてきた。
なんだか怖かった。


「ケン、大丈夫か?」
2人は背中を合わせ、敵がくるだろうという方向へ向いていた。

彼らの力は確実に強くなっていた。

「来るぜ」

「うん!!」

「しかも前後から!!」
かれらの読み通り、前後から敵がやってきた!!

2人はそれぞれの剣で敵を切りつけていった!



「それにしても遅いですね」

その頃、2人の帰りが思ったより遅くて心配する4人がいた。

「暗くなってきた。兄さんたち大丈夫かな」

「そうですね。連絡方法はありませんから」
「大丈夫だよ。あいつら無理だと思ったらきっと帰ってくるさ」

「俺は逆だと思うけど・・・・」

「ヨシさん・・・」

「だいたいあいつが一緒なのが心配だ。先走るのはあいつの方だろ?」

「って言うか、ヨシさん」

なんだかニヤつくジュン。
「な、なんだよ」
「心配してくれているんですね。何度も同じことを言うなんて」

「えっ?何がだ?」

「2人をですよ。特にゴウ君を」

「いや、別に僕は・・・・」

「・・・・」

「それより、ヒロさんはなぜ彼を・・・。」
「ヒロさんが彼を選んだのは・・・」

とマサが何かをいおうとしたが、

「悪い・・・分かっているんだ・・・」


僕にはできなかった。
彼の・・・・ケンの後をすぐに追いかけられなかった。
まだ、彼らを信じきれていない訳では無いのだが・・。
「・・・・・・」


なぜだか、会話が途切れてしまった。

そして、



「ハァハァ、なんて数の敵だ」


「2人だけで倒せない?・・・ハァハァ」
「あぁ、そうかもな」

でもここには俺たち2人以外誰もいない。

もしもこの剣に、仲間を呼べる力があれば・・・。



「あれ?なんか剣がひかってない?」

「あっ、本当だ」

「僕のもだ・・・」

4人の剣が、同時に光出している。


「もしかして、兄さん達が呼んでる?」
と、ジュン。

「共鳴ってやつ?」と、マサ。

「行ってみますか?」と、ヒロ。

「だけど、場所が特定できないよ」
「いや、出来るさ。信じれば道は開く!だろ?」
「わかりました。行ってみましょう」

4人は、走り出していた。


そして、2人も

「ケン、みんなの心が伝わってきたぜ」
「うん!僕にも感じる」

「みんなが来るまで頑張るぜ!くたばるなよ?」

「うん!もちろんだよ!」

そして、さらに戦いだした2人。


【カナ様。あやつら並大抵の力の持ち主ではありません】

【面白い。それにあの男・・・・・】

【えっ?】
【さっきから大地の力を使うあの男にもっとも強い力を感じるわ。うふふ】

【カナ様、奴らの仲間が現れたようです】
と、家臣は頭を下げた。


「へぇ?離れたところにいたのによく居場所がわかったわね」


その中には《ヒロ》の姿もある。
【あの男はこの女の】
そして、

「ゴウとケン、待たせたな!」

「みんな!来てくれたんだね!」

「当たり前だろ?この剣で繋がってるんだから」

そして全ての敵を切り尽くした6人。



「ったくどこからこんなに湧いて出てくんだよ」

「きっと近くで真に力を操る者がいるはずです」

「ケン、キョウカさんだっけ?は見つかったのか?」
「いえ、それが何も」

「ケン、サキさんのことですが・・・君が行ってしまってすぐに・・・・」

「知ってる。死んだんだよね?僕のために」

と、下を向いた。

「すみません。彼女がその力を使っていることに気づけなくて・・・・」

「いいんだ。サキはね、僕とキョウカのことを1番心配してくれてた。キョウカのこと、ずっと守ってくれたんだと思う」
「そうですね。女の子なのに、強いですね」
「だから、探すんだ。キョウカのことを必ず」
「えぇ、ぼくたちも援護致します」
「でも、なんか力を使ったらお腹すいちゃった」

「(笑)なんだよ、それ」

「あはは!お前らしいや!」
笑い合う6人の戦士たちの後ろに忍び寄る影。

【へぇ?6人を繋ぐ《正義の剣》ね】

【カナ様、やつらはどうやらあのしょうじを探しているのかと・・・・】

森の影に倒れている一人の少女。
それは正しくキョウカだった。



【あら、この子は私の獲物。だって、力を感じるの、この女と同じ力をね。ふふふ。でも、それを〈黒〉に変えるの。この魂が目覚めないうちにね】

不気味に笑う女【カナ】は、6人を見つめていた。

「!?」

ヒロは振り返った!

なぜか嫌な予感がしたから。


「ヒロさん?」
マサはヒロが青ざめている気がして、

「大丈夫ですか?」

「・・・。大丈夫です。少し疲れたのかもしれません。」
そう言って笑っていたが、やはり気になっていた。


この、《うっすらな邪気》の正体が。



宿に着いた6人は、夕食をすませるとそれぞれの部屋についた。

だが、ヒロだけはどうしても気になることがあるらしく、そっとそとへ飛び出した。


「やっぱり、気のせいだろうか」


思わずつぶやくと、

「ヒロさんも感じたんだ」
と、そこに居たのは

「えっ?ゴウ君」
「実はさぁ、俺も感じていたんだよね」

「あの小さな邪気を?」

「多分だけど、あの敵を操っていたやつの正体なんだろうけどさ」

「・・・・恐らくは。しかし強い力なのにそれもまるで強い何かに侵されているような・・・・・」


「ん?ヒロさんと、ゴウ?」

ヨシも目が覚めてしまい、窓の外を見ると2人の姿が!

「!?」

物陰から誰か出てくる気配がした!!

「2人ともあぶない!!」

ヨシは叫んだ!!

「なに!?」
「どうした!」

ズシャ!!


「・・・・っつ!」

「ゴウ!ヒロさん!!」


見えない力でゴウは切られた!


「ちくしょう・・・・」

「誰だ!そこにいるやつは!!」


あとの4人も物音に気づき出てきてしまった!


「ダメです!でてきては!!」
「・・・・っつ!」

見えない力で次々と仲間は斬られていった!


【ふふふ、弱いわね。ヒロ】
「・・・・・!?(この声は・・・・)」


人間の声?
しかも女・・・・?


【ヒロ、愛しい女の顔を忘れたとは言わせないわよ?】



そこに現れたのは・・・・


「カナ!」


「えっ?カナさん?」
そこに居たのは、この間と同じ女?

こんな再会するなんて!!


そうか、あの人がカナさん。

ヒロさんがなぜ1人斬られていなかったわけがやっとわかった・・・・・。


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