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第四章 コセディアの王女

セレーネ王女3(sideセレーネ)

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「我の番となって、我が砦に来て欲しい」


 魔族やエルフにとっての『番』は……人族の配偶者とは意味合いが違う。

 唯一無二にして、自分の命よりも、何よりも掛け替えのない存在になること。


 わたくしが……誰かにとって、そんな者になると?


 これまで勇者の娘だから、コセディアの王族だからと、魔獣討伐の前線に置かれたり、外交に利用され続けて来た。

 そんなコセディアに反発して、今はアルフヘルムのアドリアンさまに忠誠を誓い、指示されてこの魔王城にいる。


 ふと、なぜこんな風にしか、生きれなかったのだろう……そんな想いが心の底から湧き上がってきて、知らずに涙が零れている。


「姫さんは、側に居てくれるだけでいいんだ。これからは、我が守るから……」

「何もしなくていいというの? 本当に?」

「ああ、嫌なことは何もせんでいい」

「じゃあ、わたくしに触れないで」


 オークの長ハイオークの顔が、ゆがんだ。


「……わかった。だが今だけは、我の腕の中に居て欲しい。なぜなら……」


 気づけば周りでは、艶めかしい声が聞こえている。何か香のようなものが焚かれていて、その為か、身体がじっとりと汗ばむように火照り始めている。


「人族の王侯貴族も、婚姻が形ばかりでない証に、初夜を立会人たちの元、行うと聞いている。
 人族は新郎と新婦の交合するさまを立会人たちは、ただ見ているのだろう? 
 そして破瓜の印まで証として、大勢の人々に晒されるとか」

 彼の言う通り、王族の結婚の場合、フレイアの司祭と互いの親族または保護者、婚姻が国家間であれば相手国の外交官の立ち合いのもと、初夜が行われる。それも高貴な者の義務として、受け入れる教育を受けて来た。

