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痴漢退治2
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学校の校門のところまでやってきました。
いつもなら、生徒達は校門を通り過ぎて、それぞれの教室に向かいます。
校門のところで立ち止まる生徒は、ほとんどいません。
のんびりしていると、遅刻してしまうからです。
けれど、今日はいつもと様子が違いました。
なんだか、校門の付近がざわついています。
「なんだろう?」
私と同時にソラも気付いたようです。
何かあったのだろうかと、校門の方を眺めています。
「人が集まっているな」
ついでに、リクも騒ぎに気付いたようです。
見れば分かることを、いちいち口に出しています。
どうせなら、先に行って見てきてくれないでしょうか。
そう思ったのですが、気の利かないリクは、そうしてくれません。
仕方ないので、三人で一緒に歩いていきます。
もともと校門までの距離は残りわずかです。
ほどなく騒ぎの原因が見えてきました。
「人が立っているね。荷物検査かな?」
ソラの言う通り、校門の付近に数人の男子生徒が立っていました。
一列に並んで、校門を通り過ぎる生徒達を威圧しているようにも見えます。
「荷物検査という雰囲気ではないわね。不良がお礼参りにきたのかしら?」
ソラの意見を否定するのは気が引けましたが、私が見た感想はそれでした。
ああいったガラの悪い連中は、可愛い女子を襲うことがあると聞きます。
そして、可愛い男子を襲うこともあると聞きます。
私はソラの貞操を護るために警戒心を高めます。
いざというときは、みんなに正体がバレることになったとしても、魔女っ子に変身する覚悟です。
今日も鞄の中には、魔女っ子(代理)に変身するための衣装は入っています。
私が鞄の留め具に手をかけていると、リクが何かに気付いて、こそっと話しかけてきました。
「なあ、キララ。あの人達って――」
「ちょっと、臭い息を吹きかけないでよ」
こそっと話しかけてくるということは、耳の近くに口を持ってくるということです。
私はリクの言葉を遮って、息がかかったことに文句を言います。
特に匂いはありませんでしたが、非童貞の口臭はなんとなく臭いイメージがあります。
つまり、リクの口臭も臭いはずです。
「俺の息ってそんなに臭いか?……いや、今はそんなことより」
リクは私の言葉にショックを受けたようですが、素早く立ち直ると言葉を続けてきました。
けれど、先ほどより耳から口を離したので、口臭を気にはしているようです。
息がかからなくなったので、私はリクの話を聞くことにします。
「あの人達って、昨日の人達じゃないか?」
「昨日の人達?」
そう言われても、私は学内の生徒の顔を全て覚えているわけではありません。
そして、私はあんなガラの悪い連中と知り合いなどではありません。
「俺を殴ったサッサー部の先輩達だよ」
私が首を傾げていることに気付いたリクが補足しました。
改めて校門にいる男子生徒達を見ます。
そういえば、どことなく見覚えがあります。
けれど、見覚えがあるのはマジカル☆キララとしてです。
キララとしては見覚えがありません。
分かりました。
これは、きっと誘導尋問です。
リクはマジカル☆キララの正体を暴こうと誘導尋問しているのです。
危ないところでした。
ここで私が見覚えがあると言ってしまえば、マジカル☆キララの正体がバレてしまうところでした。
リクもしゃらくさいことをしてくれます。
しかし、私には通用しません。
「見覚えなんてないわね」
だから、私はリクにそう断言しました。
モデルのお仕事で表情を作ることには慣れています。
マジカル☆キララの正体を隠していることは、顔に出ていないはずです。
「昨日、あんなことをしておいて覚えていない……だと? 先輩達、ゲイバーの店長が迎えに来るんじゃないかって、あんなに怯えていたのに……」
私が心当たりが無さそうにしているのを見て、リクが愕然としています。
どうやら、表情を作ることには成功しているようです。
これなら、校門に立っている連中にもバレないでしょう。
「ソラ、行きましょう。ああいった連中は、刺激しなければ大丈夫だから。目を合わせちゃダメよ」
「うん、そうだね。わかったよ」
私はソラと連れ立って、校門の方に歩いて行きます。
それを、リクが慌てて追いかけてきます。
「待てよ! 先輩達、きっとおまえに仕返ししようとしているんだよ! 裏門から行った方がいいって!」
「会ったこともない連中に仕返しされるわけがないじゃない。おかしなことを言うわね」
「おまえ、それ本気で言っているのか!?」
リクが後ろから変なことを言っていますが、無視して校門の方に歩いて行きます。
すると、校門にいた連中の視線が一斉にこちらを向きました。
きっと、リクが騒いだせいで、不要な注目を浴びてしまったのです。
視線に気付いたリクが私を庇うかのように前に出ますが、視線を集めたのはリクの自業自得です。
連中の対処は、リクに任せることにしましょう。
私はかまわず、校門を通り過ぎようとします。
「おい! キララ、待て!」
リクが再び私の前に出ようとしますが、それよりも先に校門の前にいた連中が私の前を塞ぐように一列に並びました。
まさか、か弱い一般人である私とソラに絡むつもりでしょうか。
だとしたら、マジカル☆キララとして悪人を倒さなければなりません。
鞄に留め具に手をかけたところで、連中が大きく息を吸い込むのが見えました。
