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第3節 女子高生(おっさん)の日常といともたやすく行われるアオハル
87.女子高生(おっさん)とひまりと駄菓子屋③
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〈校長室〉
次の日からおっさんによる広報及び宣伝活動が始まった──が、事態は予想外の展開を見せた。それは決して悪い意味ではなく……あまりにも簡単に行きすぎたという意味で。
「あ、はい。子供たちに昭和の文化を繋いでいくという体験をさせてあげたくて……」
「いいでしょう、採用」
校長でありながらライト文芸部顧問でもある【龍宮寺(りゅうぐうじ)乙秘(おとひめ)】に、駄菓子屋の経緯と頼み事を話すと二つ返事で了承してくれた。
この校長についても何(いず)れは語らねばならないが……キャラが濃すぎるため後回しにしてことを進めよう。
校長に頼んだのは、駄菓子屋近辺にある小学校や幼稚園、保育園へ課外活動へ行く申請のあれこれ。名目は言った通りに『小学生へ伝える昭和文化体験』の教授役──それも俺一人だけで。普通ならばいくら授業の一環とはいえ生徒単独で行かせる許可など滅多に下りないだろうが……アシュナだからだろうか、いとも簡単に貰えた。
一人で行くのは不安だが、おっさんが手に入れた新たな武器を使うには一人の方が良い。
(よし、後は──)
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〈生徒会室〉
「──わかりましたわ、国土交通省に掛け合えばいいのですわね?」
「ふっ、俺も微力ながら協力しよう。政界にも各省にツテはある、アシュナのために父に相談しよう」
めらぎとテンマにも事情を説明すると、まるで競い合うかのように電話しながら急いで出ていった。相談しておいてなんだけど二人にしか頼めないことは簡単な事じゃないのに……当然のことのように了承してくれた。
(さすがに断られるかと思ったけど良かった……さ、ここからはおっさんの番だ)
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-数日後-
校長の迅速な申請とプッシュにより、課外授業は直ぐに取り付けられ翌日から特別休暇扱いで外回りが始まった。
近隣の小学校3件、幼稚園へ保育園へと5件……はしごして子供たちへ昭和文化の面白さを余す事なく伝えてきた。今回はやむを得ず、スキル『女の武器』をふんだんに使用したため……あまり思い出したくもないし記したくもない──故に回想及びダイジェストでお送りします。
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〈市立 君不問小学校〉
『は~い、こんにちはーっ! 波澄アシュナお姉さんだよーっ! 今日はみんなにお父さんお母さんが好きだった遊びを教えるよーっ!(うたのお姉さんなみのテンションとニコニコ笑顔で)』
『TVゲームもいいけどぉ……お姉さんはメンコとか独楽廻しが上手な男の子が好きだなぁ……(うっとり眼で頬を染めて)』
『私も小さい頃から駄菓子をいっぱい食べたからこんなになっちゃったのかなぁ~……(胸を寄せながら)』
『駄菓子もおもちゃもいっぱいっ! 【ヌキムラ駄菓子屋】さんはいつでも皆を待ってるよーっ!』
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……と、こんな感じで課外授業をしてきた。思い出すと吐き気がするのでこれ以上の説明はしない。陰のおっさん一人でPR活動など不可能なので、酒の力を借りるように美少女(アシュナ)の力を借りたというわけだ。
しかし、その甲斐もあって子供たちは大いに盛り上がり、中には精通したガキもいたかもしれないくらいに大好評の太鼓判を方々から頂いた。
そして、今日の放課後──ヒマリと共に再び駄菓子屋へ赴(おもむ)くことになった。
〈続く〉
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