ゴミの山から拾ったのはバグった物だった。バグった物と従魔とのんびりダンジョンを巡る旅をします

瑠璃垣玲緒

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1章

真価

 有機物は入らないはずのマジックバックに瀕死のスライムが入れられたという異常に気付いたのは、退場時の荷物チェックの時に瀕死状態のスライムを取り出して職員に指摘されたから。
 ダンジョン産のスライムは倒し方によっては本体が吸収される前に回収することが可能で、その1つが瀕死状態のスライムを鞄や袋に入れて確保し、完治する前にダンジョン外に持ち出すこと。
 ダンジョンに入る者はゴミ拾いでも受ける講習で習う。だから確保した。
 それがアイテム鞄でなければ問題ない。機能付きのマジックバックに入らないはずの物を取り出したから問題なのだ。
  とりあえず鞄の中に瀕死のスライムを戻し、ルーティンを終わらせて報告する様に指示された。
 冒険者ギルドに行くと職員から報告があった様で、袋の返却が終わったら会議室に呼ばれた。副ギルド長と仲良しの受付嬢が入って来て状況説明をした。

「所有者制限に盗難防止機能付きのアイテム鞄に瀕死のスライムが入るなんて、古のアーティファクトだから?」
「そのスライムを出してみて」

 取り出したスライムは入れた直後と違い僅かだけど動いた。

「ダンジョン外に持ち出したのに今動いてない?」
「ダンジョンの魔素がなくなると生きていけないから素材になるのよねぇ」
「ダンジョン外で魔物が生きている時はテイムされた場合よね?」
「でもシオンは魔力量は問題ないけど、テイムスキルは持っていないわ」
「鑑定アイテムを手配して!」

 受付嬢が慌しく出て行ったが、スライムの状態と2人のやり取りに私は呆然としていた。
 鑑定した結果、私にテイムスキルはないのに、テイムされた従魔としてスライムが表示されるという前代未聞の状況となっていた。
 古のアーティファクトは現在では失われた多くの技術が使われていて、歴史書にない機能やアイテムも存在するため、本当はなかった機能がダンジョンの再編でバグったとは誰も思わない。
 その鞄がダンジョン内の生きた魔物や魔獣が入ってしまうというとんでもないバグ以外に、更に入れたダンジョンの生き物を自動的にテイムしてしまうとんでも機能のバグがあったのだった。

 現在ダンジョンの異常が確認されたばかりのためこの件は保留となり、スライムは鞄に入れて移動し自宅以外では出さないという事になった。
 スライムは再生能力が高いため、瀕死でもダンジョンであれば時間がかかっても復活するだろう。テイムされた場合は主の魔力でも良いのかわからないけど、自宅に帰ってから座ってる間はずっと膝の上に置いていた。
 さすがに寝る時は潰してトドメを刺しそうなので、枕の上に籠を置いてその中に入れたけど、早朝に違和感を感じて目を覚ましたら、おでこに張り付いていて驚いた。
 まだ回復には遠いがゆっくりでも動けるようになった様でホッとした。餌は何が良いか分からないので、ダンジョンゴミの1つ、朝摘んだ薬草、森で拾った木の実を並べてみたけど、どれも食べなかった。まだ消化するほど回復していないからかもと鞄にスライムを入れて、ゴミ拾いの仕事へ出かけた。

 仕分けを終わらせようとしたら、スライムが来た。ダンジョンの魔素のおかげか、かなり回復したようで何より。すると私を通り過ぎて廃棄予定の山に突っ込んでった。

「駄目だよ、危ないよ」

スライムが巻き付いた物ごと取り上げた。それは壊れたランプだった。ダンジョンでは火を使うランプは厳禁だからゴミの山にはほぼ出ないけど、これは破損した時に動力の魔石が外れて、回路の魔石や回路が手を付けられないと思えるほど凄く汚れてガラクタだと私も判断した物。
 ところがスライムが汚れを食べてくれたら、修理可能な物になってたの。

「スライムさんお手柄だね」
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