幻獣士の王と呼ばれた男

瑠璃垣玲緒

文字の大きさ
119 / 220
第6章

理由

しおりを挟む
その頃もう一つの机ではレナードは質問攻めにあっていた。
「先程、幻獣が持ち込まれたと言ってましたが、幻獣使いの方ですか?」
「祖父から牛型の魔物と交配したらしい雌や魔獣と混血の牛達の処遇を相談され、引き取って村の外れに出たら家畜の魔物や魔獣の治療や幻獣使いが来る様になりました。
最初は強い個体が多かったので既存のを体格に合わせて薄めてました。
ある時行商人の親子が森で保護した小型の幻獣を連れて来て、いつもの様に治療したら悪化し慌てて魔法の水で洗い流しましたが、鑑定持ちの親御さんが鑑定してくれて毒の症状が出ていた理由が判明しました。
家畜の治療のため従魔術は取得していましたが、それをきっかけに幻獣術を習いました」
「そんな経緯があったんですね」
「はい、その時は森の動物達に傷に使う薬草を聞きそれらで薬を作って治療しました。その後に人の薬やポーションの材料で似た効果の物と入れ替えて、重症の魔物や魔獣に協力してもらい実験を繰り返して出来た物です。
まだ正式な鑑定依頼をして品質保証をしてなかったので、知り合いだけにしか使用してませんでした」
「重症の魔物や魔獣に協力と言った様に聞こえたが、手負いの時は動物でさえ危険なのにどうやって?」
「まず森で必要以上の狩りや採取をしないことで信用を得て、人の罠や敵から辛くも逃げた者や助けを求めたものだけを保護しました。
その上で自然治癒を妨げない最低限の治療を施し、そのままある程度まで治ったら建物の扉を開けて最終的に野生に返し、それでは治らないものに交渉しました。
群れのものは群れのリーダーに交渉しました」
「そこまでやったのか」
「はい、森の幻獣になれる魔物や魔獣達に、万が一の時に幻獣も治療出来る傷薬とポーションを作りたい、人族用の薬やポーションの中には幻獣に害になるものがある様だと。
森の生き物達から『人間に不当に傷付けられたもの』と『生存競争での争いで逃げ切ったもの』の治療の許可と、初めて使用実験する時は『年老いたもの』か『重症で治療しなければ助かる見込みがないもの』で試す事を条件で」
「なるほど、死の覚悟があるものが命をかけて、種族や森のためになるために協力したということだな」
「そうです。実際効き目が強過ぎて治療中の激痛で暴れたり、痕は消えたけど麻痺が残ったりなど何回となく問題がありました」
「あら、麻痺した個体はどうしたのかしら?」
「野生に戻れないものは亡くなるまで預かりました。その関係で村外れから、森の入り口に拠点を移す事にもなりましたが」
「1人では大変ではなくて?」
「改良に必死で、でも少しでも効果があると治療している生き物が感謝の気持ちを伝えてくれるので、案外楽しかったです」
「ヴォロンウェ、エルフの薬師で幻獣を治療したいと希望する者がおるか募ってみてはどうだろう?」
「それは良い。レナード殿、まだ改良をしておるのだろう?もし希望者が居れば助手として使ってやってくれ」
「アグラレス様、ヴォロンウェ様、確かにまだ傷薬とポーションが1種類ずつなので、開発は続けていますが、エルフの薬師の方を助手など畏れ多いです」
「研究畑の奴なら誰が上かなど気にせんと思うがのぅ、アグラレス」
「成果を出した奴には敬意を払うだろうな」
「エルフの薬師の方の知識があれば他にも幻獣にも効くものが作れそうです。
ただ幻獣用のレピシは限定公開にしたいと思っています。
幻獣を道具の様に使用する手段になりかねないからです。
あと幻獣は人族と違い、訴えることが出来ない種族もいますし、耐性の違いや進化や変異などに柔軟に対応出来ないと助けられない可能性があります。
エルフの方は精霊様と話せるので良いですが、幻獣術を持った者以外が作れないようにしたいと」
「我が国も誰かを行かせようかと思っていたが、流石精霊王様や幻獣王様方に認められただけのことはあるな。
ヘンリク、我が国の薬師ギルド幹部と幻獣に関する部署の長と副官を呼び出す様に」
「かしこまりました」
アグラレスとヴォロンウェも自身の精霊を呼んで指示していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。 辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。

元・神獣の世話係 ~神獣さえいればいいと解雇されたけど、心優しいもふもふ神獣は私についてくるようです!~

草乃葉オウル ◆ 書籍発売中
ファンタジー
黒き狼の神獣ガルーと契約を交わし、魔人との戦争を勝利に導いた勇者が天寿をまっとうした。 勇者の養女セフィラは悲しみに暮れつつも、婚約者である王国の王子と幸せに生きていくことを誓う。 だが、王子にとってセフィラは勇者に取り入るための道具でしかなかった。 勇者亡き今、王子はセフィラとの婚約を破棄し、新たな神獣の契約者となって力による国民の支配を目論む。 しかし、ガルーと契約を交わしていたのは最初から勇者ではなくセフィラだったのだ! 真実を知って今さら媚びてくる王子に別れを告げ、セフィラはガルーの背に乗ってお城を飛び出す。 これは少女と世話焼き神獣の癒しに満ちた気ままな旅の物語!

猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める

遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】 猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。 そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。 まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...