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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル
69.女子高生(おっさん)と女子達Ⅴ-②
しおりを挟む〈更衣室〉
「どしたのヒメ? なんか今日元気ない?」
浮かない表情をする陽女の様子に真っ先に気付き、声をかけたのは色々と気のつくヒナヒナだった。
理性を保つための術(わざ)として薄目でいるから判然としないが、陽女はスカートをまだ履いておらず、ワイシャツを羽織り、ボタンを留めないでピンクの下着を見せつけるというエッチ極まりないけしからん格好のままだった。
「……はぁ……どうやったらみんなそんなに大きくなるの……」
「「……へ?」」
ヒナヒナもヒマリも、ヒメの呟きにきょとんとする。しかし察しの良いおっさんはその一言ですぐにピンときた。
ヒメは『おっぱいがまるで成長していない』のを気にしている系女子だ。その証拠にチラチラと皆の胸を気にしながら両手を自身の胸に当てている。
「もう二年だよ……? 少しは大きくなるかなーって思ってたのに……何しても一ミリも変わらないままだし……新しいクラスになってもあたしが一番小さいんじゃ……」
「えー、なに? もしかして見せたい男子でもできたとか?」
「いや、そんなんじゃないんだけどさ……」
爛漫なヒナが無邪気に絡むも、ヒメは気落ちしたままだ。ここへ来て初めて打ち明けたヒメの悩みは皆の想像よりも重く彼女にのしかかっているようだ。思春期の女の子にとってもおっぱいの大きさは重要だと推察できる。だが──
「──何もわかっていないよヒメ、確かに男子の多くは大きいのが好きだ。しかし、『小さいのを気にしてしまう女の子のおっぱい』は巨乳と同列に並ぶほどに需要があり高位の存在でもあるんだよ。それに大きさ以外にもおっぱいには沢山の重要なファクターがある、例えば乳首の色や大きさ、形、位置、それを持つ者の所作、恥じらい、肉付きなどが挙げられる。ヒメの身体や仕草は喩え胸が小さくてもそれを補って余りある魅力が内包されているのだから気にする事なんてないのに」
「アシュナっち、信じられないほど饒舌(じょうぜつ)になってるけど……もしかして無意識に心の声でちゃってる系?」
「アシュナ……ありがとね慰(なぐさ)めてくれて。けどなー、やっぱあたしはタイトめな服の方が好きなんだよねー……」
「あー、ヒメっちはどっちかというとそっちのが似合う系だもんねー」
無意識におっぱい講座が声に出てしまっていた事に少し照れながらも、女子達の会話に疑問符が浮かぶ。胸がない事と服選びに一体なんの関係があるのか……おっさんにはまるで理解できなかった故である。
「あー、じゃあさーアシュナっちに揉んでもらえばぃんじゃね?」
ミクの一言に更に疑問符が乱立する。
揉めば大きくなるというのは知識として知っているが、何故にそこで俺の名前が挙がるのだろうか、と。
「…………ここじゃ恥ずかしいから、放課後アシュナの家行っていい……?」
ヒメは少し考えたのち、赤くなりながら、上目遣いで俺に言った。本当にする気なのかよ。と、おっさんは混乱に陥った。
〈続く〉
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