おもいは、

たなか

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なくなるスキマ

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人生で初めてのラブホテルは想像よりも遥かにきれいだった。こんなに洒落た空間に3時間で五千円ってウソだろ。

なんだか色んなことがありすぎて今から童貞を手放すかもしれないのに妙に冷静に室内を分析していた。ガラス張りの浴室が目にとまる。こうゆう場合はまずシャワーを浴びるんだっけ?

「あの、先にシャワー・・・」

ホテルの室内をきょろきょろしていた俺はシャワーを勧めようと彼女の方を振り返って言葉を失った。

一糸まとわぬ姿で彼女が俺を見つめている。

ちいさな白い足の爪は桜色に塗られていた。触れなくても分かるすべすべとした肌。かかたちの良いふくらはぎから太ももは転車通勤しているからなのか健康的なフォルム。その上に視線を移すと秘部にはうっすらと控えめなアンダーヘアが茂っており、さらに視線を上に移すとほっそりとしたウエストはなだらかなカーブを描きその上には小ぶりな二つのふくらみがある。二つのふくらみの先端は淡く恥じらうように咲いており何とも愛らしい。

ゴクリ、と俺が唾を飲む音が室内に響いた。彼女が不敵にほほ笑む。

「私に触ってよ」

ゆっくりと彼女が俺に近寄ってくる。俺は硬直してしまった。そんな俺との距離を彼女はじりじりと詰めてくる。とうとう俺と彼女の間にすき間はなくなり、ベッド脇に立っていた俺は彼女に押し倒された。
ギシっと小さくスプリングがきしむ。魅力的すぎる彼女の悪い笑顔とその肉体が俺を見下ろしている。今や俺のズボンぱぱんぱんに張っていた。なんだか勃ちすぎて気分が悪い。このまま彼女を犯しまくって楽になりたい。勿論俺は童貞だが知識だけは年頃なりにかき集めていた。何よりオスの本能のようなものが俺の中で暴れまくっている。しかしこのまま本能を解き放ってしまえば、確実に彼女を傷つけてしまうと俺の中のもう一つの本能も気付いていた。

抱き潰したい。でもダメだ。後者の本能を尊重しようと耐えていると冷や汗がでてくる。

そんな俺の鎖骨にそっと彼女の冷たい手が触れた。俺は電気を流されたようにビクっと震える。

「・・・クスリ、効いてないのかな」

彼女がボソっと呟いた。

(???)

俺の中に「?」が浮かぶ。

クスリキイテナイノカナ。

性衝動を抑え込もうと必死になっている今の俺の脳みそはモヤがかかっているかのようで上手く思考できない。しばらく俺と彼女は見つめ合い、不意に彼女の方が目をそらした。そして俺の上から降りると脱いだときと同じくらいの素早さであろうスピードで衣服を身にまとう。俺はベッドに横たわったまま彼女を見つめることしかできなかった。彼女は五千円札をベッドにそえると俺の目も見ずにさっさと部屋を出て行った。

部屋に取り残された俺は茫然としたまま自分で自らのモノの熱を鎮めた。
しかし何度吐き出しても収まらない。すりきれるほど慰めてようやく落ち着いた俺は彼女が置いた五千円札を手にやっとホテルを後にした。なにがなんだか分からなかった俺は相当虚ろな目をしていたと思う。

翌日、心療内科に行くと受付に彼女はいなかった。

「いきいなり電話で辞めますって。こっちも困ってるのよね」

それとなくスタッフにさぐりを入れるとそんなセリフが返ってきた。

彼女は俺の前から姿を消した。
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