幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

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第6章

触れ合い

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子供達は珍しい小さな火蜥蜴に夢中だ。
メイド達はさりげなく陶器など壊れやすい物を下げた。
王太子妃は席に着く際にアルバを呼び寄せ、背中を優しく撫でながら子供達を見ていた。
兄王子の方が恐る恐る手を伸ばす。
シャンスはパタパタと小さな羽を動かして少し身体を浮かせると、伸びて来た手のひらに着地した。
「はっ、母上、飛びました!」
「僕の手の上にいる!」
弟王子が飛んだことに興奮し、兄王子は自分に乗るシャンスに興奮する。
「本当ね、ゆっくり手を動かすのですよ」
目の高さまで持ち上げて見ていたら、小首を傾げるシャンス。
「「「かわいい!」」」
注目を浴びているのが分かるのか、小さな羽を時々動かしている。
まるで犬科や猫科の動物達が嬉しくて尻尾を振る様に、飛ぶためではない羽ばたきをしている。
その姿にお子様達だけでなく、母親や子供達の様子を見ているメイド達さえも魅了していた。
弟王子がもっと良く見ようと顔を直ぐ側まで近付けると、サッと羽ばたいて飛び上がり、弟の頭のいい上にポスっという感じに降りて、落ち着く場所を探してゴソゴソと身体を動かして、しばらくして止まった。
頭の上でドヤ顔っぽく頭を上げている姿は、乗せている本人を除く見ている人々をまたもや魅了した。
「ぼくの頭の上にいる!」
自分のところに来てくれて大喜びしている弟王子。
侍女の1人が鏡を取りに屋敷に向かった。
本来なら爬虫類系などを嫌う女性が多いが、つぶらな瞳と感情を表す小さな羽と、名前に蜥蜴とあるが竜の一種のため知能は高く、火属性であるため鱗が皮膚の様に柔らかく、色も火属性独特の赤でも女性が好む淡い赤銅色というのも人気なのだろう。
女性が抱え持つほどの大きさの鏡に映った自分の頭の上で寛ぐ小さな火蜥蜴を見て喜んでいる。
王女は見るのは大丈夫でも火蜥蜴に触れるのは抵抗があった様で、弟王子の頭の上に乗ったのを見て安堵し、母の隣へ移動してアルバを眺めることにした。
麒麟も滅多に見ることの出来ない聖獣の1つと言われていて、絵姿もほとんどないため絶滅したのではと言われるほどだった。
まだ未熟な内に親と逸れたため、本来は単独でなら空を駆ける事が出来ていたのだが、恐怖心からやり方を忘れてしまい、思い出せないし教え直してもらえない。
なので普通に地面の上だけを歩いている。
顔は竜に似て凛々しく鬣があり、ユニコーンの様に額に先が丸い可愛いらしい小さな角、鹿の優美でしなやかな肉付き叫ぶと山吹色と言える体躯に、火属性の竜種と同じ様に鱗があってもしっとりとした肌触りなので、母と反対側から恐る恐るアルバに手を伸ばしてた王女は笑顔で撫でるのだった。
ふと気になってアルバとシャンスの様子をチラッと横目で見たレナードは、弟王子らしい子の頭の上にいるシャンスを見つけ、慌てて念話する。
《コラッ、シャンス!頭の上に乗ってはいけないと言っただろう。
すぐに肩に降りなさい》
《ごめんなさい》
頭から飛び立って肩に向かったのを確認して視線を前に戻す。
シャンスは弟王子のに乗り、謝罪のため身体を上げて首元に頭を何度か擦り寄せた。
「くすぐったいけど、すりすりしてくれた!」
嬉しそうに叫ぶ弟王子に周りの目は柔らかい。
隣のテーブルのレナード達の話しの中で、幻獣の好物を聞いた侍従がメイドに急いで用意させて兄王子に魔性果実の入りの籠を渡した。
「幻獣様方の好物であり、必要な栄養だそうでございます」
「ヘンリクありがとう」
早速、弟王子の肩にいるシャンスに自身の親指大の果実を摘んで近付ける。
サッと羽ばたいて兄王子の手に飛び移り、果実を両手でしっかり掴み一心不乱に齧りだす。
「わぁ!手が汚れちゃった。でも肩の上で食べられなくて良かったよ」
「凄い勢いで食べるね」
アルバにはボールに入れて王女が差し出していた。
こちらも勢い良く食べる。
シャンスはテーブルの上に皿を用意された。
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