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第二章 南海の海魔王編
第三十八話 魔導剣士ロイ、水着を選ぶ
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「お客さんたチ、海を愉しむなラ、いいガイドつけるヨ!」
「そうだな。街を歩いてみたが、ところどころ現地語がわからない。でも、ガイドなんて、そうすぐ見つかるものなのか?」
「ヒカタ~! ガイドしてあげテ~!」
奥に呼びかける、店員。
「ハ~イ」という元気な声とともに、サンぐらいの歳の女の子が、奥から出てきた。
「ヨロシクデス! ヒカタいいマス! アタシに任せれバ、街のことは楽しみ尽くせるヨ!」
やあ、店員さんとよく似ている。娘さんかな?
「海、行くデスカ?」
「そのつもりだが」
「水着、持ってマス?」
そういえば、肝心なものを買っていなかった。
「買ってなかったな」
「じゃあ、買いにイキマショウ! オシャレな店、知ってマス!」
ポンと、手を打つヒカタ。
街を歩いていると、ヒカタも含めて、大半が黒髪褐色肌なのだが、色白でやたら髪色がカラフルな人間……それも女性が海や川を泳いでいるのを見かける。
「ヒカタ、あのカラフルな人たちは?」
「アレはマーメイド、ヨ! パルピアは、人間とマーメイドが、キョウゾンしてるノ!」
へー。女ばかりで、子作りをどうしてるのか気になるが、サンと同じぐらいの歳のヒカタに訊くのも、気が引けるな。
「着いたヨ!」
こりゃ、なんとも……。見事に女物ばかりだな。
こうやって、ときどき自分の境遇を思い出させられるのが泣ける。
「ロイさ~ん、チョ~ローライズのセパレートがありましたよー」
「そうか、自分で好きなだけ着るといい」
変態親父チックな好色アイで、小さな布をびよんびよんさせているクコに、ピシャリと言い放つ。
「え~? こういうのは、ロイさんみたいなイケメンガールが着てこそ、似合うんですよう~」
無視。クコは、「む~」と言いながら、あっちへ行ってしまった。
「ロイ君。お姉ちゃんは、これにしようと思うの」
ナンシアが掲げているのは、青い紐なしチューブトップに、クリーム色のローライズホットパンツ。……正直、いつもの格好と大して変わらん。
だが、こういうときはこう言うもんだ!
「ああ、すごく似合ってると思う!」
「ほんとー!? じゃあ、これに本決め~!」
るんたったと、会計に向かう彼女。しかし、本来、こんなキャラだったんだな。猫……いや、狼被ってたのか。
「姉貴~。これ、どうっすかね?」
サンが取り出したのは、黄色のセパレート。胸元の面積があるやつだ。
「おお、似合ってる似合ってる。可愛いぞ」
「そこは、美しいって言ってほしかったっすけど……じゃあ、オレもこれで!」
お二人目様、ご会計~。
「私は、やはり純白のワンピースですわね」
おお、清楚清楚。見た目はな。
「あう……フランと被っちゃいました……」
と、落ち込み声のパティ。ほんとにダダ被ってる。
「あら。じゃあ、私が変えましょうか?」
「いえ、ボクが変えるので……」
二人が譲り合いをしてると、またもや変態親父チックな瞳で、こちらにクコがやってきた。
「どうです~、これ~? インパクトあるでしょ~」
そう言って、クコが掲げたブツは、もはやただの紐。
「チームの名誉のために、もっと穏当なのにしてくれ……」
頭を抱える。
「え~。ロイさん、ダメ出しばっかじゃないですか~」
「ダメ出ししたくなるようなものを、持ってこないでくれ……」
「ちぇ~」と、またも奥に戻る彼女。
クコと漫才やってる間に、パティが白のワンピース、フランが白のセパレートに決まったようだ。
「あと、決まってないのロイさんとクコさんだけですよ~」
パティに急かされる。う~ん、セパレートは絶対嫌だしな……。
これでいいか。
赤いラインが縦に入った、黒のワンピースを手に取る。
「あら、かっこいい」
買い終わって、こっちに戻ってきたナンシアから、お褒めの言葉をいただく。
「っす! 姉貴、クールっす!」
「そ、そうか? じゃあ、これにしよう」
いやはや、女物水着を褒められて、浮かれる日が来るとはな……。人生、波乱万丈。
で、最後のクコだが……。
「結局、えらい地味なの買ったな」
彼女が選んだのは、薄緑のワンピース
「わたしみたいにヒョロいと、セパレート似合わないんですよぅ……。ああ、浜辺の男どもを悩殺したかったのに!」
やれやれ。では、無事買い物も済んだし、海へ行こうか!
