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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル
68.女子高生(おっさん)と女子達Ⅴ
しおりを挟む〈更衣室〉
寒い時期が終わり、初夏へ向けて徐々に気温が上がりつつも爽やかな春風が通り抜ける今日この頃。
体育の授業を終えた女学生達が制服に着替え直す為に更衣室へと集う。春先とはいえ、さすがに一時間も体を動かすと皆じんわりと汗をかき始めて肢体を湿らせている。しかし、女性の身体とはなんとも不可思議なもので……塩気を含むその臭気さえもフローラルな花のような匂いへと変化させていた。
「あーつっかれたー……汗かいちゃったよー」
「うん、今日は結構ハードだったよねー」
そんな極上な匂いを放つ、17名もの女子達が、惜しげなくその裸体を晒すこの狭い空間では、その空気を逃がす事さえも惜しまれる。
俺の隣では、朝比奈陽菜と樋廻陽葵という、クラスでも中心人物である三大巨頭の内の2名が発展途上とは思えないほどに恵まれた肉体を手を伸ばせば触れるほどまで近付けている──心が中年の女子高生に、だ。
「アシュナー、またおっぱい大きくなった?」
「アシュナちゃん細いのにおっぱい大きくて羨ましいよー」
まだ穢(けが)れを知らぬ無垢な瞳がじっとこちらへ向けられる。まったく、人の気も知らずに無邪気なものだな、とそっと瞼(まぶた)を閉じる。二人にも充分なモノが備わっているので良いではないかと。ヒナはDカップ、ヒマリはEカップだ。
「アシュナちゃん……どうしてずっと薄目で着替えてるの……?」
すると、今年初めて同クラスとなった早苗エナが如何にも不思議といった表情で疑問を投げ掛けた。同性にも関わらず──まるで女性の裸を見てはいけないと自身へ課す仕草は確かに初めて見る人間にとっては不可解だろう。Aカップ。
「あー、アシュナっちは心がおっさんだかんねー。女の子に興奮してんじゃない?」
エナの幼なじみ、三九美咲が俺の心臓の鼓動を跳ね上げる発言をする。恐らく美咲(ミク)にとってその発言は言葉以上の意味は無いだろう。Cカップ。まさか本当に女子高生に違う世界線の中年の心が宿っているなど夢にも思うまい。
「そ、そうなのっ?! わっ……私の身体でよかったら好きなだけ見てもいいっていうか……だ、だって同性だし触ったりするのも吝(やぶさ)かでもないし……」
「回りくどい言い方してないで触りっこしたいって言えばいいじゃんか」
「ミっ……ミクちゃんっ! そーゆーのは良くないと思うなっ!?」
「エナちゃんアシュナちゃんに触りたいのー? わたしも触るー。いつも柔らかくてすべすべなんだよー」
「ひっヒマリちゃんっ! 私のアシュナちゃんにっ……い、いや……そーゆー意味じゃなくてっ……」
女学生達が俺を中心にして天真爛漫に絡み、心を掻き立てる。その光景を、周囲の女子達が温かい眼で微笑みながら見守っている、右からC、C、B、D、A。青春の一幕とはこういったものだ、と表現するかのように………。
と、詩的な表現で心を誤魔化してきたが、カップ数の雑念が入るしそろそろ限界だ。誰か助けていい匂いしすぎだしえっちすぎる。
だが、そんな中で一人──クラスの中心人物でありながら輪には加わらず、浮かない表情をしている子がいた。
AAカップ、【姫廻陽女】だ。
〈続く〉
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