「魔族はこのような席で、皆と乱交するのですか?」

「特別な宴の時だけだし、いや、番の居るものは番としかしない。参加しない者も、もちろん居るが」


 座っている長椅子は、座り心地の良い大きなサイズで、クッションが置かれていた。

 ゆっくりとわたくしを長椅子に押し倒したオークの長ハイオークは、そのまま私を抱き寄せてささやいた。

「姫さんはコセディアの王女だ。契りを結び、番になったということにしないと、我が砦に連れて行くことが出来ない」

「言い訳はいいわ。結局、やることはやるってことなのでしょう? だったら、最初からそうすればいいじゃない」

 なぜだろう……この男に反抗的な態度をとってしまうのは。


「いや、ちがう……こうして、もうしばらく、その、振りを……してくれればいい」

「ハイオークのくせに、紳士面する気? 馬鹿みたい」

 男の革のチュニックの下の、股間の辺りに手を伸ばし、まさぐった。

 色ごとになれた娼婦のようなわたくしの行動に、男が驚き戸惑っている。


「別に、初めてって訳じゃないわ。もっとも直後に中級回復魔法を掛けられてるから、身体は処女に戻っているけどね」


 一国の王女の義務として、結婚は国益の為になるものを決められる。

 結婚するまでは、清らかな処女でなければ価値がなくなる。

 そんな偏った価値観を押し付けられる人族の国でも、抜け道はある。

 行為の直後に中級回復魔法を掛ければ、破瓜がなかったことに出来る。

 中級回復魔法は聖職者、それも高位の司教クラス以上でなければ使用できないと言われている。

 でもコセディアの王妃は元聖女で、その高い回復治療スキルは彼女の二人の息子(王子)たちに受け継がれていた。

 それをいいことに、わたくしのこの身体は、父や異母兄達に蹂躙されたのを始め、外交や諜報活動でも必要なら、女の武器を使うことも、強いられて来たのだった。

 ハーフエルフとして差別され、利用され、それを運命と受け入れて、生き延びて来たわたくし。

 情欲に駆られて圧し掛かって来る男たちを、これまでは軽蔑し、見下して来た。

 そうでもしなければ、自分の心も持たなかったから……。


 だから。 化け物ハイオークのくせに、紳士面するこの男だって、どうせ今までの男達と同じ。わたくしの身体を貪り、奪うだけ奪って、通り過ぎていくに決まってる。



 ズボン越しに握った男の陰茎は、あっという間に逞しく固くなって、凶悪な、と言いたいほどの大きさに、思わず怯んでしまう。

 鬼の一族の総じて巨根だと伝え聞いていた通りだが、これ程までとは。

 ゴツゴツとした剣だこのある大きな手が、わたくしの手を掴み、そっと外す。


「美しいな……。とてもいい香りがする」


 大柄の男の腕の中に、すっぽりと抱かれて、背中をさすられる。まるで、子供をあやすような手つきで。

「岩山の砦は深い森の中にある。エルフは森が好きだろう? 姫さんが望むなら、王侯貴族にも劣らぬ暮らしをさせてやる。オークの家来が嫌なら、人族の使用人を用意しよう。一生不自由はさせない」

「わっ、わたくしを、オークの巣に連れて行き、オーク共の孕み腹として化け物の子を、産めるだけ産ませるつもりなのでしょう?」

「我が一族は古の呪いにより、女が居ない。だから他の種族の女を番にする。番はとても大事にされる。人族が言っていることは、デマだ。すぐに信頼しろとは言わぬ。少しずつでいいから……」


 焚かれている香の匂いが強まり、食堂の照明がいつの間にか薄暗くなっていた。

 周囲の魔族達から淫靡な喘ぎ声やら、物音が聞こえる中で、わたくしたちだけは、こんな会話を交わしていたのだった。お互い、催淫作用のあるお香に影響を受けているだろうに。

 敏感になった身体に、男の身体が寄せられて、触れられている部分が熱くて、息が上がりそうになる。耳元でささやかれ、吐息が当たると思わず、甘いうめき声が漏れてしまった。

「ぁっ……はぁ……」

「姫さん……? ああ、わるい。耳が弱いんだな……」

 ハーフエルフの尖った耳を、愛おしそうに見る男から、目を逸らした。

 本当にこのハイオークの男は、わたくしに何もしないつもりなんだろうか。それはそれで、不安になる。

 この男に借りを作りたくない。魔王や配下の者達にも、怪しまれるわけにはいかない。

 もう少し、あともう少しで、アドリアンさまの計画が達成されるのだから……。


「あなたの言う事が本当なら、今ここで、わたくしをあなたのものにして。そして何があっても誰が相手でも、わたくしを守ると誓って」


 すると男は長椅子から降りて跪き、私の手を取って口づけた。

「愛しい番よ。命を掛けて生涯、お前だけを愛し、守ると誓う」


 鍛え抜かれた逞しい太い腕が、私の両足をかき抱く。ドレスの裾を捲り上げられ、ざらついた男の手が素足を滑って、下から上へ、太腿へと撫で上げる。そしてわたくしの秘められた部分を暴こうとする。

 ドレスに合わせた紅い絹の下着は、両脇を紐で結ぶタイプの布の部分が少ないものだった。そこはすでにぐっしょりと濡れそぼって、薄い絹が花びらに張り付き、その形がはっきりと分かってしまうほどだった。

 触らないで、なんて言っておいて……。

 こんなに蜜を溢れさせて、まるで男に抱かれるのを、待っていたかのような身体が恨めしかった。

 ハイオークは、その濡れそぼった花びらに顔を寄せ、下着ごと食むように口で吸った。

「んっ、ぁあっ」

 するりと下着の紐を解かれ、濡れて張り付く下着を取り去れば、濃厚な蜜が花びらから布へと糸を引いて、滴り落ちそうなほどだった。

「こんなに、濡らして……我を欲してくれたのだな?」

 陶然とした低い声で、嬉し気に呟く。

「ちっ、違うっ。このお香のせいでっ……」

 武骨な手が太ももを掴み、開くと、外気に晒された濡れた秘部がすうっとした。

 栗色の頭髪よりも少し濃い巻き毛の下生えはぐっしょりと蜜に濡れて、花びらを彩っていた。赤く充血してとめどなく蜜を流す蜜口に、今度は直に口づけられる。男に、じゅるっと音を立てて吸われ、クッションを掴んで悶えた。