『姐さん! おはようございます!』
次の瞬間に聞こえてきたのは、元気な朝の挨拶でした。
いつもなら、生徒達は校門を通り過ぎて、それぞれの教室に向かいます。
校門のところで立ち止まる生徒は、ほとんどいません。
のんびりしていると、遅刻してしまうからです。
けれど、今日はいつもと様子が違いました。
なんだか、校門の付近がざわついています。
「なんだろう?」
私と同時にソラも気付いたようです。
何かあったのだろうかと、校門の方を眺めています。
「人が集まっているな」
ついでに、リクも騒ぎに気付いたようです。
見れば分かることを、いちいち口に出しています。
どうせなら、先に行って見てきてくれないでしょうか。
そう思ったのですが、気の利かないリクは、そうしてくれません。
仕方ないので、三人で一緒に歩いていきます。
もともと校門までの距離は残りわずかです。
ほどなく騒ぎの原因が見えてきました。
「人が立っているね。荷物検査かな?」
ソラの言う通り、校門の付近に数人の男子生徒が立っていました。
一列に並んで、校門を通り過ぎる生徒達を威圧しているようにも見えます。
「荷物検査という雰囲気ではないわね。不良がお礼参りにきたのかしら?」
ソラの意見を否定するのは気が引けましたが、私が見た感想はそれでした。
ああいったガラの悪い連中は、可愛い女子を襲うことがあると聞きます。
そして、可愛い男子を襲うこともあると聞きます。
私はソラの貞操を護るために警戒心を高めます。
いざというときは、みんなに正体がバレることになったとしても、魔女っ子に変身する覚悟です。
今日も鞄の中には、魔女っ子(代理)に変身するための衣装は入っています。
私が鞄の留め具に手をかけていると、リクが何かに気付いて、こそっと話しかけてきました。
「なあ、キララ。あの人達って――」
「ちょっと、臭い息を吹きかけないでよ」
こそっと話しかけてくるということは、耳の近くに口を持ってくるということです。
私はリクの言葉を遮って、息がかかったことに文句を言います。
特に匂いはありませんでしたが、非童貞の口臭はなんとなく臭いイメージがあります。
つまり、リクの口臭も臭いはずです。
「俺の息ってそんなに臭いか?……いや、今はそんなことより」
リクは私の言葉にショックを受けたようですが、素早く立ち直ると言葉を続けてきました。
けれど、先ほどより耳から口を離したので、口臭を気にはしているようです。
息がかからなくなったので、私はリクの話を聞くことにします。
「あの人達って、昨日の人達じゃないか?」
「昨日の人達?」
そう言われても、私は学内の生徒の顔を全て覚えているわけではありません。
そして、私はあんなガラの悪い連中と知り合いなどではありません。
「俺を殴ったサッサー部の先輩達だよ」
私が首を傾げていることに気付いたリクが補足しました。
改めて校門にいる男子生徒達を見ます。
そういえば、どことなく見覚えがあります。
けれど、見覚えがあるのはマジカル☆キララとしてです。
キララとしては見覚えがありません。
分かりました。
これは、きっと誘導尋問です。
リクはマジカル☆キララの正体を暴こうと誘導尋問しているのです。
危ないところでした。
ここで私が見覚えがあると言ってしまえば、マジカル☆キララの正体がバレてしまうところでした。
リクもしゃらくさいことをしてくれます。
しかし、私には通用しません。
「見覚えなんてないわね」
だから、私はリクにそう断言しました。
モデルのお仕事で表情を作ることには慣れています。
マジカル☆キララの正体を隠していることは、顔に出ていないはずです。
「昨日、あんなことをしておいて覚えていない……だと? 先輩達、ゲイバーの店長が迎えに来るんじゃないかって、あんなに怯えていたのに……」
私が心当たりが無さそうにしているのを見て、リクが愕然としています。
どうやら、表情を作ることには成功しているようです。
これなら、校門に立っている連中にもバレないでしょう。
「ソラ、行きましょう。ああいった連中は、刺激しなければ大丈夫だから。目を合わせちゃダメよ」
「うん、そうだね。わかったよ」
私はソラと連れ立って、校門の方に歩いて行きます。
それを、リクが慌てて追いかけてきます。
「待てよ! 先輩達、きっとおまえに仕返ししようとしているんだよ! 裏門から行った方がいいって!」
「会ったこともない連中に仕返しされるわけがないじゃない。おかしなことを言うわね」
「おまえ、それ本気で言っているのか!?」
リクが後ろから変なことを言っていますが、無視して校門の方に歩いて行きます。
すると、校門にいた連中の視線が一斉にこちらを向きました。
きっと、リクが騒いだせいで、不要な注目を浴びてしまったのです。
視線に気付いたリクが私を庇うかのように前に出ますが、視線を集めたのはリクの自業自得です。
連中の対処は、リクに任せることにしましょう。
私はかまわず、校門を通り過ぎようとします。
「おい! キララ、待て!」
リクが再び私の前に出ようとしますが、それよりも先に校門の前にいた連中が私の前を塞ぐように一列に並びました。
まさか、か弱い一般人である私とソラに絡むつもりでしょうか。
だとしたら、マジカル☆キララとして悪人を倒さなければなりません。
鞄に留め具に手をかけたところで、連中が大きく息を吸い込むのが見えました。
『姐さん! おはようございます!』
次の瞬間に聞こえてきたのは、元気な朝の挨拶でした。
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