voyager~不思議な船旅~

藤原葉月

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動き出した組織

心を繋ぐクリスタル

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次の日、ぼくは、みた。
でも、イナンじゃなくてイオンさんで、一緒にいるのは、樹だった。
「なんだ、樹だったんだ」
なぜだかぼくは、ホッとしていた。
なんでだろ・・・・
「健斗兄さん!おっはよ!」
「朝から、元気だね・・・・」
い、いまのひとり言聞こえてないよね?
「・・・だってさ、体力つけないと!ボディーガード、勤まらないじゃん?ここは、異世界だし、敵は、普通の人間じゃないし・・・・」
ゲームの世界のうんちくが、始まりそうだった。
「まぁ、そうなんだけどさー」
(なんだか、よくしゃべるね。きみ、そんなキャラだったっけ?)
「おはよう、二人とも。よく眠れた?」
博巳兄さんと、和彦兄さんだ。
「バッチリー」
「声、揃ってんじゃん。いいことだ。」
「そういえば、樹、こないだの女の子のことなんだけどー」
「・・・・アミのこと?」
「・・そうそう、アミさん!男友達?らしき人と楽しそうだったねー」
「・・・どうせ、俺は遊ばれたんや」
「・・遊ばれたって・・・・いや、昌也兄さんは、あんなこと言ってたけど・・・樹は、あのこに・・・アミさんに、本気なんじゃないの?本気だから・・・・あんなふうに怒っていたんだよね?もし、そうなら、あきらる必要は・・・・」
「彼女は、そんなんやない!っていってるやろ?俺が、断ろうとしてるのに、無理矢理連れ出して、あげくのはて、指輪買わされて、かえって迷惑だったんだよね」
「・・・あっ」
みんなの顔が、曇っている。
「・・・だいたいさ・・・・」
「・・・ごめんね、樹・・・」
「・・・えっ?アミ?」
そこにきたのは、アミさんだった。
彼女は、樹に会いに来たらしいが・・・・
「・・どうした?騒がしいけど」
 昌也兄さんが合流した。
「・・・迷惑だったんだよね・・・・?」
「・・アミさん、誤解しないで、いまのは」
「・・・樹、優しい人だから、わたしのわがままに何もいわないで付き合ってくれたし」
「・・・」
「・・・大丈夫。本当は、お別れをいいに来たの。じゃ、さよなら」
「・・アミさん!」
彼女は、泣きながら走って行ってしまった。
「樹!言い過ぎだよ。あれはまずいよ。なにが、あったんだよ」
「・・・・これで、ええんや」
「・・・これでいいって・・・」
「・・・なに?樹は、あの女の子と、なにかあったのか?」
「昌也兄さんが、好きになるなって、言ったから」
「そうや。だから、俺といても、狙われるだけやし」
「何も突き放さなくても」
「・・ねぇ、昌也兄さん、人を好きになるのは、自由でしょ?」
「・・自由だよ。だけど、好きになっても辛い思いするだけだ。相手も、そして、俺たちも」
「・・そっか、そうなんだよね」
異世界の人間だから。
「彼女とは、もう2度と会わへんから。忘れようと思う。俺は、イオンさんのボディーガード勤めるとするよ」
「・・えっ?何勝手にきめてんの。まだ誰がボディーガードとか決まってないし?」
「樹・・・」
「あれ?武司は?」
「イオンさんと、散歩していたよ」
「邪魔しに行くか?」
昌也兄さんが、いう。
「行く行くー!」
と、和彦。
「・・・僕は遠慮するよ」
と、健斗。
「・・・俺も、やめとくわ。」と、樹。
「・・博巳は?」
「・・・俺は・・・・・」
ものすごく期待の視線を浴びたが、
「いいにおいするから、キッチンにいくー」
とにっこり。
さすが神の笑顔。
逆に怖い(笑)
「やっぱりー?」
と、四人は口を揃えた。
「いいよなぁー、武司は。なんの気兼ねもなくイオンさんと一緒に入れて・・・・」