「そうだな。街を歩いてみたが、ところどころ現地語がわからない。でも、ガイドなんて、そうすぐ見つかるものなのか?」
「ヒカタ~! ガイドしてあげテ~!」
奥に呼びかける、店員。
「ハ~イ」という元気な声とともに、サンぐらいの歳の女の子が、奥から出てきた。
「ヨロシクデス! ヒカタいいマス! アタシに任せれバ、街のことは楽しみ尽くせるヨ!」
やあ、店員さんとよく似ている。娘さんかな?
「海、行くデスカ?」
「そのつもりだが」
「水着、持ってマス?」
そういえば、肝心なものを買っていなかった。
「買ってなかったな」
「じゃあ、買いにイキマショウ! オシャレな店、知ってマス!」
ポンと、手を打つヒカタ。
街を歩いていると、ヒカタも含めて、大半が黒髪褐色肌なのだが、色白でやたら髪色がカラフルな人間……それも女性が海や川を泳いでいるのを見かける。
「ヒカタ、あのカラフルな人たちは?」
「アレはマーメイド、ヨ! パルピアは、人間とマーメイドが、キョウゾンしてるノ!」
へー。女ばかりで、子作りをどうしてるのか気になるが、サンと同じぐらいの歳のヒカタに訊くのも、気が引けるな。
「着いたヨ!」
こりゃ、なんとも……。見事に女物ばかりだな。
こうやって、ときどき自分の境遇を思い出させられるのが泣ける。
「ロイさ~ん、チョ~ローライズのセパレートがありましたよー」
「そうか、自分で好きなだけ着るといい」
変態親父チックな好色アイで、小さな布をびよんびよんさせているクコに、ピシャリと言い放つ。
「え~? こういうのは、ロイさんみたいなイケメンガールが着てこそ、似合うんですよう~」
無視。クコは、「む~」と言いながら、あっちへ行ってしまった。
「ロイ君。お姉ちゃんは、これにしようと思うの」
ナンシアが掲げているのは、青い紐なしチューブトップに、クリーム色のローライズホットパンツ。……正直、いつもの格好と大して変わらん。
だが、こういうときはこう言うもんだ!
「ああ、すごく似合ってると思う!」
「ほんとー!? じゃあ、これに本決め~!」
るんたったと、会計に向かう彼女。しかし、本来、こんなキャラだったんだな。猫……いや、狼被ってたのか。
「姉貴~。これ、どうっすかね?」
サンが取り出したのは、黄色のセパレート。胸元の面積があるやつだ。
「おお、似合ってる似合ってる。可愛いぞ」
「そこは、美しいって言ってほしかったっすけど……じゃあ、オレもこれで!」
お二人目様、ご会計~。
「私は、やはり純白のワンピースですわね」
おお、清楚清楚。見た目はな。
「あう……フランと被っちゃいました……」
と、落ち込み声のパティ。ほんとにダダ被ってる。
「あら。じゃあ、私が変えましょうか?」
「いえ、ボクが変えるので……」
二人が譲り合いをしてると、またもや変態親父チックな瞳で、こちらにクコがやってきた。
「どうです~、これ~? インパクトあるでしょ~」
そう言って、クコが掲げたブツは、もはやただの紐。
「チームの名誉のために、もっと穏当なのにしてくれ……」
頭を抱える。
「え~。ロイさん、ダメ出しばっかじゃないですか~」
「ダメ出ししたくなるようなものを、持ってこないでくれ……」
「ちぇ~」と、またも奥に戻る彼女。
クコと漫才やってる間に、パティが白のワンピース、フランが白のセパレートに決まったようだ。
「あと、決まってないのロイさんとクコさんだけですよ~」
パティに急かされる。う~ん、セパレートは絶対嫌だしな……。
これでいいか。
赤いラインが縦に入った、黒のワンピースを手に取る。
「あら、かっこいい」
買い終わって、こっちに戻ってきたナンシアから、お褒めの言葉をいただく。
「っす! 姉貴、クールっす!」
「そ、そうか? じゃあ、これにしよう」
いやはや、女物水着を褒められて、浮かれる日が来るとはな……。人生、波乱万丈。
で、最後のクコだが……。
「結局、えらい地味なの買ったな」
彼女が選んだのは、薄緑のワンピース
「わたしみたいにヒョロいと、セパレート似合わないんですよぅ……。ああ、浜辺の男どもを悩殺したかったのに!」
やれやれ。では、無事買い物も済んだし、海へ行こうか!
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