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19、二学年-付与技能

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学業と冒険業を難なくこなし、星ランクも着々と上がっていった。
そして、月日は流れ一学年が終わり、二学年へと上がった。

二学年になると、固定のクラスはなくなり、専攻する科目教室に通う日々。
一学年の時よりも更にフリーダムな時間割。
たが、それこそが学園の狙いで、一学年は甘えを許すが、二学年で自主性を見せないと退学とさえなる。
その極端な帯の締め付けに甘え育った貴族の子息令嬢は、泣きを見る。
ここで脱落するようであれば家督は継げず、職も危うくなるからとどうにか蜘蛛の糸を掴もうと足掻く。
すると甘え子息令嬢が成長するという、学園の思惑らしい。
二学年からは完全な自己責任と最初から突き放す通達もあった。
飴は終わり、次は鞭だけと思うかもしれないが、社交系授業も残っているから、そこで難を逃れていたりもする。
結局は甘いのだが、そのザルからも落ちる者も出てしまうというから笑けてしまう。

そんな二学年になったアンは、今期も社交系を最初から排除し、変わらず詰め込み授業。
社交系ばかりで取るものがない時間に嵌め込んだ付与魔法技能の教科書予習が以外にも面白く、目を輝かせて教師の話を待っていると前の席の二人が声が聞こえてきた。
「……ああ、あの子ね。聞いた聞いた。一学年は家庭の事情とかで来れなかったんだって」
「そうそう。で、その子すっごいかわいくてさー、平民出だから挨拶もダンスとか下手くそなんだけど、こう助けてあげたくなる感じで……」
平民出で二学年からの編入とか、ふっと前世で見ていた悪役令嬢の出る漫画にありそうな展開と一瞬考えた。
だが、教師が付与魔法の武具への付与の難しさを並べていたことその二人の会話は意識外へとふっ飛んだ。
「まず、職人の熟練度が足りないと武具に付与出来る枠はない。逆に言えば、職人の腕一つで枠が増えていく。だが、枠があると言うことはそれだけ価値が上がるから高くなる。そこで編み出されたのは、付与を武具に纏わり付かせる手法だ。これにより、枠がなくても付与出来、更に枠あり付与済み武具には上乗せも出来ようになった。冒険者にとっては、喉から手が出る付与魔法だが、それを習得出来るのは数少ない。全く習得出来ずに終わる者もいるから、聞く耳のない者は科目変更を進める、今週中であれば変更可能だ。それに噴水は嫌いでな、枠埋めなら他でやってくれ」
すると、教師は教室のドアを開け放ち窓際に移動すると、名簿を開き何やら書き込んだ。
すると、話をしていた前の二人やその他数人が教室を出ていき、教室内は12人だけになった。
「おっし、残りは……13人か。ちなみにこの先、星を目指している奴が知り合いにいたら、この科目はオススメだ、声かけてくれ。まあ、習得出来る出来ないは別としてだがな。ちなみに俺は星剣士の付与使いだ。わざわざ頼まなくても済むから、楽だぞ」
こうしてアンも入れて13人で始まった授業は、徐々に人数を増やしていくが、それはアンには関係ないこと。
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