これが和彦兄さんだったら、嫉妬の固まりになってしまうだろう。
朝食の時間になっても武司とイオンさんは、まだ戻らなかった。
部屋にいると、いきなりドアが開き、
「・・健斗!ちょっときて!」
「・・イナン?」
着替えをするわけでもなくいた僕だけど、ちょっと今のは誰でもビックリするよ。
「・・男の部屋にノックもせずにはいるなよ~。ビックリするじゃん。着替えてたらどうするんだよ!ってか、和彦兄さんは、どこ行ったんだろ」
全然気づかなかった。
「いいから来なさいよ」
僕の手をとると、
「話があるの」
そう言って走らされる僕だった。
「ねぇ?僕の話聞いてる?」
「知らない!いうから来て!」
聞く気はないのか。
僕とイナンが一緒に走っているのを、博巳兄さんが気づき、
「二人とも~?そろそろ、朝食の時間だよ~?」
と、いってくれてるのをスルーして、
「博巳兄さん、ごめん!あとでいくね!」
とすれ違いざまにいうのが精一杯だった。
いったいどこにつれていかれるんだろう。
そのころ・・・・
「・・イオンさん、俺ずっと疑問なんですけど、本当にレンさんに、そっくりなんですか?」
「・・・えぇ、とてもよくにてるわ」
「・・・あの唐突なこと聞くけど、レンさんがクリスタル作ってるって。それってどんな役目をしてるの?」
いつのまにそんな情報を、聞いたのだろう。
たぶん、メイドたちだろう。
「・・実はね、とても重要なことがわかったの」
「・・重要なこと?」
ガサガサ音がした!
「・・・えっ?誰?」
「・・ハロー!エブリバディー!」
出てきたのは、昌也さんと、和彦兄さん。
って、通じるのか?
「・・ちょっとぉ!大事な話していたのにー!邪魔しないでよ」
「俺たちさぁー、門番に、指名されたんじゃん?(いつのまに)」
と、昌也兄さん。
「そしたらさぁー、城の中は、しばらく見れないわけだし~」
まぁ、たしかに
「あっ、そう」
クールな武司は、そんなことは、どうでもいいみたいだ。
「ちょうどいいわ。これは、みなさんにも、聞いてもらわなきゃ。」
「あれ?あとの3人は?」
「っていうか、俺たちら、君たち二人を、呼びに来たんだよ。そろそろ、朝食の時間だし。」
「3人ともなにかは、してるよ。」
「イオンさん、さっきの話の続き!」
「朝食のときにするわ。戻りましょう」
そして食堂に集まった。
「イオンさん、クリスタルについて、重要なことがわかったって。」
「えぇ、それはね、れんが作ったクリスタルは、私たちの心に入れるものなの」
「・・・それ、たしかイナンさん言ってたよね。健斗の体には汚れたクリスタルが入れられてたって。操られてるってことは、心に入れられたってことなんじゃ?」
「そういうことよ。その、レンが作った心に送るクリスタルは、なんらかの理由でバラバラになってしまったの。そう、あの日、あなたたちがこの世界へ迷いこんだ日」
「えっ?なになに?全然話が読めない」
「バラバラになった、クリスタルの数は、6つ・・・・」
「はい!俺の予想、言ってもいいかな?」
昌也は、わかってしまったみたいだ。
「・・な、なに、昌也兄さん」
「・・・まさか、そのクリスタルって、僕らの体内にあったりしますか?」
「・・・えっ?」
武司と、和彦は、驚いてスプーンを、落としている。
「・・やっぱり、わかったのね。その通りよ」
「えっ?マジで?」
「・・・みなさんはうすうす、気づいているんではないでしょうか。時々自分のなかに、誰かの感情が流れてくるのを。感じるのを。」
「・・まるで、超能力だ」
武司は、呟いた。
「・・それが、クリスタルが繋がっている証拠です」
「・・そうだったんだ。誰のかは、わかるような?わからないような感じはするけど」
そのころ、別室にわけもわからずつれてこられた健斗は、
「・・イナン、いまは、朝食の時間だろ。地球人がこまってるではないか」
