voyager~不思議な船旅~

藤原葉月

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旅の始まり

新しい出会い

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「いっただきまーす!」
1人、また、ハイテンションである。
「健斗、なんかうれしいことでもあったの?」
博巳兄さんに言われ、
「えっ?」
ふいに、赤くなり、
「別に、ないよ?」
「健斗さん、なんかうれしそう。例の人に、会えたんですね。」
イオンさんが、料理を運びながら言う。
「例の人?って?」
昌也が聞くので、
イオンは、健斗に聞こえないように、他の5人に伝える。
「健斗さん、人魚に、あえたみたいですよ」
「えー?人魚に会えた?」
「ふーん、そういうことかぁー、よかったなー、健斗!」
と、和彦。
「えっ?よかった?」
「会えたんだろ?人魚に」
「なっ」
また、真っ赤になる俺。
「イオンさん!」
「人魚?」
「いや、イナンは、気になくていい」
「へぇー」
「なにそれー」
なんだかんだ仲良くなってる健斗と、イナンさん。
四人はからかっていた。
だけど、喜べない人が1人。
「へぇ、イナンさんと、健斗って
できてたんだ。」
「だから、ちがうって」
「違わないだろ?仲良くしちゃって。俺に見せつけたいだけかよ」
「和兄さん」
普段穏やかな、和彦が、すこし冷たい態度になる。
(和彦のやつマジだったんだ)
でも、悪いけどそれは・・・・・
複雑なおもいでいるのは、昌也だった。
なぜなら、素直にお祝いができないからだ。
「みんな、違うからね!仲直りしただけだから!」
「 赤くなるところが怪しいよねー」
と、さらにからかい始める。
「い・・イナンには、好きな人いるからー」
「健斗!」
「協力する約束しただけたし。」
健斗は、和彦を、見ながらも
「だから、みんなも、協力してあげて」
「ちょっと健斗!余計なお世話」
イナンも、あせっている。
「いいじゃん。レンさんじゃなくても、見つかるかもしれないでしょ?」
なぜだか、内緒話をして、さらに親密な二人に、
「ごちそうさま。」
逆に、不機嫌になった、和彦は、
「和彦、もういいのか?」
「おなかいっぱいなんだ。
ちょっと外の空気吸ってくる。」
「・・・・わかった。あんまり、遠くに行くなよ?」
「うん。」
(和彦兄さん)
健斗は、しまったと思ってしまった。
イナンと、仲良い?姿を見せてしまったから。
「待って!」
「健斗!」
「だって・・・・・」
「いまは、1人にしてやれよ。」
「・・・・・・・・」
「そうだわ。みなさん、今日は街でお祭りをやってるみたいですよ。行ってみますか?」
「えっ?お祭り?いく!だって、俺たち行ってないもん!ねっ!こんどは、俺と、博巳兄さんと、樹の番だよね?」
「お祭りかぁー。いいねー、昌也兄さん、俺もいきたい」
「そうだな。3人は、まだ、街に出ていなかったな。よし、行くか」
「やったー!」
「よかったわね。健斗。」
「 うん。イナンも、いくの?」
「えぇ、行くわよ」
すっごく楽しみになっていた。
そのころ、外に出た、和彦は、
「あーあ、あれじゃ嫉妬丸出しだな」
本当はわかってた。
ふたりが、喧嘩をし始めたときから、
「いっつも、そうなんだ。」
大きなため息が出る。

再び街に出た俺たちは、それぞれいきたい場所に向かおうとしていた。

「樹、俺に付き合え」
「えっ?和兄さん?」
いつのまにか戻ってきた和彦は、樹を、強引に連れていく。
「じゃあ、俺も付き合う」
と、武司。
「よし、決まり!行こうぜ!」
なんだか、吹っ切れたのか、いつものテンションの和彦だった。
「じゃあ、僕は・・・・・・」
「健斗、わたしと、泳ぐ約束は?」
「そういえば、そうだったね。」
「泳ぐ約束?」
昌也は、相変わらず仲良い二人のそばにいて・・・・
「ここ、プールあって」
「そういえば、泳ぐの好きだもんな」
「街へ行かないの?あんなに、行く気満々で、いたのに」
「後で行くよ!お祭りは、夜でもやってるでしょ?みんな、行ってらっしゃい」
「ったく、なんだよ。あんなに不機嫌になっていたのに」
「行こう!」
「それでね!」
なんだか、仲直りした恋人同士みたいだ。

「やっぱり、仲良くなってんじゃん」
「・・・・そうだな」
「昌也兄さん?」
博巳は、昌也の様子に気付き、
「俺たちは、留守番かな」
「えっ?なんで?」
「キッチンから、まだ、いいにおいしてるし、俺はもう少しここにいるよ」
「・・・・・・・」
博巳らしい答えだった。
自分もそうしようと、思っていたから。
そのころ、樹は、ふと船であった女の子のことが気になった。
「あの船に乗ってたってことは、ここの国の住人でもあるって、ことやんな。」
「樹?」