 照明は落とされていたけれど、暗闇という訳ではない。他の人達にも見えてしまうのに……。

 ゴツゴツとした太い指が一本、蜜口の中に差し込まれる。本当は男の陰茎の味を知っている、偽物の処女の蜜壺は、ハイオークの指を咥えて、嬉し気にきゅうと締め付けた。

 指を差し入れて、ゆっくりと出し入れして中を慣らしつつ、男は包皮に隠れた秘粒を舌で舐めた。

「ひぅ……! ぁっ、はっ」

 敏感な秘粒を舐められて、腰が跳ねる。それを抑えつけるようにして、さらにぴちゃびちゃと水音をさせて、執拗に秘粒をねぶられて。一本だった指が二本に増やされ、続けて中を少しずつ広げながら、秘粒をちゅうと強く吸われた。

「はぁっ、ぁああぁあああっ」

 ビクビクと身体が震え、腰を揺らしながら、達してしまった……。蜜壺が男の指を咥えたまま、収縮を繰り返している……。

「よかったか……? このように指がふやけるほど、たっぷりと濡らしているが」

 ずるりと引き抜いた指に、蜜液が滴り落ちているのを見せつけられて、ぎゅうと目を瞑る。

「もう、いいわ……。入れて頂戴」

 王侯貴族の相手をしてきたが、このように女に尽くす男はまれだ。身分の高い男ほど、女の奉仕を当たり前として、自分の欲望だけを押し付けて来る。だから、もう十分だと……。

「まだ指を、二本までしか慣らしてないのでな」

 達した直後のぐったりと力なく横たわるわたくしを、今度はドレスの胸元を開き、乳房を剥き出しにして、やわやわと揉むと、ふくらみの頂にある尖りを口に含んだ。

「んっ……!」

「感じやすい身体だな……」

 太い指が三本も、蜜口をみちみちと広げながら、押し込まれた。

「ぁっ……ゃあっ」

 痛い、という言葉を飲み込み、耐える。男のモノは、これよりもさらに巨大で、慣らしてもらっているのだから……。

 ふいに、ちゅう、と男の口の中で固くなった尖りを吸われた。もう片方のふくらみの先端も、男のごつい指に捕らわれて、摘ままれる。

「ぁうっ、ぁあっ、ぁあんっ」

 雄に媚びる、甘い喘ぎ声。そんな自分自身の、どうしようもなく女である部分を、どこか冷めて見ているもうひとりのわたくしが居る。

 だけど身体はわたくしの気持ちにお構いなく、男の手管によって、再び頂点を迎えようとしていた。

「ぁああぁああっ、まっ、またっ、ぁああぁああっ」

 胸の固くしこった先端を甘噛みされて、三本もの指をぎゅうぎゅう締め付けながら、達した……。

 すると、男はわたくしの中から指を抜いて立ち上がり、ベルトを外した。


 いよいよ、ね……。今回は、中級回復魔法が処女偽装に間に合うかしら。洗浄と避妊薬は問題なくできるでしょうけれど。

 事が済んだ後の、処理の手順を考えながら、ハイオークを見た。

 男はクルの実の殻に入った軟膏を指にたっぷりとまぶすと、わたくしの蜜口から蜜道、最奥まで丁寧に塗り込めていく。

 なんて用意周到なのだろう。

 そしてズボンの前をくつろげると、黒ずんだ巨根を剥き出しにした。

 凶悪な大きさとカタチ、に、思わずひっと、口の中で小さな悲鳴を上げ、飲み込む。

 私の中に塗った軟膏を、ハイオークのソレにもたっぷりと塗り付けると、わたくしの足の間に身体を入れて、偽の処女の入り口にピッタリと先端を当てがった。

 激痛を覚悟して、手を握り締め、目をぎゅっと瞑った。

「大丈夫だ、力を抜け。そう、大きく息を吸って、吐くんだ」

 彼の言う通り、息を吐いた時。大きく開かされた足の間に、男が腰を入れて、体重をかけるようにして、男の巨大な楔が、圧迫感と引き裂かれるような痛みを伴いながら、私の中に打ち込まれた。だけどそれは、ほんの一瞬の痛みで。

 蜜壁を擦り上げながら、わたくしの中をこれ以上ないほどに押し広げ、満たし、最奥まで到達したモノは。

「あ、熱い……。中がじんわり熱くて……? まさか!」

 傷が癒されていくこの感覚は、知っている!

「そうだ、特製の回復薬の軟膏だ。姫さんのこの中は、もう我のカタチになったんだ。この後回復魔法を掛けても、癒えている傷は治せんよ」


 そんな……。


「何度も痛い思いをしたのか。でもこれからは、我が極楽に連れていってやろう」

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