「・・・イナン?どうしたの?」
「・・・お父様、わたしは縁談など、まだ、受けません!」
「・・えっ?縁談?」
「・・イナン、そなたは、もう少し女王らしい行動をしなさい。勝手に外に出たりしてすいた男がいるなど、うそだろう」
(・・・いや、いるんだけど、気づいてもらえてないんだ)
僕は、心のなかで思っていた
(っていうより、話してないんだ・・・)
と、思っていたら
「彼です」
「えっ?」
「わたしが、好きなのは、彼、健斗です」
「はぁ?イナン、何言ってるの?僕は、異世界の・・・・・ムググ」
イナンに、口を塞がれ、
「とにかく、わたしに自由をください!彼を、ボディーガードに、推薦します!」
「あの・・・、全然状況飲み込めてないんですけど」
そのあと、朝食を、やっと食べれた僕は
「・・えっ?健斗がイナンさんの婚約者?」
「・・・そうなんや。俺も、びっくりやわ。ってか、博巳兄さんが、メイドさんの役割をしてるのも、びっくりやけど」
「うれしいような、嬉しくないような、なんか複雑」
「・・王様、よろしいのですか?」
「イナンの選んだ青年だ。文句はいうまい」
「王様に、認められたんだから、しっかりイナンさんを守れよ~?」
「・・でも、僕は・・・・」
「健斗、お願い!」
せっかく、忘れようとしているのに・・・・
「・・・・わかったよ」
「健斗、しっかり頼んだよ」
「そうそう!しっかりね!」
「樹も、だろ?」
「・・なんだよ。みんなで、なんの話してたんだよ」
「・・昌也にいさんと、和彦兄さん。今のはなし・・・・聞いてた?」
「・・・・いや、聞いてないから聞いてるんだけど・・・」
「・・そうと決まれば、出掛けるわよ!健斗!」
また、僕の手を握ると
「・・えっ?イナン?」
また、走らされてしまう僕だった。
「・・なんだあれ。聞いてるのに答えずに行くって」
「・・・・それがね、イナンさんから、健斗へボディーガードの指名があって・・・」
博巳が、説明をしだす。
「・・へぇ~」
動揺を、しているのは、やはり和彦で。
「そのまま、婚約者になっちゃった」
「・・・・・・!?」
へいきなふりをして傷ついたのは、和彦兄さん。でも、
「・・なんだー、やっぱりそういう仲になっちゃったんだーあのふたり。」
明るくいっているけど、きっと心は泣いている。
「・・・樹。」
「えっ?」
「お前は、あのアミさんに、謝ってこい。
イオンさんに、案内してもらって。」
「買い物、行くんでしたっけ?」
「えぇ。」
「なんでや、昌也兄さん。俺は・・・」
「・・・本当は、罪悪感で、一杯なんだろ?このまま別れても、未練が残るだけだし、後悔するだけだ。それに、男らしくない」
「・・・・・」
「・・・あやまるだけでいいから。」
「・・・・わかった」
昌也兄さんの、気遣いだった。
「・・・昌也兄さん、もしかしてイオンさんにあの事を聞いたせい?」
「・・・えっ?ってか、おまえいつのまに聞いていたんだよ」
~心と心が、繋がっている証拠~
「・・・まぁ、言わなくても、あいつの気持ちはバレバレだし。とくに、健斗は、イナンさんを好きじゃないって言うのは、あんなのうそだろう?」
「・・・あぁー、あいつ、わかりやすいからね~」
「・・そういう、博巳は?」
「・・昌也兄さんこそ、キキさんと・・・」
そう言い合ってる二人の後ろから、
「・・ミミ?どうしたの?それ運ばなきゃ」
「・・キャーーー!!」
ガッシャーーーン

「・・えっ?なに?」
「・・・何いまの・・・」
「・・キキ!逃げるわよ!ミミが変だから!」

そのころ、僕はイナンの部屋に連れてこられた。
「・・ねぇ、イナン・・・」
キッチンが、たいへんなことになっているなんて、思わずに・・・・





    
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