樹は、自分が独り言をいっているのに気づかずにいる。
一旦自分の部屋に戻ってきた二人。
「だから、きっと、また、会えるかも」
なぜだか、その女の子にまた、会える気がした。
「なぁ、樹」
「ん?」
「(笑)おまえの心の声、丸聞こえ。」
「えっ!あっ!いや、あのっ、その」
「隠さなくてもいいじゃん。船で、出会ったんだろ?運命の人に」
武司は、からかう。
「昌也兄さんたちには、内緒にしてね。あと、和彦兄さんにも。なんか、めんどくさいから。」
「わかってるよ。その気持ち俺にもわかるから。でも、和彦兄さんは、イナンさんに、本気みたいだぜ」
「えっ?和彦兄さんが?」
「イナンさんと、健斗が、いい感じになったとき、めっちゃガン見してたから。」
「・・・・ガン見・・・・」
「健斗のやつ、イナンさんと、かなり仲良くなったみたいだな」
それは、俺も感じる。
前は、喧嘩していたのに。
いまは、二人で楽しそうに笑ってる。
「一体どうやって、仲直りしたんだろうね」
「あいつ、モテるからねー」
「それ、武司兄さんが言う?」
「俺もうらやましいもん。あいつ、才能あるし」
「認めるんだ」
ようやく部屋からでた二人は、
「そこの二人」
「うわっ!和彦兄さん、お待たせ・・・・・」
「遅いよ。いつまで着替えにかかってんだよ。あと、二人で、なにこそこそ、してんだよ」
「いや、イナンさんと、健斗、仲いいなって思っただけ」
「そうだな。俺も思うよ。負けたよ。あの二人には」
「負け、認めるんだ」
「あいつ、自分じゃ気づいてないんだ。イナンさんに惹かれてるって。そこも、ムカつく」
「和彦兄さんは、いいの?イナンさんのこと、あきらめるの?」
「まぁ、それは、様子を見るよ。健斗が、イナンさんを悲しませるなら、俺は、本気で奪おうかなって。」
「そうこなくちゃ。ってかさ、きっと、和彦兄さんには、いい人見つかるよ」
「それ、今言う?」
「あっ、おれも。イナンさんじゃなくても見つかる気がする」
「ありがとなー!やっぱ、大好きだー」
二人を、なぜだか抱きしめ、
「いたいよー」
「やめろよー」
なんだかんだ、仲のよい3人だった。
「あの!」
そこへ、ある、女の子が、近づいてきた。
「ん?」
「あっ!君、あのときの?どうしたの?」
「あの、わたしと」
「えっ?」
樹の手をとって、その女の子は、じっと見つめる。
「なになにー?樹の彼女?」
「あー、なるほどねー」
「わたし、街を案内します。一緒に行きませんか?」
樹の手をとり、顔を近づける彼女。
結構かわいいこじゃんと、思ってるのは武司だった。
「えっ?でも、俺・・・・」
顔を近づけられて、戸惑う樹の顔が面白い
「いいよいいよ、樹、行ってこい」
「えっ?でも。」
「俺は、しょうがないからこいつと行くよ」

和彦は、武司と肩を組み、
「じゃあ、いってくる」
と、いって、その女の子についていくことにした。
・「いいなー。女の子から、誘われるなんてさ」
「あいつも、なんだかんだ、モテるしね。」
「まぁ、それも、そうだけど。」
「急に関西弁つかうとことか?」
「あいつだけ、関西出身だしな。」
彼女に、手を引かれながら、
「あの、なんで、俺だけ・・・・」
「わたし、アミっていいます」
「あっ、俺は、樹。よろしく」
話に、乗せられてる樹だった。
「あなたなら、わたしの話聞いてくれそうだったから」
「そう?」
あのとき、見つけてくれた人だから。
「で?どこに、連れていってくれるの?」
「わたし、いきたいところあるんです。いいですか?」
「いいよ。俺でよければ」
アミって人の、秘密を知らないまま、樹は、彼女と過ごしたんだ。
そのころ、上二人は、イナンとイオンの父親に会っていた。
ことの真相を聞くためでもある。
「お父様。いらしたわよ」
「あの、俺、緒方昌也といいます。こっちは、次男の博巳。」
「博巳です。」
「そうか。よく、きたな、といってもよいのだろうか。」
「いえ、こちらこそ、イナンさんには、お世話になりました。自分達は、地球の者。異世界に紛れ込んだのに、こんなによくしていただいて。」
「そうだな。お主たちに、話しておきたいことがある。ほかの者はどこにおるのだ。」
「あっ、あの王様。僕たちは、兄弟と言ってますが、実は兄弟ではないのです。すみません。したの四人は、街へと出掛けました。」
「なんと。」
「年齢も、バラバラですし、学年もバラバラなので兄弟みたいだなって、いま住んでるシェハウスのオーナーの人に、言われまして。」
「なるほど。」
「まぁ、あの船に乗ったのは、たまたま、6人とも、船旅が当たったと言うか、ほんと、奇跡みたいな話で・・・・・」
「・・・・奇跡か。たしかに、そうかもしれぬな。」
「・・・まぁ、そんな話はさておいて・・・・俺たちの弟が、なぜ、あんな風に操られたのか・・・・ちゃんと、俺たちは、帰れるのか・・・聞きたいことはたくさんありまして・・・・・」
「・・・わかっている。おまえたちは、地球人だということ。呪いのクリスタルが、仕組まれ、操られたこと。なぜ、この国に来ることになったのか・・・・・」
「・・・・イナンが、そなたたちの弟になにかしたとか、聞いたが・・・・・」
「・・・・あっ、そうなんですよ。彼女が、"レン"って人と間違えて、健斗を、プールに突き落としたみたいで・・・・・」
「突き落としたんじゃないわ!ビックリさせただけよ!」
「突き落としたのと一緒だよ!ビックリしたもん!地球人と同じ驚かせ方するなんて」
急に会話に入ってきたのは、イナンさんと、健斗だった。
「あれ?おまえら、街に出たんじゃなかったのか?」
「・・・・・行こうと思ったけど・・・・・」
「・・・・挨拶は大事だもんな。」
「・・・あっ、ご挨拶遅れました。僕は、健斗って言います。イナンに落とされた超本人です。」
「・・・君が、健斗か。」
「・・・お父様、レンの居場所はわかりましたか?」
「・・・・まだ、わからない」
「・・・そう・・・・」
「・・・・きみは、呪いのクリスタルを、仕組まれたのか?」
「・・・・どうやら、そうみたいです。・・・彼女が、助けてくれなければ今頃僕は・・・・」
「・・・おまえら、いつのまに、仲良しになったんだ?あんなに、ケンカしてたのに」
「・・仲良し?別に・・・・」
「・・・・・なぜ、クリスタルが、健斗君、君の体に入ってしまったのか。知りたいか」
「はい。でも、それって、誰かが、僕の体に仕組んだってことですよね?」
「そういうことだ。だが、それでおまえは記憶があるのか?」

「記憶と言うか、僕のそばにいた。いるのに、顔が見えないし、その人が憎んでる人のところへ導いたって言うか。」
「健斗、おまえ本当に操られていたのか?」
「操られたわりには、こいつ記憶が鮮明でして・・・・」
「なんとなく、誰かわかってきたわ。わたしと、たぶん、イオンの力を狙っているもの・・・・」
「・・・・・・」
「うむ。なるほど。この世界のクリスタルを入れられ、無事でなによりだ。そなたたちは、普通の人間。無事に地球に帰したい。だが、それは、しばらく時間をくれないか?必ず全員帰してやるから。」
「・・・・はい。」
父親との挨拶が終わり、3人がいないことに気づいた僕は、
「あれ?和彦兄さんと、武司と、樹は?」
「・・・あいつらたぶん、街へと出掛けたよ。。なんか、樹は、女の子に誘われたみたいだし。」
なぜ、そんなことを、知っているか。
さっき、本当は、女の子に引っ張られてく樹を見たからだ。
「誘われた・・・ね。・・」
昌也は、またへんな顔をしている。
「昌也兄さん?」
「とりあえず、俺たちも、街に行くか。」
「・・・・?」
その頃、アミに、街へと連れ出された樹。
「あの、アミさん」
「・・・わたしたち、こうしてると、恋人どうしに見えるかな?」
「・・・いや、あの俺は・・・・」
「・・・わたしね、あなたに・・・・」
「・・・・えっ?」
「このまま二人でいなくなりたい・・・・・」
そう、アミは小さく呟いたけれど・・・・
「ねぇ、樹」
顔を近づけるアミさん。
「・・・あの、近いんやけど・・・・」
「・・・・お願いがあるの」
「お願い。」
「・・・・そう、ここ」
「・・・・・?なにこれ」
「・・・みんなには、内緒・・・・あなたに託したいの。」
「・・・俺に?」
「・・・・もしね、もし、これが必要になったら、壊してほしいの・・・・」
「・・・壊す?この、クリスタルを?」
「・・・えぇ、でもいまは、わたしと樹だけの内緒の話・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・あと、もうひとつお願いが・・・・」
「・・・・わかった。なんでも、聞くで?」
聞かないとダメな気がしたんや・・・・・
なんだか、消えそうな彼女の笑顔が、気になって仕方なかったんや・・・・・




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